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28.虫!

Auteur: 空空 空
last update Dernière mise à jour: 2025-08-09 22:20:37

 息をのんで、ムカデがちらりと見えた暗がりへと歩みを進める。

しかし……そこにはもう何の姿もなかった。

「ふぅ……」

 その事実に、内心少し安堵する。

さっきはその片鱗を見ただけで、その……正直ゾッとしてしまった。

たんなる魔物とはまた違った嫌悪感、本能からくる原始的な恐怖……。

その姿にある種の馴染みがある故に、経験を伴った嫌な感じが全身を這いまわるのだ。

「デカい虫って……結構、怖いですね……正直……」

「ほら、だから言ったろう? こういうダンジョンはこれだから……面倒なんだ。ボクも……あいにく少し苦手でね……」

 鹿間さんもさっきの遭遇に辟易した様子で苦笑いする。

その視線は本来は見たくもないであろう魔物の姿を探して、辺りを注意深く観察していた。

「でも……さっきのムカデ、俺たちを見て逃げましたよね? 道中もさっきのデカいの以外まだ何にも会ってませんし……こうやってずっと隠れててくれるなら、それはそれでありがたいんじゃないですかね?」

 思えば、現実での虫もそうだ。

基本的に奴らはどこかに身を潜めて生きている。

だから、多くの場合俺ら自身がその領域に立ち入らなければ会うこともそんなにないのだ。

「そうだね……確かに、虫の姿をとった魔物は姿を隠していることが多い。でもね、水瀬君……勘違いしちゃいけないのは……それは彼らが臆病だからそうしているわけではないってことだ」

 鹿間さんは俺の言葉に頷きつつも「飽くまで警戒を怠るべきではない」と念を押してくる。

「虫って言うのは……ダンジョンの内外に関わらず、システマチックというか……ある意味機械的な生き物なんだよ。思考する……というよりは、あらゆる状況の変化に……その設計通りの反応をするんだ。そして、その設計という点において……ダンジョン外の虫とは大きく異なる部分が一つある。それは生き延びるための選択肢として逃げ隠れるのではなく……異物であるクリーナーを排除することを選んでいることだ。だから……ボクらがこのまま何事もなくボスフロアや出口にたどり着くことはありえない。彼らはボクたちをじっと見ている。振動で、匂いで……じっくり様子を窺って……仕留めるタイミングを待っているんだ」

「う……」

 鹿間さんの言葉に、今やその気配も感じられないあのムカデのことを思い出して鳥肌が立つ。

それに……当然のことだが、このダンジョン内に居
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