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第292話

Penulis: ラクオン
梨花は足を止め、和也たちを先に行かせると、踵を返して竜也たちの方へ歩いて行った。

竜也は二、三歩前に出て、周りの人間から距離を取ると、梨花の頭に手を伸ばして撫でた。

「和也たちと食事か?」

梨花は頷いた。「ええ」

「森崎社長」

竜也は傍らの中年男性に視線を向け、平然と言った。

「ご紹介します。こちらは彼女の梨花です」

梨花ははっと息を呑み、顔を上げると男の真っ直ぐな視線とぶつかり、なぜか心臓がどきりと高鳴った。

いつから彼女になったのだろうか。

菜々子も言っていた。彼には好きな人がいると。

中年男性は一瞬驚いたが、すぐに笑顔で言った。

「竜也さんと梨花さんは、お似合いですね。まさに美男美女カップルだ。

そろそろご結婚ですか?」

真昼の太陽が少し眩しかったが、竜也の口元が弧を描いたのが、梨花には見えた気がした。

竜也の声も、珍しく弾んでいた。「ああ、もうすぐです」

まるでありふれた熱愛中のカップルのようだ。

梨花は心に広がった波紋に気づかないふりをし、竜也の意図を測りかねたが、彼に合わせてにこやかに言った。

「では、皆さんでごゆっくり。私は先に入っていま
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