Home / 文芸 / ソラと庭ごはん / 第二話 カップカレーラーメンと北斗七星(その二)

Share

第二話 カップカレーラーメンと北斗七星(その二)

last update Last Updated: 2025-04-14 11:00:45

——夕方四時を回った頃。

夕焼けの差す茜空が鮮やかに見える。

その傍ら、境目からチラッと覗きにきたのだろうか。

夜の顔がほんのり見え始めようとしていた。

(ふぅ~! やっと一つ終わったぁ……頑張った、私!)

今日中に済ませたかった分の仕事が、ようやく一段落着いた。

ちょっと強引に終わらせたというのが正しいけど、なんとかなると思いたい。

(残りの仕事は余力あれば、庭キャンプの終わった後にしよう)

急いで服装を変えることに、部屋のクローゼットへ向かう。

いつものように上は黒の暖用肌着、紺色のトレーナーパーカーとワインレッド色のウインドブレーカーに着替える。

夏以外はほぼ定番化しているコーディネートだ。

下は気分転換に今回、黒色のジーンズにすることにした。

この時間はそんなに冷えることはないだろうと思い、準備をすることも含め外へ出てみる。

(夕方でこの寒さかぁ……今のところ悪くはなさそうだけど)

夜になると、一転して急激に寒くなってしまう。

今回はその寒さ対策としてブランケットや毛糸マフラー、使い捨てカイロを持参する。

ただ、耳まで冷えると長居をするのにはちょっと厳しい。

耳の冷えを防ぐために覆えるニット帽も被り、庭へ向かった。

(防寒出来そうなものは持ってきたけど、夜は更にどうなるんだろう?)

収納庫から黒色のテーブルとベージュ色のローチェアを出し、いつもの所定地に広げる。

ローチェアの背もたれにマフラーを掛け、座るところにはブランケットを置いた。

追加でウッドデッキの棚も一緒に置いている。

そこへ星空の本やコーヒーを淹れる時の道具も置くことが可能だ。

(物は少ない方がいいけど、たまにはちょっとオシャレ感も取り入れたい……)

本当は焚き火も合わせて暖をとりかった。

けれど他に周りの景色が明るすぎると、写真を綺麗には撮りにくい欠点だ。

代わりに暖をとる方法として選んだのが「携帯カイロ」。

(手軽ですぐに温まるし、特に冬は必須アイテムの一つで欠かせない)

たまに炬燵を用意してくつろいでいるシーンが、動画サイトやテレビで見かけたことはある。

もちろん、そう出来たらいいなぁと憧れを持っている。

しかし、それをするには電源コードやバッテリーが必要になるだろう。

(うぅむ、欲しいけど……まだその機器類は持ってないのと予算があるし……。いつか恭弥さんに、相談してもいいかなぁ……?)

次に明かりをとるのは、主に二種類。

一つは、机や手元用に灯すOD缶を取り付けたリトルランプ。

リトルランプは私が初めて購入した筒状の形をしたテーブルランプの一つ。

明るさはそんなにないが、幻想的な優しい灯りを灯してくれる。

(ほんのりとした明るさが、不思議と癒してくれるものだ)

もう一つは、乾電池で使えるLEDタイプのランタン。

蛍光灯色と暖色の切り替えが可能なものだ。

最近だと百円均一のお店で値段は百円ではなく、高めのものだがよく見かける。

(星を見る時だけ、その場ですぐ明かりを消すことが出来る)

リトルランプだけでは、手元は良くても周りへの明かりを灯すパワーが弱い。

特に片付けの時間、テーブルランプは消しちゃうから真っ暗な景色で何も見えない。

ランタン一台あると手軽に持ち運べるし、どこかへ移動したい時に便利だ。

(電池は昨日新しいものに入れ替えたし、この二つがあれば充分だろう)

あとは残りの道具を揃えるだけ。

家のキッチンにある棚から次々と取り出した。

シングルバーナーとカップ麺、お箸とコッヘルとコーヒー一式を取手付きのコンテナに入れる。

忘れ物がないか確認し、いつもの場所である庭へ運んでいく。

(ふぅ……。さてと配置は、コレとコレを……)

庭でセッティングしたテーブルの上へ、この後すぐに食べるカップ麺など並べる。

コーヒー用の道具は全て木製折り畳み棚に置いた。

コーヒー一式の中身に関しては、食後のコーヒータイムの時に説明をするとしよう。

(星を見る前に、お腹が空いてしまうから先にご飯を……)

ひとまず、腹ごしらえと身体を温めるためカップ麺を食べることにする。

カセットコンロ用ボンベ(通称:ガス缶)をシングルバーナーに取り付ける。

バーナーについている五徳の上に、水の入った深めのコッヘルを置いて点火する。

まぁ、いわゆるお湯を沸かすだけの作業だ。

その際しばらく時間が掛かるため、手が空いてしまう。

(合間に、タブレットで夜の気温と星空の情報でも検索してみようかな)

私はタブレットを手にとり、今夜の天気予報と季節ごとで見える星空を検索してみた。

(今のところ星マーク……。気温は十度台と……)

天気はこのまま曇ることなく、気候も急激に寒くはならないみたいだ。

でも、身体を温かくするには越したことはないだろう。

次は「春の星空」と検索を掛ける。

(ふむ……この時期は、春の大三角と北斗七星が見えるのかぁ……なるほど)

思えば星空って都会では、なかなか山奥みたいに綺麗な星を見れるわけではない。

見えても、せいぜいちょこっとだけ小さい星やお月様を綺麗に見られるくらいが限度だ。

——これが、自然で囲まれている田舎に住むところの特権なのだろうと思うのである。

Continue to read this book for free
Scan code to download App

Latest chapter

  • ソラと庭ごはん   第十一話 縁側に囁く夜風のような素麺

     (今日も真夏日かぁ……)私は、リビングにあるテレビで、夕方のワイドショーを見ていた。最初の特集が、現在の天気にまつわるもので各地の猛暑日などを取材している。(都会の猛暑は、いつ見てもバテそうだ……)という私も、結婚する前は都会に住んでいた。コンクリートから出る熱気に、体力が消耗して負けてしまう。そう思うと、この暑さでよく通勤や通学していたものだと感心してしまった。今日はオフの日……というよりも、お盆期間に入った。私の夏休みは、今年の場合だと五連休。旅行に行く分には良いのだが、何かをしたい訳でもない。ちなみに恭弥さんは、明日から家に帰ってくる予定だけど三連休しかないらしい。(早ければ今日の夜に着くと、彼は言っていたけど、どうかしら?)理想としては安全運転でありつつ……だけど、なるべく早く帰ってきて欲しい。ソファーにあった丸いクッションを抱え、彼の帰りをドキドキしながら待っている。(あ、そうだ! 今日の晩御飯……まだ何も用意してない)ボーッとテレビを見ている内に、気がつけば夕方の六時をとうに回っている。まだ、メニューを決めていなかったことに気づいた。ソファーから立ち上がり、キッチンの冷蔵庫やパントリーの棚を開ける。今、何があるのかと食材を確認する。(今日のお昼間もかなり暑かったし、何かさっぱりしたものが食べたくなるなぁ……)パントリーの棚を見ていたときに、ある食材を発見した。未開封で、中に白いものが束として入っていた透明

  • ソラと庭ごはん   第十話 ボロネーゼと夏の大三角(その三)

     食事後、焚き火の中にやや太さがある薪を二本追加する。ご飯だけではなく、星空を見るための庭キャンプ。特に夏の大三角といわれるものや季節の風物詩である、七夕といえばお馴染みの天の川が見えやすい時期だ。夕方六時半とはいえ、そろそろ夕日が落ちてしまう時間になる。(よし、そろそろ明かりをつけよう)私は、小さめのLEDランタンを先につける。先日恭弥さんから誕生日プレゼントでもらった、テーブルランタンをつけることにした。テーブルランタンは、OD缶という上側に丸みがあるガス缶を取り付けて使用する。ちなみにODの意味はOUT DOORの略のこと。ホームセンターやアウトドアショップ専門店で売られている。(ランプ取り付けたら、まずはガス栓ダイヤルの確認から……)ガス栓がマイナスになっているか、チェックしておく。そして、ダイヤルの反対側にある火力調整レバーを左に寄せていよいよ着火だ。ランタンの着火する場所の隙間でも、着火しやすい先端が伸縮出来るライターでカチカチと火をつける。ライターに火がついた瞬間、着火場所の隙間を狙う。ガス栓のダイヤルを回しながら、ランプの火をポッと灯していく。あとは、私好みの灯火の形や大きさを調整して完成!(あぁ、良い眺め……)ランタンを見つめてはウットリしている。他にこれも初登場であろう、オイルランタンも導入することに。オイルランタンは別の日にでも使うから、機会があれば説明できたらと思う。火をつけ終わると、メッシュタープの柱にランタン用太めのハンガーを引っ掛け吊るした。夜の七時を過ぎると、夕焼けの出番も終わって暗くなり始めている。これからが夜の始まり

  • ソラと庭ごはん   第十話 ボロネーゼと夏の大三角(その二)

     急いで着替え終わった私は、外の収納庫へ向かった。メッシュタープや焚き火台、黒のアイアンテーブルやチェアを出していく。あとは玄関内の収納室からキャンプギアを必要な分だけ取り出し、外へ運びこむだけ。(料理は、シンブルバーナーの方が早いから出しておこう)今回は焚き火台で調理しないことに決めた。別で用意した調理器具は折り畳み式のガスバーナーにして、お湯を沸かす方法で取り組もうと思う。メッシュタープを立て終えた後は、いつもの配置でテーブルなど順番に置いていった。(もう暗くなる前に、焚き火をやり始めなきゃ!)日が落ちる前にやっておかないと、暗闇の中でやるのは大変だからだ。焚き火台の中に前回の炭や乾燥した松ぼっくりと細い木の薪を山型にして組んでいった。先日作ったフェザースティックにライターで火をつけ、下の方に火をスティックごと放り込んだ。火吹き棒で吹き込みつつ火が燃え回って来たところで、太めの薪を二本追加で積んで燃やしていく。(色々と作業してたらお腹も空いてきちゃったなぁ……)その間、私はまず腹ごしらえとして晩御飯を作ることにした。(乾麺とソースを出して……)インスタントで済ませちゃうけれど作ってみようと思ったのが、パスタだ。数種類ある中から選んだソースは、王道のボロネーゼ。私は、パスタの中ではミートソースが大好きである。ガスバーナーの先に五徳を取り付け、深めの片手鍋クッカーで水と塩を入れて沸かす。沸騰さえできたら入れても良いように、一人分の麺を分けてあるし準備万端だ。(お湯が沸くまで、しばらく休憩しよう)今回選

  • ソラと庭ごはん   第十話 ボロネーゼと夏の大三角(その一)

     ——七月下旬へとうに入っていた頃。ここ山奥でも、お昼間になると蒸されるような夏の暑さが本格的に入ろうとしている。現在時刻はお昼を過ぎ、午後二時くらい。私は今日も原稿を眺めながら、校正の仕事をこなしている最中だ。今回の原稿は、来月にウェブ版で掲載する夏の風物詩をテーマにした作品を発表を設ける。その中の一つに、七夕が入っていた。七夕といえばお馴染みであろう、天の川をはじめ彦星と織姫の星が見える。(そういや、今日の天気ってどうだったかな?)スマートフォンに入っている天気予報のアプリで確かめることにした。テレビで流れる週間予報のように、色んな場所を一覧で並べている。一番上の欄は我が家の住んでいる地域に登録している。(今日の予報では曇り一つも無さそうだけど、念のために外を見て確認しよう)ひとまず、作業部屋の窓から確かめることにした。レースカーテンをチラッと捲り、窓の外を覗いてみる。雲一つもなく、清々しく爽やかな水色の青空。(これなら、今日の夜でも星空が充分観れそうだ!)しかし、一つ問題があった。机の上をチラッと見る。(どうしよう、原稿がまだもう少し残っている……)今日の朝からリモートで打ち合わせなどと他の仕事が色々ありすぎて、山積みに抱えている。そんな状態で、ご飯を作れる時間が余裕にあるのか悩む。夏を迎えているから、お日様の滞在する時間が長くなった。夜の焚き火もするなら、暗くならない時間帯に準備もしないといけない。山奥の夜は都会よりもかなり涼しい。寒くなる時もあるから、無いよりかはいい。

  • ソラと庭ごはん   第九話 フィールドパーク・デート(その二)

     緩やかな坂道を登りきった後、ショッピング施設の入口の反対側にある裏手へ行く。そのまま真っ直ぐ行くと、カフェレストランの入口へ着いた。営業時間帯はまだカフェタイム……と言っても、あと一時間ぐらいで終わってしまう。メニューを確認してると、私たちを見かけた店員さんが扉を開け声をかけてくれた。「本日のカフェタイムで提供できるデザートメニューは、残りのドライフルーツのパウンドケーキのみになりますが……いかがでしょうか?」「あぁ、まぁ……とりあえず入ろうか」私はコクっと深く頷いた。恭弥さんは入りますとゴーサインを出し、カフェレストランコーナーへ入ることにした。「お席は空いてる所へどうぞ」(どこにしようかな……あ、ここにしよう)店員さんがそういうと良さそうな席を選ぶように、私は周りを見回す。景色も眺められそうな窓側の席へ指定した。「おっ、外の景色も見えるんだな」「うん、だからここにした」「いいじゃない?」そして店員さんが水を持ってきて早速、注文を取ろうとする。「ご注文はお決まりですか?」「デザートはパウンドケーキのみでしたっけ?」恭弥さんは、その店員さんに質問をかける。「そうですね、他の二つは生憎既に完売してしまいまして……」そう言って、店員さんは申し訳ございませんと頭を下げた。ちなみに完売した他の二つのデザートは、ガトーショコラとベイクドチーズケーキだった。

  • ソラと庭ごはん   第九話 フィールドパーク・デート(その一)

     今日は恭弥さんとドライブも兼ねてのお出かけ。だけど……。「え~……今この辺だけどさぁ~……コレ、どこへ行こうとしてるんだ?」彼と、行きたい目的地の専用駐車場へ向かおうとしているはずだった。しかし、今はそこと別の駐車場付近に居る。コレはつまり、完全に迷ってしまった。車に搭載しているカーナビとスマホのマップアプリで検索したものを照らし合わせている最中だ。(曲がる場所が複雑すぎる……ナビでも難しいなんて)どうやら高速道路のジャンクションらしい所を通ると、すぐ目の前が目的地の駐車場。だが、そこへ辿り着くまで少々ややこしい……。というのも、曲がる場所を間違えてしまうと高速道路に向かう方向へ入ってしまうそうだ。「とりあえず、私も地図見ながら案内のサポートするからゆっくり前へ進んでみよう?」「ん……わかった」そんな訳で、少々不機嫌で難しそうな顔の恭弥さんは運転を再開。私も慎重にフォローをしないといけない。(とりあえず、道の曲がる場所を正しく誘導出来るのを頑張ろう)「恭弥さん、ここを左に……」「ん? ここ?」「そう、ここ」私は曲がるタイミングを伝えながらサポートをしていく。今日は前から行ってみたかった、隣の市にある大きな公園内のフィールドパーク。昨年九月頃にオープンしたものの、予定がなかなか合わなくて行けずじまいだった。(あぁ、やっと恭弥さんと予定の合う日が出来

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status