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命の対価③

last update Last Updated: 2025-02-09 17:00:16

全員が各々準備の為動き出した。

春斗、フェリス、アカリは三人で固まって話をする。

「で、俺らはどうやって動く?」

「指示はアタシが出すわ、だからその通りに動いてくれればいい」

「分かった」

二人は護衛対象を守る為最善の配置、動きを再確認する。

僕の役目は守られる事だけ。

作戦会議に参加しているようで参加していないのが少し寂しい。

「とにかくアカリは何があってもカナタくんの側を離れないようにして」

「ハルトは3歩後ろを歩いて護衛対象の周囲を警戒」

「アタシは護衛対象の左斜め後ろの一歩下がった所」

フェリスさんの的確な指示に二人は頷く。

「もし万が一護衛の布陣が崩れるようなら、庇うようにハルトはその身で守ること、アカリはカナタくんを抱えて飛び出して」

「俺は肉壁ってやつだな!任せろ!」

「私は飛び出してどこに行けばいい?」

「飛び出したら後は、安全が確保できる場所まで逃げて」

「分かった」

念の為護衛失敗時の動きも頭の中に叩き込んでおくようだ。

こうすることで、成否問わず護衛対象の安全を確保することができる、ということだろう。

話し合いは遅くまで続き、そのまま夜はふけていった。

――――――

アレンは自室で剣聖と二人で向かい合っていた。

「私はカナタに襲いかかってきたリンドールを斬る事に集中しておけばいいな?」

「そうだね、他の魔族は団員に任せておけばいい。剣聖には剣聖にしか出来ない仕事があるからね」

剣聖には魔神と対峙してもらわないとならない。

アレンがどれほど強くても完全に消滅させるには聖剣がいる。

聖剣は聖剣に認められた者にしか扱えない。

だから剣聖には魔神討伐の旅に付いてきてもらうこととなった

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