「春乃って可愛いよな」
「わかる」 「でも嶋野さんの次だけどな」 「それもわかる」 愛ちゃんとの仲は中学生の時からで、最初のきっかけははっきり覚えている ~中学一年生のとき~ 私は元々人見知りということもあり、学校が始まって1週間が経っても仲のいい友達を作ることができていなかった。 それもそうだ。だいたい中学校は小学校からそのまま上がる子たちが多いから地元同志だったり、小学校が違っても幼稚園・保育園が一緒だったりして顔見知りのパターンが多い。 私は中学からこっちに引っ越してきたから顔見知りの人はいないところからのスタート。 しかも人見知りという最悪の中学校生活のスタートだった。 ある日次の授業が移動教室の時、私はトイレにいっていて出遅れてしまった。 教室に戻ると誰も人がいなくて焦って教科書をまとめて教室を出ようした。 出ようとした瞬間、誰かが入ってきて盛大にぶつかり持っていた教科書を下に落としてしまった 「あちゃ~。やっちゃった。ごめんなさい」 「こちらこそごめんなさい」 「ありがとう」 その時のことは今も鮮明に覚えている。 ありがとうと顔をあげた時に美人な顔が目の前にあった。 そう、この時が春乃桜と嶋野愛の初めての出会い。 「大丈夫?」 「う、うん!!ありがとう。えっと~」 「私は嶋野愛」 「嶋野さんね。私は春乃桜」 「春乃さんはここで何しているの?次の授業始まっちゃうよ」 「トイレにいって帰ってきたら教室に誰もいなくて焦って教室出ようとしたら嶋野さんにぶつかっちゃった感じ」 「なるほど。私は忘れものしたからとりにきただけ」 「そっか。嶋野さんって次の移動教室の場所わかる?」 「わかるよ」 「それなら一緒にいっていいかな」 「いいよ」 「ありがとう」 中学校に入って初めて面と向かって話せた瞬間だった それからも愛ちゃんと話す機会が増えていって愛ちゃんことを知っていった。 愛ちゃんは周りから才色兼備の完璧な女の子ってイメージを持たれているけど、案外抜けていることが多くて、一番驚いたのが初めてするスポーツはなんか上手くいかないところ。 勉強も常に上位にいるし運動神経も決して悪くないのに、なにかがおかしいというのが笑えた。 愛ちゃんの深い事情は知らないけど、周りからの期待に応えようとする気質が強くて、球技大会みたいな周りから期待される行事のときは私が練習に付き合っていた。 愛ちゃんと一緒にいる時間が長くなれば周りの声や周りの視線がすごく気になりだした。 ほとんどが愛ちゃんに対してなんだが 「春乃さんって嶋野さんがいなければ一番人気かもしれないのにな」 「春乃さん、嶋野さんに連絡先おしえてもらえるか聞いてもらっていいかな」 「嶋野さんに振られたら春乃さんいってみようかな」 当たり前だが周りからの私の評価は愛ちゃんの次でしかなかった。 これは私からみても当たり前だったからよかった。 周りからの評価が2番でも愛ちゃんの一番近くにいるのは私だと思えていた。 私が愛ちゃんのという自負があった。 これが最近少しづつおかしくなっている 愛ちゃんに彼氏ができた。 相手は同じクラスの松岡瑞樹くん。 見た目も性格もイケメン陽キャって感じではなくて、どちらかというクラスでは目立たないポジションにいる突出した何かがあるような感じではない。 愛ちゃんはそんな松岡くんとお付き合いを始めた。 中学生の時から愛ちゃんが異性の話をすることはなかったし、愛ちゃんに対して告白する男の子はたくさんいたけど、ほとんどが相手にされずに散っていった。 それが急に同級生と交際をスタートさせたとなると流石の私でも驚きが隠せなかった。 付き合いだしてからの愛ちゃんは学校での姿は変わらずだったけど 松岡くんと一緒にいるときは全くの別人になっていた。 そう。私が知らない嶋野愛になっていた。 その時に私の中にある自信みたいなのが崩れ落ちたような気がした。 どれだけ周りから2番といわれても愛ちゃんの1番でいれるならそれでいいと思っていたからだ。 しかし、球技大会の日にその気持ちにさらに追い打ちがきた。 松岡くんが相手選手に飛ばされて脳震盪を起こした時に誰よりも松岡くんに早く駆け寄ったのは愛ちゃんだった。その時の愛ちゃんの表情は私が今までみたことがないもので松岡くんのことが本当に大事にしていることを痛感させられた。 その日の放課後に愛ちゃんがクラスで彼女発言してさらにクラスの混乱はました。 私は元々状況を把握していたのもあり、冷静に教室をみていた。 すると聞こえたきたのが 「松岡と付き合うなら俺も告白すれば付き合えたんじゃないか」 「俺も春乃さんに告白してみようかな。嶋野さんが松岡でいけるなら春乃さんだったら以外にもっといけそうじゃね」 こんな言葉は聞きなれていた。 「嶋野さんの一番のポジション松岡くんにとられたじゃん」 「嶋野さんの隣は私の場所みたいな感じだしていたのにね」 女子からの言葉は思った以上に私の心に刺さりまくっていた 別に意図して愛ちゃんの隣を守っていたわけではないけど、言われてみれば確かに腑に落ちる点もある。私は知らず知らずに愛ちゃんの隣にいるのがステータスになっていたのかもしれない そのことを考えると自分ってなんだろうと考えてしまった。 だから私は一つの決心をした。 2番じゃなくて1番になりたい。 球技大会が終われば、次に期末テストと持久走大会が控えている。 ここで愛ちゃんよりもいい成績をだして2番なんて言わせない。 春乃桜は私自身で自分の存在価値を見出す。 これは春乃桜の決意だ。「春乃って可愛いよな」「わかる」「でも嶋野さんの次だけどな」「それもわかる」愛ちゃんとの仲は中学生の時からで、最初のきっかけははっきり覚えている~中学一年生のとき~私は元々人見知りということもあり、学校が始まって1週間が経っても仲のいい友達を作ることができていなかった。それもそうだ。だいたい中学校は小学校からそのまま上がる子たちが多いから地元同志だったり、小学校が違っても幼稚園・保育園が一緒だったりして顔見知りのパターンが多い。私は中学からこっちに引っ越してきたから顔見知りの人はいないところからのスタート。しかも人見知りという最悪の中学校生活のスタートだった。ある日次の授業が移動教室の時、私はトイレにいっていて出遅れてしまった。教室に戻ると誰も人がいなくて焦って教科書をまとめて教室を出ようした。出ようとした瞬間、誰かが入ってきて盛大にぶつかり持っていた教科書を下に落としてしまった「あちゃ~。やっちゃった。ごめんなさい」「こちらこそごめんなさい」「ありがとう」その時のことは今も鮮明に覚えている。ありがとうと顔をあげた時に美人な顔が目の前にあった。そう、この時が春乃桜と嶋野愛の初めての出会い。「大丈夫?」「う、うん!!ありがとう。えっと~」「私は嶋野愛」「嶋野さんね。私は春乃桜」「春乃さんはここで何しているの?次の授業始まっちゃうよ」「トイレにいって帰ってきたら教室に誰もいなくて焦って教室出ようとしたら嶋野さんにぶつかっちゃった感じ」「なるほど。私は忘れものしたからとりにきただけ」「そっか。嶋野さんって次の移動教室の場所わかる?」「わかるよ」「それなら一緒にいっていいかな」「いいよ」「ありがとう」中学校に入って初めて面と向かって話せた瞬間だったそれからも愛ちゃんと話す機会が増えていって愛ちゃんことを知っていった。愛ちゃんは周りから才色兼備の完璧な女の子ってイメージを持たれているけど、案外抜けていることが多くて、一番驚いたのが初めてするスポーツはなんか上手くいかないところ。勉強も常に上位にいるし運動神経も決して悪くないのに、なにかがおかしいというのが笑えた。愛ちゃんの深い事情は知らないけど、周りからの期待に応えようとする気質が強くて、球技大会みたいな周りから期待される行事のときは私が練習に付き合ってい
「母さんこれ」「愛ちゃんがきてくれたから奮発しちゃった」「お母さんこれは奮発しすぎじゃ」真紀に呼ばれて下にいってみるとテーブルの上には俺たちの誕生日でも用意されないぐらいのご馳走の山があった。テレビでしかみたことがない高級なお肉や、お寿司とお刺身の盛り合わせ。他にもサラダやらなんやら。愛の存在は松岡家の食卓を一気に豪華にしてしまった。「愛ちゃん遠慮せずに食べてね」「はい!!」愛は最初ほどの緊張感はなく、徐々に松岡家の空気に慣れてきている。まぁ自分でいうのものおかしいが、家は比較的馴染みやすい家かもしれない。両親はあんな感じだし、妹は愛にべったりだし。他の家をみたことがないからわからないけど。「じゃぁお腹もすいたし、いただこうか」「俊哉君、今日はシャンパンでもあける?」「いいね。愛ちゃんもいるし飲もうかな」「え~。お父さんとお母さんがお酒飲むの久しぶりだね」「今日は特別な日だからね」「愛にこれ以上プレッシャーかけるのやめてあげて」愛は父さんと母さんからの歓迎のされ方に圧倒されて、どうしていいのかわからなくなっている「みっちゃん、私は大丈夫だから」「愛がいいならいいけど」「さぁ飲み物も行き渡ったところで、いただきます」「「「いただきます」」」「何このお肉。めちゃくちゃ美味しいんだけど」「そりゃそうよ。グラム1000円超えているんだから」お肉の相場がわからないからグラム1000円がどれぐらい高いのかわからないけど若干父さんも驚いているところから高いのは間違いない「ほんとだ。このお肉美味しい」愛もお肉にご満足のようだ「えっ?」俺もお肉を食べようとしたときに母さんが急に驚いた声をだした「急にどうしたの」「愛ちゃん泣いているの?」「えっ?」今度は愛が
愛の「彼女」発言から教室はすごいことになっている。そのあとに俺が倒れた後に愛が俺のことをお姫様抱っこしたこと、サッカー部の主将が保健室まで運んでくれたことや倒れた後のことを敬都に聞いた。起きたことを聞くと俺たちが付き合っていることを隠すことも難しいのはわかる。わかるけど、こんな注目を集めている状態で言わなくてもいいんではないかなと思っている。なぜなら先ほどから「あんな地味なやつが彼氏なら俺でもいけたんじゃね」「絶対俺の方がいけているのに...」「嶋野さんって男をみるセンスはあまりないんだね」などなどネガティブな発言が聞こえてくるのが俺の心に刺さりまくっているからだ。愛は何とも思っていないみたいだけど「・・・・」あれ、なんか目がすごく怖くなっているのは気のせいかな「あいつらの顔覚えておこう」なんか怖いこと考えているような気がするけど気のせいかなそんなこんなで俺は男子から、愛は女子からの質問攻めにあいながらもなんとかその場を乗り越えた。球技大会よりも疲れたかもしれない~放課後~「ごめんねみっちゃん」「いいよいいよ。別に絶対隠しておきたいわけじゃないし」「そうなの?」「陰キャ男子と才色兼備の完璧な女の子が付き合っているとなると嶋野愛のブランドが低下してしまって今までの愛の努力の邪魔になるかなって思っていただけ。あとは他の男子の視線が怖かったから」「そんなことみっちゃんは気にしなくていいよ。だって私はそんなイメージなんかよりもみっちゃんの方が大切だし、みっちゃんと付き合って才色兼備の完璧な女の子が崩れなるなら全然大丈夫」「愛...」「みっちゃんが嫌な思いしていないんだったらそれでいいよ」「むしろ助けてもらって嫌なわけないよ」「それならよかった」「さっきから気になっていたんだけど」「なにかな」「なんかそわそわしていない?」「そう?」「
保健室の扉が開いた先に立っていたのは「母さん...」俺の母親の松岡真奈だった「瑞樹大丈夫?先生から頭を打って倒れたって電話があったから」「うん。さっき起きたところだけど大丈夫そう」「そう。よかった。」「心配かけてごめん」「いいのよ。ってそちらは」「わ、わ、私は瑞樹くんの彼女の嶋野愛と申します」「瑞樹の彼女?」「は、は、はい。瑞樹くんと健全な交際をさせていただいております」こんな緊張している愛をみるのは初めてで、面白いし可愛いと思えてきた「あらそうなの。瑞樹にこんな可愛い彼女がいたなんて。母さん初耳なんですが」「いうタイミングがなくて」本当は家に何回も連れていて真紀もしっているぐらいだ。母さんは基本的に仕事で日中はいないからそのうち紹介すればいいかなぐらいで思っていて彼女ができたことをいっていなかった「まぁいいけど。愛ちゃんこれからよろしくね」「はい。お母さま」「真奈でいいわよ」「はい!真奈さん。よろしくお願いします」いきなり息子の彼女に名前呼びさせる母親ってどうなのかっていいたくなるが愛も母さんも楽しそうだからいいか「瑞樹に彼女ができていたことにも相当驚いたけど、学校の先生から電話があったときに球技大会のサッカーで頭を打ったときいたときも同じぐらい驚いたわよ。瑞樹がまだサッカーをしてくれているなんて」「どうゆうこと?」「私はあなたの母親よ。あなたがサッカーを辞めた理由もなんとなくは理解しているし、本当はまだあきらめがついていないことも理解しているつもりよ」母さんにはすべてお見通だった「それに瑞樹は覚えていないかもだけど、瑞樹は「お母さん、僕は将来プロサッカー選手になってみんなのヒーローになるんだ」っていっていたときの顔は今も忘れない。私はなれるなれないは関係なくあんな顔しているあなたのことが大好きで誇らしかったのよ」「でも、あなたが中学の最後に
「母さん、俺サッカーは中学で辞めるよ」「そう」母さんは一言だけ返事して、そのあとは何もきいてこなかった。その時の母さんの気持ちは呆れだったのか悲しいだったのかはわからない。ただ母さんのあの時の顔は悲しそうに見えた。「夢か...」また昔の夢をみてしまった。最近はよく自分がサッカーしてたあの時の夢をよくみるそれもそうだ、久しぶりにサッカーをして...あれ、サッカーをしていて俺どうなったんだっけ。「みっちゃん!!」「愛?」愛が突然俺の胸に飛び込んできた。俺はどうゆう状況なのか全くわからなかったが、愛は泣いていたからとりあえず抱きしめた「えっと。俺はどうなったの?ここ保健室だよね」「覚えていないの?」「そのようです...」「みっちゃんはあのクソ男に横から飛ばされて頭を打って気を失っていたんだよ」「確かに。横からかなりの衝撃を受けて飛んで行ったところまでは覚えているような覚えていないような」記憶が曖昧なのは脳震盪を起こしたからだろう。前もこんなことがあったからなんとなくわかる。しかも飛ばされた衝撃で倒れた側の身体は傷と砂だらけになっている。「それよりも俺が気を失った後どうなった?」「それよりもじゃないよ!!心配したんだから。」「ごめんなさい」「みっちゃんが倒れた後、サッカー部の主将が間に入って相手のクラスは失格になって私たちのクラスの勝ちになったよ」「失格って...そんなルールあるんだ」通常のサッカーだったら故意なファールはイエローカード、レッドカードが出たりするが、球技大会だからこその失格ということかなそれにしても、相手から飛ばされて脳震盪で退場ってどんだけださいんだよ俺。愛と「区切り」みたいなかっこつけたこといってこの体たらくはあまりにも残念すぎる「...」「どうしたのみっちゃん。どこか痛いの?」「いや、自分が情け
調子に乗っていたのは間違いない敬都が今までされていたことを考えると木村にこのぐらいをの「恥」をかかせてもバチは当たらないでも恥をかかされた男の思い切りを甘くみていたのかもしれない。佐々木にパスを出した後に横からものすごい衝撃を感じた。次の瞬間俺の視界は一瞬真っ暗になった。おそらく俺以外は今どのような状況になっているのかはわかっていただろうが俺は何が起こったのが理解するまで時間がかかった。今の衝撃は木村がボールがないタイミングでラグビーなみのタックルを横からあびせてきた衝撃だった。俺は衝撃で飛び、頭を打った感じだ。この感じは現役時代も一度経験したことがある。脳震盪を起こしてるんだろう。周りの声は聞こるけど意識が朦朧としているそのころコートの中では「おいてめぇあきらかにわざとやっただろ」「黙れ、こいつが調子に乗ったからだろ」「てめぇ」森田と木村が殴り合いになる前に3年生のサッカー部の主将があいだにはいった「おい木村」「なんすか」「お前今わざとやったな」「だったら」「退場だ」「何言っているんですか?これぐらいで!」木村は興奮した態度で3年生に食らいつく「これぐらいじゃねぇよボケ」サッカー部の主将は木村に対してどなった。体育会系の主将ともあり、怒鳴り声は怖い体育教師なみだ木村も主将の圧に圧倒されている「今の状況わかっていってんのかお前。お前がぶっ飛ばしてそこに寝ている子はおそらく脳震盪をおこしている。もし打ち方が悪ければ障害が残ることだってあるんだ。サッカーはスポーツだ。競技中におこってしまった怪我でも故意じゃなければ許されることもある。でもお前が今やったのは明らかにわざとだ。お前にスポーツする資格なんてねぇよ。お前らのチームは運営の権限で失格にする」「そこまでするのか」「当たり前だ。これはスポーツじゃない。あくまで