LOGIN大翔さんがいなきゃ、わたしはスイーツを作ろうと思えなかったかもしれない。 単純にスイーツを食べることが大好きってだけで、ここまで来ることは思ってなかった。「わたしは、スイーツが大好きだよ。食べることも、作ることも大好き。……だけど、わたしは大翔さんと一緒にいる時間が、一番大好きなんだよ。大翔さんがいないと、わたしは生きていけないもん」「由紀乃……」 だってわたしは、天野川由紀乃。スリーデイズの副社長である天野川大翔の妻だ。 大翔さんのことを誰よりも尊敬しているし、誰よりも愛おしいと思ってる。 大翔さんは誰よりも頼れる存在で、わたしにはもう大翔さんと過ごすこの時間がかけがえのない大切な
【〜最高の幸せは家族三人で〜】 「ただいま」 「大翔さん、おかえり。 今日もお仕事、お疲れ様でした」 「ありがとう、由紀乃」 わたしは大翔さんに「先にご飯食べる?」と聞くと、大翔さんは「ああ、そうするよ」と答える。 「今日の夕食、大翔さんのリクエストのチキン南蛮にしたよ。後豚汁とピリ辛キュウリ」 「お、チキン南蛮は嬉しいな」 「すぐ用意するね」 あれから気が付けば、半年が過ぎた。 半年間色々とあったけれど、無事にオンラインショップでのスイーツ販売にもこぎつけることに成功した。 そしてスリーデイズのオンラインショップでも自慢のアップルパイをハーフとホールでの販売も開始したところ、これがまた大反響なのだ。 大人気のためオンラインショップがサーバーダウンしてしまうことがあり、お客様には迷惑をかけてしまったが、無事にサイトも復旧しまた販売が出来るようになった。 思わぬサーバーダウンにわたしたちもてんやわんやでバタバタしてしまったが、サーバーに強いスタッフがいるおかげで割とすぐにサーバーは復旧することが出来たのも良かったと思う。 「お、チキン南蛮美味そうだな」 「ふふふ。正直、自信作」 「そうか。 よし、食べよう」 二人で「いただきます」と手を合わせると、大翔さんは早速出来たてのチキン南蛮に手を伸ばす。 パリパリというチキンの音が、口にした瞬間にいい音を奏でている。 「うん、美味いっ」 「でしょ? 自信作だからね」 「本当に美味いよ。最高だわ」 「ふふふ。良かった」 大翔さんがこうやっていつも美味しそうにご飯を食べてくれるから、わたしも作って良かったと思える。 一人で食べるより、やっぱり二人で食べる方が何倍もご飯は美味しい。 「豚汁も最高に美味い」 「良かった」 わたしが作る豚汁は出汁に特にこだわっている豚汁で、味噌は白味噌を使っているのだけど、出汁が美味しいから豚汁がもっと美味しくなっている。 「いつも美味しく食べてくれるから、わたしも嬉しいよ」 「本当に由紀乃の料理は美味い。疲れた身体を染み渡る」 「良かった」 大翔さんと色々と切磋琢磨しながらこうして美味しいスイーツ作りをしてきたけど、美味しいスイーツでみんなが喜んでくれるのはやっぱり嬉しいし、作ってて良かったと実感する。 「そうそう。ネットでのアップルパイの注
片山さんがそう伝えると、新メンバーの人たちは驚いているようで、「えっ! あ、天野川副社長の奥様……ですか!?」とわたしを見ている。「はい。わたしは副社長の妻です。……片山さん、伝えてなかったんですか?」「言ってたつもりだったんだけどね」「すみません。聞いてなかったのでビックリしました」 そう言われたけど、「わたしのことは普通にリーダーでいいですよ。 副社長の奥様だとか、気を張ることないですからね」と念の為伝えておいた。「お、恐れ多いです……」 と言われたけど、「わたしだって普通の一般人ですよ?元はスイーツ大好きな一般人です。 なので、気負わず話しかけてくれたら嬉しいです」と笑顔を見
わたしたちは頷きながら「はいっ!」と返事をした。「求人募集についての補足になるが、募集開始後の面接は俺と片山、二人で行うことになった。 片山、宜しく頼むよ」「えっ!わたしですか……!?」 片山さんは驚いたような表情をしている。 大翔さんは片山さんに「片山は俺がスイーツ部門を立ち上げた時からの初期メンバーだからな。片山が一番適任だと俺は思ってるんだが……どうだ?」と聞いている。「わたしも、片山さんが適任だと思います」 わたしがそう伝えると、片山さんは「そこまで言われたら、断れないじゃないですか」と言っているものの、「わかりました。面接担当、引き受けます」と受けてくれた。「ありがとう
無理だけは絶対にさせられない。「なんとか人手を増やせない、ですかね」「人手が増やせれば、なんとか回せるんだけどね……」 今の人数でやれることがギリギリになり、仕事を増やしてしまうと負担を掛けてしまう。 そうなると、なかなかお取り寄せにまでは辿り着くのは難しいかもしれない。「片山さん。副社長に、求人募集の依頼をかけてもらいませんか?」「求人募集?」「はい。社員でなくても、例えば短時間でも働けるスタッフとか、土日だけ働きたいみたいな人たちを募集してみませんか?」 派遣みたいなスタイルにしてもいいし、その人が働きやすい環境で働いてもらえるように、募集をかけていくしかもうない。「パ
ワンホールでの販売すれば、家族みんな分け合って食べられるし、自分なりにアイスを乗せたりしてアレンジも効くから、そっちの方がいい気もする。「そうだな、店舗では4/1カットが基本だもんな。……なあ、お取り寄せにするなら、ワンホールとハーフカットが選べるってのはどうだ?」 「ハーフカットとワンホールを選べるようにするってこと?」「そうだ。少人数だとワンホールは多いだろうし、ハーフカットを選べたら少人数でも食べやすいと思わないか?」 ああ、確かに……!「そのアイデア、素敵だね」「カップルや友人で少人数で食べるなら、ハーフカットくらいがちょうどいいだろ? ワンホールじゃ多くて食べきれなくなる
二ヶ月後の出店に向けて、わたしたちはスイーツ開発のための計画を立て始めたーーー。 * * * 「ただいま」「おかえりなさい、大翔さん。お仕事、お疲れ様でした」 その日の夜、帰宅した大翔さんを玄関で出迎えた。「ただいま。ありがとう、由紀乃」 ジャケットを脱ぎネクタイを緩めた大翔さんは、わたしに「アップルパイ、今日も見事に完売だそうだ。良かったな」と言ってくれた。「うん、良かった」 アップルパイは売れ行きが順調で、発売から一週間で千個以上売れている。本当にありがたい限りだ。「Instagramにもね、スリーデイズのアップルパイがたくさん上がってるんだよ」わたしは大翔さんにス
アップルパイに必要なコクは存分に出せると思ったのだが、そのコクがいまいち足りず、なにが足りないのかがわからない。「シナモンの量はね、これでいいと思うのよ」「そうですね……」 アップルパイならではのコクをどうやって出すかが、今度の製作の課題になりそうだ。「やっぱり、砂糖の量をもう少し増やしてみるとか……?」「でも砂糖だけの甘さだけだと、コクは出にくいんですよね」「じゃあどうしよっか」 小野さんや片山さんたちと、より美味しいアップルパイを作るためにわたしたちは遅くまでアップルパイ作りに没頭した。 生地は完成してるから、後は中身だけなのだが。……とはいえ、中身が完成しないとやっぱり
【母の味、試作作り】 大翔さんと結婚してからニ週間。わたしたちは夫婦としての道を歩み始めた。 そして本格的に、わたしたちはスイーツ開発に向けて動き出したのであった。「天野川さん、材料はこれで全部かしら?」「はい。これで全部です」 まだ結婚した実感は、あまりない。 けど【天野川さん】と呼ばれる度に、あぁ……わたしは本当に結婚しているんだなと感じる。「天野川さんのお母様のレシピ通りに、まずは試作品を作ってみましょうか」「は、はい」 いよいよ、アップルパイの試作作りが始まろうとしている。「天野川さんのお母さん直々のレシピになるから、まずはそのままの材料でそのままの手順で作って
【挨拶✕初めてのキス】 ✱ ✱ ✱ 「お母さん、お父さん、初めまして。 天野川大翔と申します」 婚姻届を提出する数日前、天野川さんはわたしの家へ来ていた。 わたしは未だに実家暮らしだったため、わたしの両親は、わたしがいきなり男を連れてきたことに驚いていた。 「え、あ、天野川って……?」 お母さんは天野川さんを見ながら、あたふたとしていた。 「失礼しました。 株式会社スリーデイズの副社長を務めております、天野川大翔と申します」 「スリーデイズ……。って、ええっ!? あ、も、もしかして、あなた天野川秀人の……?」 「はい。息子です」 「えっ!? お、お母さんっ!?」 娘が連れ







