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3話

Auteur: 東雲桃矢
last update Date de publication: 2026-04-12 21:35:43

「うぅ、気持ち悪い……」

 翌朝、二日酔いで最悪の目覚めに小さく唸る沙綾。重たい体を引きずるように、テーブルに近寄る。昨晩買ったオレンジジュースと板チョコをベッドに放り投げると、電気ケトルでお湯を沸かし、インスタントのしじみ汁に注ぐ。

「はぁ、染みる……」

 オレンジジュース、しじみ汁、チョコレートは、飲みすぎた時用にいつも買う。しじみ汁を飲んだあと、オレンジジュースをゆっくり流し込むが、チョコレートを食べるほどの元気はない。

 なんとか半分までオレンジジュースを飲むと、再び眠った。

 沙綾の実家は、飛行機の距離にあるため、気軽に実家には帰れない。そのため、3日分の予約をしてあるのだ。

 沙綾が目を覚ましたのはお昼前。二日酔いはだいぶマシになっていた。チョコレートをかじりながら、スマホで不倫された時にするべき行動について調べる。

「証拠、とりあえずあのキモい動画か……。もうちょっと欲しいな」

 証拠を入手するコツのひとつに、ペットや赤ちゃんの見守りカメラが役に立つと書いてあった。ペットも赤ちゃんもいない場合は、空き巣や強盗が入った時のためにすればいいとも書いてある。

「今ならあの人も仕事ね……」

 どっちにしろ、着替えなどを取りに行くために一度帰らなくてはいけないと思っていた。さあやは残りのオレンジジュースを飲み干し、シャワーを浴びてから身なりを整えると、家電量販店へ行き、ペットカメラを何台か購入すると、帰宅した。

 まずは玄関にひとつ設置する。和子が押し付けように置いていった大きな花瓶があり、そこに造花を挿している。花瓶の影に隠れるように設置すると、次はリビングへ。こちらも棚の上に飾り付けてある悪趣味な置物の間に設置。

 次は寝室に設置するのだが、ここは慎重に置かなくてはならない。というのも、沙綾が見た記事によると、たとえ自分の家でも、不倫の証拠を得るためでも、性行為を撮るための設置は証拠になるどころか、訴えられる可能性があるらしい。

 寝室には、大事な書類や、将来のために少しずつ買い集めている金が入った金庫がある。沙綾はあくまでも〝防犯のため〟に、金庫が映るように設置した。置く場所があまりないので、ベッドも映るようになっているが、仕方のないことだ。

 再びリビングに行くと、悪趣味な真っ赤のハンドバッグを見つけた。和子のものだ。

「私くらいの女になると、これくらい派手なもの持ってないと、バッグが霞んじゃうのよねぇ」

 聞いてもいないのに、よくそんな自慢話をしてきたから嫌でも覚えている。カバンを開けてみると、中にはアルバムやスマホが入っていた。

「よし、証拠ゲットのチャンス」

 アルバムを見てみると、和人とのツーショットがほとんどで、残りは和人だけが写った写真だ。義父も沙綾も、1枚も写っていない。

「ま、写りたくないけど」

 注意深く見ながらめくっていくと、とんでもない写真が出てきた。

「うげ……」

 親子の裸でのツーショットが出てきて、思わずアルバムを投げ出し、トイレに駆け込む。吐き終えて、キッチンで口をゆすいでから、先程の写真を証拠として撮影する。

「こんな写真が自分のスマホにあるって事実だけで吐きそう……」

 うっかり見ないようにするために、証拠フォルダを作り、そこに写真を移動させる。

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