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ピロトーク:厳かなブランチの僕と俺3

Author: 相沢蒼依
last update Huling Na-update: 2025-07-07 11:53:21

「郁也さん、出かけるってどこに行くの?」

 不思議そうな涼一の口の端を、ペロリと舐めてやった。

「ちょ!? 」

「子どもじゃねえってのに、ケチャップつけっぱなし」

「だからって、いきなり舐めるなんて!」

「わざとだろ」

 そう断言すると、涼一は頬を赤く染めて「違う!」と唇を尖らせる。

「わざとエロいCDを聴かせて、俺を煽ったり」

「それは偶然だよ!煽るためじゃないし……」

「今もそんな顔で煽ってるし」

 赤らんだ頬、伏せた睫。見てるだけで衝動が抑えきれねえ。

 細い肩を抱き寄せ、首筋に舌を這わせる。

「……んん、いきなり…うっ」

「声、出すなよ。外に漏れるぞ」

「だって郁也さんが……腰、そんなふうに押し付けてくるから」

 涼一は嫌がりながらも、体を預けてくる。

「じゃあ、どこならヤっていい? ん?」

 耳元で囁くと俺を突き飛ばし、左手をぎゅっと握ってくる。睨んでも赤い顔だから、怒りが半減されてしまった。

「ホント、郁也さんってば意地悪ばっかり言ってさ!」

 悔しそうに吐き捨てながら、グイグイ寝室まで引っ張ってくる。耳まで赤い涼一、可愛すぎる。さて、このあとはどうしてやろうか。

「腹がいっぱいになったら、次は昼寝か?」

 ニヤニヤして指摘してやったら、涼一は目を見開き、口を真一文字にする。握ってた手首を投げるように手放した。

(コイツ、いつも俺の予想を裏切るからドキドキする。さすが恋愛小説家、読者と同じく翻弄されてしまうだろ)

 俺から身を翻し、ベッドに飛び込む涼一。布団の中でゴソゴソ蠢く姿が目に留まる。

「うわっ!」

 涼一が着ていたTシャツが、いきなり顔に飛んできた。

(ほほぅ、やる気満々じゃねえか!)

 布団の中に入って見えないだろうが、次を寄こせというジェスチャーをすべく、人差し指をクイクイ動かす。

(ほらほら、次は脱がねえのかよ?)

 ちゃっかり布団の隙間から、俺の様子を見ていたらしい。

「う~」

 可愛らしく唸りながら、ふたたび布団の中がモソモソ動く。その数秒後、ジーパンが飛んできた。それをタイミングよくキャッチして足元に放り、また人差し指を動かして、次を要求する。

「な!?」

「まだ脱いでねえだろ? それとも……」

 ベッドに近づき、布団の隙間から見える涼一の顔を覗く。

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