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「野外実習の告知と出発前夜」

last update Last Updated: 2025-12-29 06:09:18

 夏の空気は、どこか浮き立つような熱を帯びてる。

 寮の窓から見える中庭の木々も、昨日より少しだけ青さを増してる気がする。今日の朝礼は、学園全体がざわざわしてて、生徒たちの足音や囁き声がいつもより弾んでた。

 教室に漂うのは、緊張と期待が混じった独特の空気。

 生徒たちが整列する中、教師が壇上に立って、厳かに告げる。

「――本日より一週間後、フレグラントール学園恒例の"野外実習"を実施します」

 教室の空気が一瞬でざわめきに包まれる。

 私――いえ、白石香澄としての理性は、胸の奥で小さくガッツポーズを決めてた。

(きた……! ついに野外実習イベント!)

 教師は続ける。

「実習は王都近郊の森にて行います。チームごとに行動し、自然観察、野外炊事、そして――協力して課題を達成することが求められます」

 完璧だ。ゲームの第2章とまったく同じ設定じゃん。

 しかも私、エレナとして図書館で過去の実習記録まで調べてた。森での共同生活、星空の下での語らい、そして学校に戻ってからの打ち上げパーティー――攻略対象たちとの距離が一気に縮まる黄金イベント。

 脳裏に浮かぶのは、次々に解放されるイベントCGの数々。特に最終日の告白シーンは神がかってた。

(やったぁ……これ絶対に、好感度爆上がりチャンスじゃん! フラグ管理、頑張らなきゃ!)

 ざわめく生徒たちの間で、私は誰にも見えない心のガッツポーズを決めた。

 最前列のリュシアちゃんは無表情で話を聞いてたけど、隣でひそひそと囁くミリアが、私の腕をちょこんとつついた。

「お姉様、楽しみですわね……!」

「ええ、もちろんですわ」

 でもミリアの表情に、一瞬だけ何か複雑なものが見えた気がする。

 ……思えば、このときにはもう始まっていたのだ。

 いや、もっと前から。

 午後の講堂は、高い天井に全学年の声が響いてざわざわしてた。

 ステンドグラスから差し込む光の中、生徒たちは学年ごとに整列して立っている。私たちは2年生のエリアで、リュシアちゃんと並んで立ってた。少し離れた1年生のエリアでは、ミリアが私たちの方を見て小さく手を振ってる。

 全学年の生徒が集まって、天井の高い空間に声が響く。壇上では上級生が教師に何かを耳打ちしてから下がって、教師が発表台に立った。

 手にした紙を見下ろす教師の指先が、微かに震えてる気がする。

 でも、きっと気の
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  • ノクスレイン~香りの王国物語~   借りの回収と地味バイトⅡ

    「お前の観察眼なら、ヴァルターの不正を見抜けるはずだ。そして可能であれば、シリル支部長に現実を教えてやってほしい」 ハルデンは本題を切り出す。「期間は?」「一ヶ月程度を予定している。報酬はギルド本部から正式に支払う」 その目が、真剣さを増す。「無論、断ってもらっても構わん。だがお前以外に、この任務を託せる人間はいない」 俺はカップを置き、ハルデンを見つめ返す。 この男の言葉には嘘がない。本当に困っているし、俺の能力を必要としている。 だが同時に、これは明らかに計画的な依頼だ。セリナさんがおしゃべりをしたのかな? (手が届くというには遠すぎるけどね……) 俺は少し考える。 彼女が残した言葉と、目の前の状況。そして、この男の真剣な表情。「俺にしか出来ない、ですか」「そうだ」 ハルデンが頷く。「……借りもありますからね」 俺は立ち上がる。「わかりました。引き受けましょう」「ありがたい」 ハルデンの顔に、安堵の色が浮かんだ。「期待させてもらおう」 そして机の引き出しから、封筒を取り出す。「これはお前への紹介状と、旅費の一部だ。残りは現地で支給される」 俺は封筒を受け取りながら、その厚みを確認する。中身はかなり充実しているようだ。「出発はいつごろを?」「できれば明日にでも。グランヘルデまでは馬車で一ヶ月の道程だ」 一ヶ月。かなり帝都を離れることになるなぁ。 ムーアさんの許可を取らないと。「帝国との国境の街ですよね、確か」「ああ、国境まで、あと半日という距離だ」 ハルデンが苦笑いを浮かべる。「王都からは遠いが、だからこそ重要な拠点でもある」「ギルドとして?」「ああ、最近になって、といってもここ一年ほどのことだが、新たなダンジョンが発見されてな」 ――ダンジョン。なるほど、それなら街も潤うし、ギルドも大忙しになるなぁ。 俺は立ち上がり、ハルデンと握手を交わす。「現地では、シリル支部長には『本部からの業務指導員』として紹介する。ヴァルターには警戒されないよう、気をつけてくれ」「了解しました」 応接室を出ると、廊下でセリナさんが待っていた。「お疲れさまでした。いかがでしたか?」「辺境への出張が決まりました。一ヶ月の旅になりそうです」 セリナさんの顔に、明らかな動揺の色が浮かんだ。「一ヶ月、ですか?」

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