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36.正式な初仕事へ

Penulis: 空空 空
last update Terakhir Diperbarui: 2025-08-17 21:36:24

 翌日……。

色々と片付かない問題は残るけれど、これで今日から……正確には昨日カードを渡された時から俺は正式にクリーナーだ。

そういうわけで、俺は午前中から携帯の画面を睨みつけていた。

「優くん?」

 なぜ携帯を食い入るように見ているかというと、こうして俺でも潜れそうなゲートを探しているのだ。

「おーい、優くんやーい……」

 もちろんゲートを探すなんて言っても、SNSを見て目撃情報を探しているとかそういう気の長いことをしているわけではない。

「むぅ……優くーん……?」

 クリーナーたちは、こうしてカードを貰うと……あるアプリケーションをダウンロードすることを推奨されるのだ。

これは一般向けに出回っているものではなく、利用者はもれなくクリーナーだ。

 このアプリでは、発見されたゲートの位置情報と等級がリアルタイムで更新される。

それを参考に俺たちクリーナーは現地へ向かいダンジョン攻略をするというのが基本的な流れなのだ。

例外的に……協会側が攻略メンバーを指定して「特定のダンジョンを攻略してくれ」と依頼を出す場合もあるのだが、まあそれは今は関係の無い話だ。

 さて、じゃあそれならどうして画面を見つめてそんな難しい表情を浮かべているかというと……結局のところ俺でも攻略できそうなゲートがなかなか見つからないからだ。

 ダンジョン攻略となると、現実的な話をするなら当然報酬の分配という問題が出てくる。

そのため、攻略できるのであれば少ない人数で攻略してしまった方が儲かるのだ。

攻略メンバーは現地で様々な条件をすり合わせ、戦力が十分だと判断したらもうダンジョンに潜ってしまう。

そうなった場合、このアプリはインベントリと連携されているため、攻略隊がダンジョンに潜ったのを受けてメンバー募集中のゲートの表示が攻略中に変わる。

そこまでいくとトラブル防止のため、もうそこの攻略人員は締め切りとなってしまうのだ。

 で、じゃあ俺に適したゲート……つまり俺の等級と同じE級のゲートが望ましいのだが……。

それは一番簡単なゲート、D級以上のクリーナーが数をこなして稼ぐために単身攻略してしまうクリーナーが少なくないのだ。

だからE級ゲートは募集中から攻略中に変わるまでの時間が短い。

そういうわけで絶対数は多いとはいえ、なかなか捉まえるのが難しいのだ。

時々クリーナー初心者たちのために、本来攻略に
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