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第410話

Auteur: Raisaa
モルウェンナは頷き、満面の笑みを浮かべた。

「ありがとう、ディリアン」

彼女は身を翻し、軽やかな足取りで部屋を出た。扉が開くや否や、外で待機していたスヴェンが背筋を伸ばした。

「行きましょう」

モルウェンナが彼に言った。

「ついてきて」

スヴェンは恭しく頭を下げ、彼女の後を追って歩き出した。

ディリアンは席から立ち上がった。

執務室を出る彼の足取りは、いつもより重く感じられた。城の長い回廊は、もはや隠そうともしないひそひそ話で満ちていた。

ヴィヴィエンヌ――その名前が、使用人から護衛へ、まるで無理やり蘇らされた古い亡霊のように、次から次へと口伝えに広がっていく。

ディリアンの耳にもそれは届いていた。しかし、彼は無視することを選んだ。

普段なら、彼の一言で噂など即座に消し飛ぶ。彼が一瞥するだけで、誰もが口を噤むはずだ。

だが今回は違う。噂の広がり方が、あまりにも一方向へ寄りすぎている。あまりにも整然としている。誰かが意図的に風を吹き込み、古い火種を燃え上がらせようとしているかのようだった。

そして、それができる人間をディリアンは一人しか知らなかった。彼が、セレー
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