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受付嬢と香りの扉Ⅰ

last update تاريخ النشر: 2025-11-18 03:06:33

 王都でいちばん胃が重くなる扉ランキング、堂々の第一位……だろうか。

 白石の外壁に金の扉。月桂樹のレリーフが左右に刻まれ、開閉のたびに上品な香りが漂う。扉の奥には鏡のように磨き上げられた床、金糸のカーテン、魔導式の照明に照らされたガラス棚。どこを見ても、きらびやかで、完璧で――そして場違いな自分が映り込んでいる。

《ベルティエ香水本店》。王都最大の香水専門店にして、王族御用達の『格が違う』店。

 そして俺は、その香水棚の裏側で働く、ただの雑貨屋バイト。しかも派遣の。

(ここには……床にコーヒー豆が挟まってることも、魔道具の取っ手が取れてることもないんだよなあ)

 さすがは高級店なんでしょうか。俺が普段いる場所とは、空気の密度からして違うような気がする。

 ムーア商店でしか仕入れられない香水の運搬と雑用を仰せつかって、ここに向かったのが二十分前。ちなみにムーア商店からここまで、急ぎ足でも三十分はかかる距離だ。

「四分ちょっと遅刻ですわね」

 声が氷点下まで下がった。

「まあ、五分以内ですから許容範囲として差し上げましょう」

 チーフのレイヴィスさんが、今日も絶好調で塩対応してくれる。
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  • ノクスレイン~香りの王国物語~   獣人と地味バイトⅠ

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