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第72話

Auteur: ラクオン
「じゃあ、梨花は?彼女にはそれほど才能がないってこと?」

「......」

この問いに対して、一真はすぐに答えることができなかった。

結婚してからの数年間、彼は梨花とそれほど深く関わってこなかった。

ましてや、仕事上でのつながりなどほとんどなかった。

ただ、彼女が病院で三年ほど、地道に働いていたことだけは知っている。

特に目立った成果があったわけでもない。

病院の同僚たちが彼女を褒めるのは、田中家の、和也の後輩だからじゃないか、そんなふうに思っていた。

だが、レストランでの出来事が引っかかっていた。

梨花が家に戻るのを待たず、一真は先に電話をかける。

意外にも、彼女はすぐに出た。

「どうしたの?」

その淡々とした声に、一真は少し驚いた。

「今日のレストランでのこと、あなたから説明してもらうべきだろ?」

「何を説明するの?」

梨花の声は冷ややかだった。

「私が夫に浮気されたって事実をみんなに言ったこと?それとも、ほかに何か?」

彼女は本当に驚いていた。

まさか彼が、自分に説明を求めてくるなんて思ってもいなかったからだ。

一真は眉をひそめる。

何かが
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