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3.歳の差、9年の距離

Auteur: 中岡 始
last update Dernière mise à jour: 2025-12-27 16:20:43

カーテンの隙間から差し込む光が、部屋の白を少しずつ溶かしていく。

冷えた空気の中に、コーヒーの香りが柔らかく広がっていた。

岡田はマグカップを片手に、ソファの背にもたれたまま、リビングの時計をぼんやりと見上げていた。

午前八時。仕事納めの翌日。外はまだ静かで、どこか現実の境界が曖昧に思える朝だった。

隣の寝室から、布団の擦れる小さな音がした。

晴臣が寝返りを打ったのだろう。

薄い布団越しに、静かな寝息が聞こえる。

岡田はマグカップを唇に運びながら、その音に耳を傾けた。

ふと、何の気なしに笑みがこぼれる。

「俺、三十七やぞ…」

自分でも驚くほど、自然に言葉が漏れた。

静かな部屋にその呟きが溶けていく。

九つの歳の差。

これまで意識したことなんてなかった。

だけどこうして、寝起きの光の中で、晴臣の寝顔を見ると、ふとした瞬間に距離のようなものを感じる。

白いシャツの袖口から見える腕。

整った寝癖のない髪。

唇の端が少し緩んで、穏やかな寝息を立てている。

岡田は視線を逸らした。

年齢なんて関係ないと、ずっと思ってきた。

けれど、彼の若さを眩しいと思うことがある。

自分の時間が止まっていたように感じていた頃、彼が現れて、それを当たり前のように動かし始めた。

笑い方を思い出し、声を出すことを思い出し、そして、誰かと同じ部屋で朝を迎えるという感覚まで。

カップの中のコーヒーが少し冷めていく。

岡田は立ち上がり、キッチンへ向かった。

カウンターの上には、昨夜のまま置かれた二つのマグカップ。

片方はまだ、晴臣の分だ。

「課長」

背後から眠たげな声がした。

振り返ると、寝間着姿の晴臣が、髪をぐしゃぐしゃにしたまま立っていた。

目の端にまだ眠気が残っていて、指先で軽くこすっている。

「起きたんか」

「はい。…おはようございます」

「おう」

晴臣がゆっくり

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