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Auteur: 槇瀬陽翔
last update Date de publication: 2026-05-15 18:35:21

「みんな集まれ、これからお前たちのデビューの話をするぞ」

ダンスレッスンをしてる最中に智さんと竜生さんがやって来て、練習は中断された。

「これが、今後の日程だよ」

竜生さんが僕たち全員に資料を手渡してくれる。

「そこに書いてある通り、バックダンサーの正式なデビューは来月から始まる俺たちAGIAのツアー初日に決まった」

智さんが僕たち全員を見てハッキリと告げる。

「コンサートの最中にお前たちを紹介する時間も作ってあるからな」

資料を見ればコンサートの大体のタイムスケジュールが書いてあり、その中にバックダンサーである僕たちの時間もちゃんと作られていた。

「お前たちバックダンサーは飾りじゃない。お前たちがいるから俺たちがもっと輝くことができる。お前たちは後ろで俺たちを支えてくれる存在だ」

「そうだね、君たちはもうAGIAの仲間だからね」

智さんと竜生さんの言葉についにこの時が来たのかって思った。

「何か質問はあるか?」

「これからもっと練習に時間を取られるから今のうちだよ」

2人が質問するなら今のうちだと言ってくれる。

不安がないわけじゃないけど……これは僕個人の問題だからここで聞くわけに
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  • アイドルに恋をした僕   14

    「みんな集まれ、これからお前たちのデビューの話をするぞ」ダンスレッスンをしてる最中に智さんと竜生さんがやって来て、練習は中断された。「これが、今後の日程だよ」竜生さんが僕たち全員に資料を手渡してくれる。「そこに書いてある通り、バックダンサーの正式なデビューは来月から始まる俺たちAGIAのツアー初日に決まった」智さんが僕たち全員を見てハッキリと告げる。「コンサートの最中にお前たちを紹介する時間も作ってあるからな」資料を見ればコンサートの大体のタイムスケジュールが書いてあり、その中にバックダンサーである僕たちの時間もちゃんと作られていた。「お前たちバックダンサーは飾りじゃない。お前たちがいるから俺たちがもっと輝くことができる。お前たちは後ろで俺たちを支えてくれる存在だ」「そうだね、君たちはもうAGIAの仲間だからね」智さんと竜生さんの言葉についにこの時が来たのかって思った。「何か質問はあるか?」「これからもっと練習に時間を取られるから今のうちだよ」2人が質問するなら今のうちだと言ってくれる。不安がないわけじゃないけど……これは僕個人の問題だからここで聞くわけにはいかないよね。僕の中にある一つの懸念。「あー、そうだ。夏葵、お前に後で説明したいことがあるから帰ったら起きてろよ」なんて、智さんに名指しされちゃった。「はい、わかりました」何を言われるのかすっごく不安だけど、今はこっちの事に集中しなきゃね。「あの、俺たちの紹介のときは何かやるんですか?」バックダンサーのリーダーである山瀬さんが声を上げた。「それをバックダンサー同士で考えてほしい。名前の紹介はする、そこで得意技を披露してもいいし…」「個人がわかるように派手に演出してもいいし」智さんと竜生さんがそう、提案をしてくれる。「まぁ、約一名それに抵抗があるやつもいるけどな」なんて、僕の方を見てニヤリと笑う意地悪な智さんがいた。「そうだね、夏葵は抵抗ありそうだね」なんて竜生さんまでも言う。でもそれは否定できない。幼い頃のトラウマがあるから…「それって、俺たちが好きなようにやっていいってことですか?」早川さんが聞いている。他の2人も興味津々に智さんたちを見ていた。「おう、それはお前たちの自由だ。お前たちのための時間だからな」「その時間はバックダンサーである君たち

  • アイドルに恋をした僕   13

    絶賛、僕は正座をして智さんに怒られ中。原因は…聞かないでください…「お前、いくら何でもありえないだろ!」 智さんの怒鳴り声が部屋中に響き渡る。 「ごめんなさい」 僕は小さくなりながら何度目かの謝罪を口にする。 「一体どうやって生活してきたんだお前は!ここまで何もできないなんて俺は思わなかったぞ」 智さんが呆れた顔をする。 「洗濯と掃除は出来ますけど……」 僕はさらに小さな声で付け加えた。はぁって智さんが大げさにため息をついた。 「確かに、洗濯と掃除は出来てるな」 洗濯と掃除だけは強調されて言われる。 「うぅぅ…」 そう、今、まさに僕が怒られているのはそれ以外のことだったりする。 「食生活が全滅って…お前は今までどうやって生活してきたんだ!」 またしても智さんの怒号が響く。 「ごめんなさぁ~い!!」 僕は半泣きになりながら謝った。ことの発端は、数日前、智さんたちAGIAのメンバーは仕事の為に遠征していった。その間、僕たちダンサー組はスタジオでデビューに向けての練習をしていた。智さんの家で下宿させてもらってる僕は、智さんが遠征に行く前日に、キッチンの使い方とかをあれこれ教わってから留守番を頼まれていた。留守番は特に問題はなかったんだ。そう、問題はない。じゃぁ、何が問題だったのかというと…「どう考えても、お前はまともに食べてないよな?」 そう、僕がちゃんとした食事をとってないことに智さんが激怒しているのだ。 「えっと、ゼリーとかは食べてますけど…」 僕はおどおどと答えた。 「それは食事とはいえないだろが!!」 智さんの声がさらに大きくなった。 「ごめんなさい!!」 反射的に僕はまた謝ってしまう。 「夏葵、お前ずっと一人暮らしだったよな?まさかとは思うけど、ずっとこんな生活をしてたとか言わないだろうな?」 智さんの鋭い視線が僕を射抜く。 「ひっ」 智さんの顔が怖い。本当のことを言ったらますます怒られそうな雰囲気だ。 「どうなんだ?」 少しだけトーンが低くなる智さんの声。 「えっと…こんな感じ…です…」 智さんが怖くて、最後は消えそうなほど小さくなった。 「このバカやろ!」 智さんの拳骨が容赦なく頭に振り下ろされた。 「いった~い!!」 頭を抱えてうずくまる僕の前で、智さんは腕を組んで溜息をついた。

  • アイドルに恋をした僕   12

    ー次の日ー練習が終わった後で、智さんたちAGIAのメンバーと、事務所の男の人、畠山さんと一緒に僕が借りているアパートに来ていた。智さんが気を利かせて、畠山さんに頼んで、事務所の車を出してもらったんだ。「てか、夏葵お前、荷物少なくないか?」 僕の部屋に入って開口一番に言われた言葉。 「えっと、多分、少ないと思います。荷物を持ってきてないんで…」 そう、僕の荷物はもともと他の場所にあるのだ。ここに引っ越ししてくる前のアパートって意味じゃなくて、元々の僕の住んでいる実家にという意味だ。実家といっても海外なので、すぐに取りに行くということは無理だけどさ。 「はっ? 持ってきてないって?」 「引っ越す前の家にってこと?」 僕の言葉に竜生さんたちが驚いた顔をする。 「あーっ、違います。前に住んでた場所の荷物は全部ここにありますよ。それ以外の荷物はここには置いてないってだけです」 自分のことを誰かに話してるわけじゃないので、ここ以外の場所に荷物があると言えばますます驚いた顔になる。 「やっぱり、業者を呼ぶ必要はなかったみたいだな。なら、さっさと運んでここを片付けて引き渡せるようにしよう」 なんて、智さんが言うから 「りょうか~い」 「だな」 なんてみんなが返事をして、さっさと数少ない僕の荷物を運び出していった。えっと、僕がやらなきゃいけないのに、僕が手を出す前にAGIAのみんなが動いちゃって僕はただそこにいるだけの人状態だった。「よし、荷物は出したから掃除するぞ」 総指揮官になってる智さんの掛け声でまたしてもみんなが動いちゃって僕が手を出す暇がない。でもただ突っ立てるわけじゃないよ僕も。ちゃんと掃除はしましたよ。智さんたちが来て、僕の家の荷物を出して、掃除が終わったの時間は2時間半ぐらいだった。あれ? もっとかかると思ったのに? 早いよみんな。「じゃぁ、この部屋の手続きは責任もって事務所の方でやってもらうってことで、ヤマさん、鍵は預けとくから事務所に戻ったらよろしく」 いつの間にか家の鍵を持っていた智さんが畠山さんと話してた。 「了解。樋口主任に渡してやってもらうよ」 「あの、すみません。僕の事なのにお願いしちゃって」 僕はそんな2人に謝った。だって悪いから…。 「いいってことよ。元をただせば事務所の責任なんだからな。よし、このま

  • アイドルに恋をした僕   11

    ダンスレッスンをしながら部屋探しって本当に大変だと思う。特に僕の場合は土地勘が全くないから、どこをどう探せばいいのか見当もつかない。だけど、探さないと困るからチラシとか雑誌とかを見ながらめぼしい場所を探してたんだ。自分なりに一生懸命探してたんだよ本当に。 「みんな集まれ、話がある」 ダンスレッスン中に先生がみんなを呼ぶ。僕たちは個人練習をしてる最中だったのをやめて先生の元へと集まればAGIAのみんなが来ていた。 「よし、集まったな。みんなに発表することがあるそうだ」 先生が言えば、智さんと竜生さんが前に出てくる。 「お前たちバックダンサーの発表兼お披露目の日程が決まったぞ」 智さんのその言葉に僕たちがざわつく。ついに決まったんだと…。 「バックダンサーをファンの子たちに紹介するのは3ヶ月後から始まる俺たちのコンサートになった」 竜生さんの言葉にますます騒がしくなる僕たち。 「静かに! まだ、コンサートの内容が決まってないから、ちゃんと決まるまではみんなは今まで通り練習に励んで欲しい」 「はい!」 智さんの言葉に僕たちは返事をした。 「よし、5分後にまた練習始めるからな」 「はい!」 先生の言葉に返事をして、僕たちはまた個人レッスンへと別れた。といっても、さっきの発表の後だからみんなで雑談をしていた。うん、みんな緊張してたんだよね。ついにAGIAのバックダンサーとして発表してもらえるんだって少しだけ騒いでた。この後、普通に練習が再開されて、僕たちはそっちに集中したんだ。だって、本番で失敗したら意味がないからさ。 僕は休憩中、一人で雑誌を見ながら部屋探しをしてた。だって、急いで探さないと時間がないんだ。期限は着々と迫って来てるんだ。だから、休憩中の間もこうして雑誌を見てめぼしいところを探してるんだ。以前の僕だったら住めればいいって感じで探してたけど、今はちょっと、やっぱりね、バックダンサーになるわけだから適当じゃダメかなって思ったんだ。 でも、この周辺の地理がわからないから中々決められないんだ。だからと言って他の人に相談っていうのもできなくて、結局ずっと一人で雑誌と睨めっこしてるんだよね。 無情にも退去期日が近づいてきた。そろそろ本当にどうにかしないとヤバいのに僕はまだ決められずにいた。 「夏葵?」 集中して雑誌を見ていた

  • アイドルに恋をした僕   10

    結局、この日の僕はせっかく熱が下がったのにもかかわらず、智さんたちAGIAの前で大泣きをしてしまい、また熱がぶり返したということで、退院は許可してもらったけど、これ以上無理はさせれないということで、自宅待機ということになった。勿論、ずっと付き添ってくれていたAGIAのみんなは仕事があるので、僕を家まで送ってから各々の仕事へと向かった。僕は次の日からまたダンスレッスンに参加することになった。「おっ、ちゃんと出てこれたな」 ダンススタジオに入ってきたAGIAのメンバーが僕の姿を見つけてホッとした表情を浮かべ、智さんが安心したようにいった。 「はい、ご心配とご迷惑をおかけしました。昨日1日ゆっくりと休んだんですっかり良くなりました。皆さんありがとうございました」 僕はAGIAのみんなに頭を下げた。勿論、ダンスメンバーや先生たちにはAGIAのみんなが来る前に謝っておいたんだ。 「俺は自分でやりたいように動いただけだから迷惑だとは思ってない」 って、智さんにはまた言われちゃったけどね。この日から僕の練習は本格的に開始された。AGIAのメンバーを交えて、他のメンバーとのフォーメーションとかも練習して、すべての動作を頭と身体に叩き込んだ。大丈夫、まだ鈍ってはないし、記憶力もあの日のままだ。まだ僕は大丈夫、ちゃんと踊れる。僕は智さんたちAGIAのメンバーに必要だといわれたダンスをもっと磨くために、彼らの後ろでサイコーのパフォーマンスができるように一人での練習も本格的に開始した。 僕たちのお披露目会はまだまだ先だから、今は練習をして、AGIAの曲とダンスを覚えるんだ。 AGIAの曲とダンスは覚えてるけど、あれはAGIAのメンバーだけのダンスだから、ダンスメンバーが入ったダンスはまだまだ練習しないとダメなんだ。ダンスメンバーたちとの練習と個人練習を繰り返す日々を1ヶ月ぐらい過ごしたころ、とある連絡が来て僕は愕然としてしまった。それはアパートの退去連絡。行き成りすぎるし、意味が分からなくて、慌てて事務所に問い合わせた。今住んでるアパートはこっちに来るときに事務所の人が手続してくれたやつだもん。「ごめんなさい、夏葵くん。確認をしたら、事務処理をした子のミスで2ヶ月での契約になってたみたいなの。急いで再契約ができないか問い合わせてみたんだけど、ダメだったの。で

  • アイドルに恋をした僕   09

    このまま幸せに浸っていたいとか、ずっと握ってたいとか思ったけど、僕は起きたとアピールするように、そっと弱い力で握られている手を握り返してみた。「んっ」ピクリと動きゆっくりと顔を上げて僕を見た。そして 「おはよう、気分はどうだ?」 小さく笑った。テレビで見ていたような笑みじゃない笑みに僕の心臓がドキリとはねた。 「おはようございます。大分、落ち着いてます」 うん、これは嘘じゃない。 「熱はどうだ?」 「えっ? ちょっ」 そんなこと言いながら智さんの額が僕の額に当てられた。 目の前に智さんのカッコいい顔があって…。心臓が止まっちゃう…。 「うん、熱も大丈夫そうだな」 クシャリと僕の髪を撫でて笑う。 「ご心配とご迷惑をおかけしました。ホントに…最初から僕は智さんに迷惑ばっかりかけてますね」 自分で言って自分の胸にグサリと言葉が突き刺さる。 「俺は別に迷惑だとか思ってない。そもそも、俺は自分がしたいと思ったことをそのまま実行してるだけだ。こうやってお前の傍にいて世話をするのもな」 まるで余計なことは考えるなと言わんばかりにまた頭を撫でられる。 「でも…僕は…」 僕は自分が思っている以上に過去のことを拘ってるみたいだ。 「なぁ、夏葵。お前が子供の頃に負った傷はお前にしかその傷の痛みはわからない。だから残念だが俺にはお前のその傷の痛みを知ることができない。だけど、そんなお前にハッキリと言えることがある」 智さんが静かにいう言葉を聞き頷く。 「俺はお前のダンスが好きだ。あのオーディションの時の踊りを見て、お前のダンスに惚れた。だから俺はお前にこのままダンスを続けてほしい。俺たちの、イヤ、俺の後ろで踊ってほしい。早瀬夏葵の本当のダンスをもっと見せてほしい。ってまぁ、これは俺のわがままだけどな」 ハッキリと言い切る智さんの言葉に自然と涙が零れ落ちた。ダンスが好きだと言われたこと、自分が必要だと言われたこと、その言葉が僕の中に溶けていく。 「泣くなよ。俺、お前を泣かせてばっかじゃん」 なんて言いながら涙を流す僕を抱きしめてくれる。まるであやすようにポンポンと背中を叩かれ、それが余計に涙を誘う。 「…っ…ごめ…僕…うれ…しぃ…ダン…ス…好き…で…」 「あぁ、もう我慢しなくていい。お前の実力を隠さずに見せつけてやればいい。それを誰も責めな

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