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ジバ○ャンもといチバニャン

Autor: 相沢蒼依
last update Fecha de publicación: 2025-08-31 13:19:38

「季節はもう10月下旬。年末まであと2ヶ月足らずか、早ぇなぁ」

 企画的には、来年の新年号の事を進行しているが、現在は10月。自身が携わり、発行している小説雑誌【ジュエリーノベル10月号】を、パラパラと捲ってみた。

 掲載している小説の内容も、季節を示すように、ハロウィンネタで溢れかえっている。当然、涼一の書いた恋愛小説にも同じように、ハロウィンネタが組み込まれているワケで。

「……仕事が忙しくて一緒にこういうイベント、過ごす機会がないんだよなぁ。もしかしてこの内容に、涼一の願望が隠されていたりして?」

 この雑誌が掲載される3ヶ月前に、内容をチェックしていたものの、真夏にハロウィンネタを読んでも、イベントの雰囲気を楽しむ余裕なんて、まったくなかった。

「恋人(♀)がカレシのために魔女の仮装して、ドッキリ大作戦。色っぽいその格好に彼の心を鷲掴み。う~ん、涼一の仮装姿か――」

 女顔で体も華奢な作りをしているから、どんな格好でも似合うと、容易に想像出来るが。

「ん? 妖怪ルック?」

 涼一の書いた、小説の扉絵の反対側のページに、冬に行われる映画の広告があって、それが【妖怪ルック】だった
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  • ピロトークを聞きながら   見ざる・聞かざる・ただの猿

     毎年行われる、出版社主催の新年パーティ。今年は一緒に涼一も来ているので、無駄に力が入っている。なんてったって、いいトコ見せたいからな!「おいおい、桃瀬ぇ。やけに鼻の穴が広がっているが、何を興奮しているんだ?」「くっくっく! これが興奮せずにはいられませんよ編集長。今年こそは大賞を受賞してやろうと思いまして」「ぁあ……毎回やってる余興のことか。今年のお題はきっと『申サル』だろうな。去年が未ヒツジだったんだから」 昨年は何故か俺の絵を見て、みんなが驚愕の表情を浮かべてくれたのだが――今年は違う意味で、驚いてもらおうじゃないか。 この日のためにちゃっかり、サルを描く練習まで念入りにしたのだ。大賞をとらないワケがない!「さぁて、今年もやってきました。編集部対抗お絵かき大会を開催します。代表者は前に出て来てください!」 パーティが終盤に近付き、いつものごとく号令がかかったので、わらわらとあちこちの精鋭がステージ上に集まってきた。 テーブルに置かれているスケッチブックを、じっと眺める。そこからぼんやりと下絵になる、輪郭を思い描いていくんだ。「今年のお題は、干支である『申サル』です。制限時間は5分間! 一番出来のいい絵を描いた編集者には、金一封を差し上げます。よぉい、ドン!」 号令とともに、頭の中に思い描いたサルを、鉛筆の音を立てながら手早く描き、ばばばっと色を塗っていく。 普通にサルを描いても意味はない。何故なら周りが普通のサルを描くからだ。 サルといえばケダモノ。ケダモノといえば血が滴っている物を好むだろう。これを見て涼一が怯え、俺に抱きつくのもアリかもしれないな←策士、策に溺れる事を桃瀬は知らない そんなことを考えていたら、自然と口角が上がり、更に色を塗るスピードが上がっていった。 後から聞いたのだが、このときの俺の姿が異常だったと、編集長が言ってくれたのだが。きっとあまりの格好良さに、嫉妬しただけだと思うんだ。 「残り時間はあと1分少々です!」「はい、出来ました!」 カウントダウン前に、難なくお絵かきが終了したのは、俺だけだった。さすがは天才、早さにかけても逸品なのである。「あ……桃瀬さん。皆さんが終わるまで、ちょっとだけお待ちくださいね」 俺の描いた絵を覗き込み、何故か顔を引きつらせながら、ズリズリと後ずさりして行く司会者に、

  • ピロトークを聞きながら   ジバ○ャンもといチバニャン

    「季節はもう10月下旬。年末まであと2ヶ月足らずか、早ぇなぁ」 企画的には、来年の新年号の事を進行しているが、現在は10月。自身が携わり、発行している小説雑誌【ジュエリーノベル10月号】を、パラパラと捲ってみた。 掲載している小説の内容も、季節を示すように、ハロウィンネタで溢れかえっている。当然、涼一の書いた恋愛小説にも同じように、ハロウィンネタが組み込まれているワケで。「……仕事が忙しくて一緒にこういうイベント、過ごす機会がないんだよなぁ。もしかしてこの内容に、涼一の願望が隠されていたりして?」 この雑誌が掲載される3ヶ月前に、内容をチェックしていたものの、真夏にハロウィンネタを読んでも、イベントの雰囲気を楽しむ余裕なんて、まったくなかった。「恋人(♀)がカレシのために魔女の仮装して、ドッキリ大作戦。色っぽいその格好に彼の心を鷲掴み。う~ん、涼一の仮装姿か――」 女顔で体も華奢な作りをしているから、どんな格好でも似合うと、容易に想像出来るが。「ん? 妖怪ルック?」 涼一の書いた、小説の扉絵の反対側のページに、冬に行われる映画の広告があって、それが【妖怪ルック】だった。『クリスマス公開だから、見なきゃ後悔するズラ』なぁんて大きく書いてあり、子どもに絶大な人気のあるキャラクター、チバニャンが他の妖怪を押しのけて、でっかく自身をアピールしていた。「チバニャンの着ぐるみなんて、意外と似合うかもな」 前回イケメンの着ぐるみ姿を描いたからこそ、涼一に似合いそうなモノを、ちゃっかり探していたのだ。 いつものようにスケッチブックを取り出し、仕事中だけど描きたい衝動を抑えられないから、コッソリとその姿を描いて、さっさと色を塗り、短時間で終わらせてやった。「いろんな意味でャバィ・・(-ω-;)可愛いじゃないか、涼一」 突然プレゼントしたら喜ぶかなぁと、ちゃっかりネットで着ぐるみを検索。それを見事探し当てて、ワクワクしながら注文してやったのに。『何考えてるの、郁也さん。そんな妖怪の格好したくない。僕よりも似合いそうな、郁也さんが着てよ』 すっごく嫌そうな顔をしながら言い放ち、部屋に閉じこもってしまった涼一。仕方なく自分でいそいそと着込み、コンコンと扉をノックしてから、思いきって中に入ってやった途端に。『。゚(゚^∀^゚)゚。 やっぱり!! 想像通り

  • ピロトークを聞きながら   こいのぼり

    「……う~ん」 風がとても強くて目を細めながら、どこかに向かって、ひたすら俺は歩いていた。とても見晴らしのいい崖の上に辿り着き、はーっと深呼吸をひとつ漏らす。「はい!?」 そのとき、崖の下にある小高い丘に目が留まる。「どうしてこいのぼりと一緒に、オッサンが風にたなびいているんだ?」 まるで、ふき流しのごとく一生懸命になって、こいのぼりと一緒に並んでいる姿は、異様そのものだった。しかも傍に人がいて、なにか声をかけている。なにを言ってるのか分からないのが、つらいところだな。「うーん、イメージは『風の上のぽに○』って感じかも」 そこで俺は目を覚ました。隣に涼一がくっついているのだが、何故か片脚が俺の腹に乗っかっていて、ちょっとだけ苦しい。「もしかして、この足のせいで変な夢を見たのか。忘れない内に、記録に残しておかなければ!」 いそいそと涼一の足を除け、リビングの電気をつけて、スケッチブックに先程見た夢を、一心不乱に描き示す。「おっ! そういえば今日は5月5日じゃないか。俺ってば、無意識にそれを察知してしまうとか、天才じゃね」 そして傑作は完成した。傍にいた人のセリフは、自分で考えたのだが、どうだろうか? おしまい

  • ピロトークを聞きながら   傑作が出来た!③

    *** いつもより気合の入ったご飯を食べて、お風呂に入り、現在郁也さんが出てくるのを、まだかなぁと待っている最中。「お祝いの意味が全然分からなかった。これから何か、披露されるのかな?」 ゎくo(。・ω・。)oゎくしながら待っていると、頭をタオルでガシガシ拭きながら、手にはスケッチブックを持った郁也さんが、お待たせと一言告げて、隣に座ってきた。「今日は、ホワイトデーだったからな。これを涼一に渡そうと思って、一生懸命に描いたんだ」「あ……」 そういえば、ホワイトデーだったんだ――すっかり忘れてた。僕ってば、何も用意していないよ……「郁也さん、ごめんね。執筆に集中してばかりで、すっかり忘れてた」「いいよ、そんなの。あとからちゃんと徴収するしな」 ほらよ、と手渡されたスケッチブックを眺めるように見つめた。「……何だろ。いつもの絵よりバランスがとれていて、見ていて安心しちゃう」「安心って一体。お前から貰ったチョコを見つめてる、自分の姿を描いて見たぞ」 えへんと胸を張って言ってくれたのだけど、突っ込むべきところは、突っ込まなきゃダメだろうな。「安心出来ないトコも、結構あるけどね。あのさ、刀……どうして鞘をつけないのかなって。何気に血がついているような?」 誰の血なのか、あえて聞かない方向で、話を進めてみるw「チョコに夢中になっていたせいで、うっかり自分をキズつけてしまったみたいな」「そ、そうなんだ。へぇ……」 全然痛そうにしていないのが、郁也さんらしい、のか?「あとさ、ももたろうマスコットは健在なんだね。ちゃっかり和服仕様なのは、お雛様だから?」 前回のイラストに季節物を取り入れていたからこそ、今月のイベントがひな祭りだったから、自分をお内裏様に見立てたんだろうなと、容易に想像ついたのだけど。「ももたろうマスコットは、外せないモノだから。でもお雛様じゃないぜ」 意味深な笑みを浮かべて、身を翻しキッチンに行ってグラスとビールを手に、戻って来た郁也さん。「大傑作の前でふたりで乾杯しようぜ、ほらほら」 その言葉に、思わず吹き出してしまった。確かに大傑作だよ、いろんな意味で。 ――ホワイトデーの文字について、あえて突っ込まないでおこう……「こんな俺だけど、これからもヨロシクな、かんぱ~いっ!」「郁也さんありがと、乾杯!」 カチンと

  • ピロトークを聞きながら   傑作が出来た!②

    *** 執筆が煮詰まってしまい、気分を変えたいなと思って夕方、コンビニ行った。「明日は郁也さんが休みだし、久しぶりにふたりでビールでも呑んで、わいわい騒ぐのもいいかもな」 それでも呑める方じゃないから、500mlを2本とおつまみを数点買って、ルン♪((o'д'))ルン♪気分で自宅に向かっていると、目の前に見覚えのあるシルエット。「あ、郁也さんだ!」 足早に歩く彼の背中に向かって、一気にダッシュ。「郁也さんっ、お帰りなさい!!」 後ろから声をかけたら、体をビクつかせて驚いた顔しながら、こっちを見てくれた。「涼一……ただいま。こんな時間に、外に出てるの珍しいな。買い物か?」「うん。小説が煮詰まってってね、気分転換に外に出たついでに、コンビニで買い物してたんだ。今夜一緒に呑もうと思って」「そうか。じゃあ晩飯、何にしようかな」 顎に手を当てながら考える、郁也さんを見上げた。 そういえばこうやって並んで歩くのは、久しぶりかもしれない。「何だか郁也さん、嬉しそう。いいことでもあったの?」 覗きこんで聞いてみたら、うっと声を詰まらせて、視線を逸らした。 むぅ、聞いちゃいけないことだったのかな?「そ、それはだな、家に帰ってからのお楽しみ。さてさて、何を作ってお祝いしようか」 お祝い――? 首を傾げた僕の腕を強引に引っ張られ、急ぐように家路に着いた。

  • ピロトークを聞きながら   傑作が出来た!

     バレンタインのお返しをすべく、時間をかけて絵を仕上げた今回―― 涼一に知られないよう、職場である出版社で休憩時間を使って描いたお陰なのか、思っている以上に、傑作が出来上がってしまった。 完成した絵を前に、笑みが止まらない始末。「ヤベェ……これ涼一に見せたら、どんなスゲェ反応をしてくれるのかを考えただけで、身震いが止まらないとか」 3月14日の昼休み、会議室にこもって、ひっそりと感想を述べた。「へぇ、桃瀬にしたらバランスのとれた、いい作品に出来てるじゃないか」 背後から声をかけられ、ビックリしながら振り向くとそこには、三木編集長がいるではないか。(――音を立てずに近づくとか、幽霊かよ)「ありがとうございます……頑張ったので、当然の出来かと思うんですが」「いやいや。お前いつも頑張ってるけど、違うところのベクトルが、えらく突出しちゃって、いつも凄い事になっているじゃないか」 褒められてるのか、けなされているのか分かったもんじゃねぇな、この感想。「しかし、ホワイトデーの綴り、どうして間を空けたんだ? 何か深いわけでもあるのか?」 グーグルさんで調べたら、こうやって出てきたって言ったら終いだな、マジで。「べっ、別に綴りが間違ったら困るからって調べたら、こんな風に出てきたので、このまま書いたとかじゃないですよ、ええ」「まぁいいや。これもらった人が、バカだなコイツって思うだけだから。ご愁傷様」 ポンポン肩を叩いて、去って行く編集長の背中を見てから、改めて絵を見直した。「絵の出来がいいだけに、このスペルの誤りは、痛いかもしれないな」 直さずに渡してみて、どんな反応を示すのか、それを考えるのも面白い。 大事にそれをカバンにしまって、会議室をあとにした。

  • ピロトークを聞きながら   ピロトーク:恋をするふたりの姿②

    *** 周防たちと別れ、涼一と並んで自宅まで歩いて帰る。「周防さんが翻弄されるの、わかった気がしたよ。あれじゃあ大変だよね」 人通りが少なくなった通り道に入ってから、俺の左腕を抱きしめるように、自分の右腕を絡めてきた涼一。じわりと伝わってくるぬくもりが、なにげに愛おしい。「あんなふうに、ズバリと言われちまったら、こっちとしては、すごすご帰らなきゃならないよな」「正直僕たちって、お邪魔虫だったかも。だけど――」 潤んだ瞳で上目遣いをし、俺を見つめる。「太郎くんの物言いを、少しだけでも郁也さんに学んでほしいって思っちゃった」「ああいう露骨で、ストレートな言葉を言えって言うのか!?

  • ピロトークを聞きながら   ピロトーク:恋をするふたりの姿

     郁也さんと店の前で並んで待っていると、通りの向こうから、周防さんと太郎くんが、やって来るのが目に入った。 わっ、手を繋いでいるよ!「こんばんは!」「ちーっす。相変わらず仲がいいんだな」 郁也さんも手を繋いでやって来た周防さんたちを見て、意味深に笑う。「仲がいいワケじゃないよ。病み上がりのコイツが、医者の俺がいるのに道端で倒れたりしたら、それこそ洒落にならないでしょ」 振り解きながら言ってくれたけど、頬が赤くなってるのをしっかりと確認させてもらったからね。「へえぇ、なるほど」「周防さん、本当に面倒見がいいですね」 この言葉を郁也さんは、真面目に受け取ったのかな? でもきっと

  • ピロトークを聞きながら   ピロトーク:絡まる意図②

    ***「涼一っ!」 ただいまを言わずに家の中に入ると、涼一が俺に向かって飛び込んできた。その身体を無言のまま、ぎゅっと抱きしめる。周防のことがなんとかうまくいき、嬉しさのあまりに言葉が出てこない。 しばらく、抱き合ってから――。「……お前がいてくれてホントに助かった。じゃないと、あんなナイスなアドバイスなんて、俺は思い浮かばなかったぞ」 ありがとうの気持ちを込めて頬にキスをしてやると、目の前で照れくさそうな顔をして、口元に笑みを浮かべた。「太郎くんの素性がわかっても、それ以外のことは全然知らなかったからね。驚愕する事実ばかりで一瞬、頭の中が真っ白になっちゃった」「俺も周防からの

  • ピロトークを聞きながら   ピロトーク:絡まる意図

     天気のいい日曜の午前中。郁也さんは仕事で不在、僕は洗濯物を干して、ブレイクタイムをとるべく、キッチンで冷たい麦茶をコップに注いでいた。 そのとき、テーブルに置いたスマホがメールを知らせる。(こんな時間だし、郁也さんからだな。どれどれ……) 軽い気持ちで、ほいほいと画面を開いたのだけれど。その内容に、驚愕するしかなかった。「ちょっ、待ってよ。これは、非常に困る内容だよ」 それは郁也さん宛てに着た、周防さんからのメールを転送したもので。『ももちん、俺どうすればいい? 太郎の病室に行ったら、泣いてる男のコと出くわしちゃった。きっと病室に連れ込んで、いかがわしい事しようとしたんだよ。(

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