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~第一部④マハー・カミラの嘲笑

Penulis: 倉橋
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-27 11:42:37

 「わが名はマハー・カミラ」

 低く冷たい響きが部屋に響きました。

「マハー・カミラ?あなたは一体、誰なんです」

 鶴葉下さんは、震える声で尋ねます。

 「わ、わ、わたしは大黒天様にお祈りしてたんです。 あ、あ、あなたなんて関係ないんです。ど、ど、

どうか、お引き取りください。 呼んでもないのに来るのは、悪徳セールスマンと同じじゃない

ですか。110番します」

 「下郎《げろう》が………」

 マハー・カミラが杖を振り上げ、大きく振り下ろしました。

 突然、部屋が大きく揺れました

 鶴葉下さんの目の前。

 天井に頭がつく高さ。部屋いっぱい占領するぐらいの巨大な人が現れたのです。

 炎のように赤く光る髪が腰まで伸び、頭上には金色の王冠。王冠には五つのドクロが飾られています。

 全身、黒光りした皮膚。

 左右の目の間にもうひとつ巨大な目を持ち、瞳は炎のように燃えています。

 白い歯を食いしばり、怒りの表情で鶴葉下さんをにらみつけたのです。

 腰巻以外には、身になにもつけていませんでした。

 腰巻というのは、無数の人間の首を紐でつないだものでした。

 巨大な人の腰で揺れている首たち。

 目を開けたままの首。眠ったような表情の首。恐怖にひきつった顔の首。泣きじゃくった赤ん坊の首も

ありました。

 丸太のように太い腕を持ち、右手に槍、左手に長い刀。

 槍も刀もギラギラと無気味な光を放っています。

 丸太のような両足が床を踏みしめています。

 「ヒーーッ。こ、これは……」

 「お前が毎日、崇めているだろう。 インドの神。マハー・カーラ。巨大な黒い人という意味だ。

 ヒンズー教、シーク教、仏教の神を務める。 このマハー・カーラは、仏教が中国に伝わったとき、大

黒天と名付けられ、お前たちが崇める姿に変えられた。 これがお前の拝んでいる大黒天の正体だ。愚か

者め」

 いつのまにか、マハー・カーラは消えていました。

 「そしてわたしはマハー・カーラ、マハー・カーリから生み出されたマハー一族の神だ」

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