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「寮生活と小さな日常Ⅰ」

ผู้เขียน: カクナノゾム
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-12-10 04:53:51

 朝の光が、白いカーテンの隙間からそっと差し込んでた。

 ここは学園寮スピカ。昨日までのわたくし――いえ、白石香澄としての理性は、まだこれを乙女ゲームの世界だと認識してる。

 ……でも、花と朝露の香りは、どうしようもなく"現実"の匂いだった。

「お姉様、朝ですわよ」

 ミリアの声が、すぐ傍から聞こえる。黒髪セミロングの彼女は、わたくしの枕元に腰掛けて微笑んでた。大きなスミレ色の瞳が朝陽を受けてきらきらと揺れる。

 乙女ゲームの攻略対象ではないけれど、こうして目の前で微笑まれると……何だか胸が温かくなる。

「……おはようございますわ、ミリア。昨日は少し、慣れないベッドで寝返りばかり打ってしまいましたの」

 上体を起こすと、ミリアがさっと髪を整えてくれる。蜂蜜色の縦巻き髪――自分の髪ではあるけれど、鏡に映るとまだ他人みたいで落ち着かない。

 クラリスが不在の寮生活は心細いけれど、この子がそばにいると不思議と安心する。

「今日の授業は香りの実習ですわね? お姉様、絶対に大丈夫ですわ」

「……ええ、わたくしにお任せくださいまし。ここは"イベント"のはずですもの」

 思わず心の中でそう呟いて、苦笑する。

 まだ完全には信じられないけれど、こうしてミリアに髪を撫でられてると、現実感が少しだけ増していく。

 窓を開けると、花壇からふわりと甘い香りが漂った。湿った土と若葉の匂い、そして微かに混じる香水の残り香。

 ――ああ、香りって、こんなにも生きているものでしたのね。

 朝の授業が始まると、寮生活の不安は少しずつ和らいでた。

 ――もっとも、これはゲームで言えば「平和な日常パート」。油断は禁物ですわね。

 午前の香り実習では、花や薬草を使った基礎調合を行う。わたくしは手袋を整えて、蜂蜜色の縦巻き髪を揺らしながら作業台に向かった。

 教室には、ふわりと甘い香りと薬草の青い香りが混じって、思わず深呼吸したくなる。

「あ、ガイル……そんなに雑に扱ったら薬草が台無しになっちゃいますよ」

「うっせー! お前だって震えすぎて葉っぱ落としてんだろうが!」

 振り返ると、日焼けした腕のガイルと、猫背気味のユリウスがわちゃわちゃと言い合ってる。そこに白衣姿のノアが慌てて割って入った。

「あの、二人とも落ち着いてください……でもガイル、ユリウスもちょっと緊張しすぎかもしれません」

「ご、ごめん
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