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第29話

作者: ラクオン
優真は梨花の真正面にあるデスクの椅子に腰掛けていた。

彼の視線を背中に感じながら処方箋を書くのは、正直なところかなりのプレッシャーだ。

しかもその処方箋、一度は必ず優真の目を通さなければならない。

この日、友人の紹介で来た患者は男性だった。冗談めかして笑った。

「先生、そんなに慎重にされたら、逆に自分が重病なんじゃないかって不安になっちゃいますよ」

潮見市のこの漢方医院では、患者たちもみんな知っている。優真は梨花と和也の先生だ。

優真は優しく笑った。

「安心しなさい。彼女は難病専門だ。あなたの程度なら朝飯前だよ。ただね、この子は私の前だと、いつまで経っても子供みたいなもんなんだ」

彼は処方箋をざっと確認し、すぐに梨花に返した。

優真の目には、梨花はここ数年で出会った中で最も漢方に才能のある人物だった。

もし黒川家のおばあさんが邪魔しなければ、今頃はもっと大きな舞台で活躍していたかもしれない。

薬の研究をしても、署名ひとつすらまともにできない現状が悔やまれた。

「筋道もいいし、分量も完璧。飲めばすぐに効果が出るはずだ」

この患者は、大腸内視鏡の検査結果で重度の腸
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