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10食目・職業斡旋!転生者のお仕事は?

Author: 柊雪鐘
last update Last Updated: 2025-11-27 08:00:37

「お疲れ様です。転生者ルシェット・サイファ=明音の職業斡旋をお願いします」

「かしこまりました」

 

 義政さんによって連れられた先は元のカウンターが並んだロビーに戻って、更に少し真ん中寄りのカウンターだった。

 義政さんは私の個人情報が書かれた書類をカウンターのお姉さんに手渡した。

「貴女がルシェット・サイファ=明音さん?私はサムグロァ・メイミン、スカイクートに住む求職者に仕事を割り振っているの」

「さ、サム、グロ……?」

「ごめんなさいね、フォス=カタリナの原住民の発音って、どうも転生者に厳しいのよね。私の事はサミーでいいわよ」

「よ、よろしくお願いします、サミーさん」

 にこりと微笑むサミーさんは赤が混じった金色をポニーテールにした快活そうな女性だ。

「それではこれで」と去っていく、落ち着いた雰囲気の義政さんとは違って綺麗なお姉さん、といったイメージがある。

 サミーさんは私について書かれている書類を流し見ると、「うん?」と首を傾げた。

「ねえルシェットさん」

「あ、ルシーって呼んでもらってるので、それでもよければ……」

「じゃあお言葉に甘えるわ。ルシーさんの個人スキル、『ヘビースマイル』と書かれたまま何もないけれど……」

「それはさっき義政さんにスキルの発現をしてもらったんですけど、何を貰ったのか私も義政さんも分かってなくて……」

「なるほど。後で把握したら記入するのね、分かったわ。じゃあルシーさんにとりあえず聞いてみるけど……ルシーさん、貴女はどんなお仕事がしたい?」

 急でもないけど聞いてくるサミーさんに、私は少しだけ悩んだ。

 突然お仕事、と言われても思い浮かばない。

 寧ろ私学生だったし、バイトくらいならどこかのお店で働くとかしか思いつかない。

 コンビニってここにあるの?アパレル系?それとも手に職タイプ?

 でも多分この場所で話してるのはそういうのじゃなくて、ちゃんとした職業として名乗るお仕事だと思う。

 

「お仕事、ですか?なんでもいいんですか?」

「研修は必要だけど、資格が必要ないお仕事もあるからね。まずは希望を聞いてから仕事を探してあげてるの。半年は色んなところに体験という形で適当に選んでもいいわよ」

「そうなんですね。……と言っても、あんまりイメージが浮かばなくて……」

「転生してこのままこっちに来てるんだものね。スキルはスマイルとあるのだから、多分笑顔に関係するスキルなんだろうけど……どうする?スキル使ってみたい?それとも使わないようにする?」

「どうせなら使ってみたいです」

「オッケー。じゃあ手っ取り早いのは接客業かしらね。忙しいのがいい?それとものんびり働きたい?」

「そこも選べるんですか?」

「仕事を選ぶ上では自分の体力とか能力とも相談したいじゃない?」

「確かに。じゃあ賑やかな所がいいです」

「分かった、調べてみるわね」

 サミーさん側に棚があるのだろう、カウンターの引き出しから用紙を一枚取り出し、紙に手を添える。

 すると真っ白な紙にはびっしりと表と文字が浮かび上がった。

 これも魔法なのかな?フォス=カタリナの人々は生活魔法が使える、と聞いているけど不思議な事をしているたびについ目が向いてしまい、口から「おぉ……」と声が漏れそうになってしまう。

 上から指で文字をなぞるサミーさん。

 次の瞬間、「んー……よし!」と何かを決めたらしい声が上がった。

「ねえルシーさん、お店のウェイトレスなんかどう?丁度人気のお店で今、欠員が出ているようなの。教育しがいのある子が欲しいようだわ」

「ウェイトレス……!とっても興味あります!」

「良い返事ね。場所はここから徒歩2分、商業街大通りに面する大衆レストラン『万来堂』よ。就業時間は10時から21時までの11時間、休憩時間は2時間ね。お給料は1日銀貨5枚と錫貨3枚、制服貸付……といったところかしら。他に気になることはある?」

「うーん……わかんないです」

「じゃあ連絡入れるからちょっと待っててね」

 サミーさんは立ち上がると真っ白だった書類を魔法で書き換え、義政さんから貰った書類と一緒に折りたたんだ。

 折りたたまれた紙は赤い封筒に入れられ、サミーさんは徐に窓へと向かっていった。

 何をするんだろう。

「!?」

 そう思った瞬間、手に持った封筒を窓の外に向けて投げてしまった。

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