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5.君だけが俺のパートナーだ。

last update Huling Na-update: 2025-11-05 12:52:08

「ほら、上手に踊れるではないですか」

立太子の式典が終わり、俺は舞踏会の開始を告げるダンスをエレナと踊っている。

「本当に皇太子になったんだな。もう、創造主の作った話とは全然別物だよ」

俺の呟きに反応し、すかさずエレナが俺の耳元で囁いた。

「そのお話は2人きりの時にしてください。周りに聞かれたらおかしなことを言っていると思われますよ。」

「ダンスの練習も付き合ってくれてありがとう。それから、服とか色々選ぶのも手伝ってくれてありがとう。エレナが18歳で成人したら俺と結婚して、皇太子妃になる。それで、君は満たされてくれるよな?」

本音を言うと、エレナ・アーデンは俺の理想を詰め込んだキャラクターだ。

だから俺が常に彼女にときめいて、惹かれ続けてしまうのは仕方のないことだ。

でも、同時に彼女は元カノへの恨みを詰め込んだキャラクターでもあるが故に強かな性格をしているはずだ。

強欲で満たされることなく、2股をし悪びれることなく俺を捨てた女がモデルだからだ。

だからこそ彼女を信頼した後に、元カノが俺を裏切ったようにエレナに裏切られそうで怖いのだ。

「私は地位や名誉では満たされません。そのようなものは私が生まれた時から持っています。私が欲しいのはライオットの心だと言っているではありませんか」

瞬間、エレナが俺の目をじっと見つめてくる。

心を見透かすような赤い瞳に心臓が止まりそうになる。

完璧に彼女を信用して、好きになれたらどれだけ良いか。

「良い時間でした。ライオット皇太子殿下」

エレナは優雅に挨拶をすると去っていった。

そして、俺は先ほどから感じる視線の先を見つめた。

「レノア・コットンだ。可愛い」

ピンク髪のふわふわな優しい女の子だ。

彼女はエレナとは違い、俺が本当に異世界に行った時に会った人物だ。

俺が異世界に行った時はアランが皇太子になり、ライオットに憑依した俺は戦地に送られていた。

そこで、貴族令嬢ながら救援に参加していたのがレノアだ。

「結婚するなら、安心、安全な女の子だよな」

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    「正式な婚約をしましたよ。まだ、私がアラン皇子に乗り換えるとお思いですか?」夜、眠りにつこうとしたら、寝巻き姿のエレナが俺の部屋に現れた。「流石に、婚前に未婚の貴族令嬢が男の部屋で過ごすのはよくない。自分に用意された部屋に戻ってくれ!」「明日から皇宮で花嫁修行が始まりますわ。皇宮に泊まるのは初めてなので、怖い夢をみそなのです。だから一緒に寝てくださいな」エレナには裏設定がある。彼女は暗殺ギルドを牛耳っているのだ。そう、彼女自体の暗殺スキルも相当なもので俺は彼女と2人きりになるのが怖い。「では、失礼」俺は扉を閉めると彼女のネグリジェをめくった。ここに武器を隠している可能性があるからだ。そこには艶かしい白い足しかなく、武器はなかった。「何をなさるのですか?」彼女が頬を染め、ネグリジェーを抑えているが照れた演技だろう。その姿がとても可愛くてときめいてしまい危険だ。「身体検査だよ。エレナが武器を隠していて、俺を暗殺しようとしている可能性があるからな!」「そのようなことを言って、私を誘っているのですか?ダメですよ。私を強欲な女と侮辱したのだから、女としてのサービスは一切いたしません」「では、自分の部屋に戻ってくれ」「この部屋に来るのを他の使用人に見られました。男女の関係にあるということになっているのですよ。今、私が部屋に戻ったら私があなたに追い返されたと思われます」「実際、今、君を追い返してる。婚前に男と関係があるふしだらな貴族令嬢と思われる方が、男に相手にされていないと思われるよりも嫌だというのが君の価値観だ。俺は逆の価値観を持っている。人に見られるのが嫌なら天井裏から帰ったらどうだ?皇宮のあらゆる隠し通路は把握しているだろう?」「私がそのような隠し通路を把握しているわけありませんよね。何を怯えているのですか? 私のようなか弱い女を怖がるあなたは滑稽ですよ。天井裏だなんて小汚い場所、私が行くと思いますか?」「天井裏が小汚いなんて、何でわかるんだ。俺は君のような女が一番怖いよ。か弱いふりをして誰より強かで強欲で、はっきり言って関わりたくない」俺の言葉に一瞬エレナが傷ついた表情をした。しかし、彼女は人の心を操る天才という設定をしている。今の彼女の表情に同情心を持ってはいけない。「私はこれから、あなたの言うことを全て信じます。だか

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    「エレナ、君は俺がこの世界の創造主だということを適当に受け止めていて信じてないだろ。君をつくったのは俺だという証明をしよう。君が先程、子供の頃、俺を好きになったと言うのは本当のことだ。しかし、そのようなことはすっかり忘れて権力を追い求めるのがこれからのエレナだ。帝国だけでは、飽き足らず世界まで手にしようとして失敗する。全てを失った後、俺が好きだという気持ちだけが自分の真実だったと気が付く。現時点では、俺のことを利用しようとしか思っていない。しかし、エレナが思っている利用価値はないぞ。エレナは俺の武力を利用しようと思っているが、俺は今後絶対に剣を握らないと誓う」俺は自分で言っていて、良くこのような恥ずかしい話を書いたものだと笑いそうになった。エレナは俺を捨てた元カノがモデルだ。彼女は俺がメンタルをやられて会社を退職すると、商社マンとすぐに結婚した。俺との交際時期は絶対にかぶっている、つまり2股されていたのだ。そして、その商社マンは商社がお預かりしている大企業の御曹司だ。俺はその大企業の御曹司をモデルに、エレナに引き摺られて破滅する弟のアラン皇子を書いた。苦労知らずのおぼっちゃまには是非元カノと破滅して頂きたいとの願いを込めたのだ。「私が自分のことを好きだと言うのに、あれ程冷たい態度をおとりになったのね。駆け引きのつもりかもしれないけれど、無駄なことよ。それにしても、剣術の天才と呼ばれるライオットが、剣を握らないのはなぜですか?あなたの数少ない取り柄なのに勿体無いわ」「数少ない取り柄って失礼だな。君は本当に俺のつくったエレナか?もしかして、俺に対して怒っていたりするのか?」俺のつくったエレナ・アーデンは利用しようとしているライオットに対しては甘い言葉ばかり吐くはずだ。このように毒を吐くとなると、俺のつくったキャラ設定とは離れてくる。もしかしたら彼女は異世界のエレナ・アーデンなのかもしれない。俺は異世界に一度飛ばされたことがある。滞在時間は1時間にも満たず、元の世界に戻った。その時に飛ばされた世界で帝国のアラン皇子が立太子すると共に婚約したエレナ・アーデンという絶世の美女の話を聞いたのだ。彼女が次期皇后になりたくて兄のライオット皇子から弟のアラン皇子に乗り換えたと聞き、元カノそっくりだと思った。そして、元カノをモデルにしたエレナ・アーデ

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    「ライオット・レオハード皇子殿下に、エレナ・アーデンがお目にかかります」黄金を溶かしたような金髪にルビーのような赤い瞳をした絶世の美女エレナ・アーデンの登場だ。俺が創造したキャラクターである彼女は、まさに悪役令嬢だ。俺との婚約話が持ち上がった彼女と俺は皇宮のガーデンテラスでお茶をする。アニメ『赤い獅子』の第一話の場面だ。彼女は自分の美しさを武器に、ライオットを誘惑しまくり利用する。俺は彼女と婚約することになっているが、すぐにあっさり捨てられることを知っている。「婚約の話は無しで良いよ。俺は、もう顔が良いだけの女は卒業しているんだ」「私が顔だけの女に見えますか? 皇子殿下のお役に立てる女ですよ」「皇子殿下を利用する女の間違いだろう。薄っぺらい女だな、俺はお前と婚約する気はない。弟のアランとの婚約できるチャンスが来るのを待ったらどうだ? 俺と婚約しても、未来の皇后にはなれないぞ」ライオットは皇帝と踊り子の息子で、血筋的に皇后の息子であるアランに劣るのだ。この後、次期皇帝として立太子するのは弟のアランだ。「いいえ、私があなたを次期皇帝にします。第一皇子であるライオット・レオハード皇子殿下が皇太子になり次期皇帝になるに決まっております。アーデン侯爵家があなたの後ろだてになります」「よくもまあ、そのような適当なことが言えるな。俺は未来が見えるんだ。このあと、弟のアランを立太子させる話が出て来る。皇后陛下は立太子のお祝いに、帝国一の美女のエレナ・アーデンを可愛い息子アランに献上するんだ。俺との婚約話は白紙になる」「私をまるでモノみたいにおっしゃるのね」「モノだとは思ってないよ。俺はお前を強かな蛇だと思っている。エレナ・アーデン、お前は強欲でアランのことも利用しようとするんだ、他国の王族と通じて彼のことさえも陥れようとする」「私のことをお前だとか呼ぶのをやめていただけませんか?私はライオット皇子殿下と正式に婚約するつもりですし、弟君に乗り換える節操のない行動もするつもりはございません。他国の王族と通じるなどと、レオハード帝国で最も尊敬されるアーデン侯爵家の家紋の名に傷がつくようなことするわけがありません」「申し訳ないけれど、何を言われようとアーデン侯爵令嬢と婚約するつもりはない。侯爵令嬢は俺の嫌いな女に似ているんだ。ちなみに、俺は本当は可愛い系

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