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第7話

Penulis: イチゴエッグタルト
次に目を覚ました時、視界に飛び込んできたのは無機質な白い天井だった。陽葵は、自分がまだ生きていることに驚きを禁じ得なかった。

「……しぶとい女だな。あの状況で漁師に救い上げられるとは」

聞き慣れた冷ややかな声に顔を向けると、白衣を纏った理翔が、高みから見下ろすように立っていた。

陽葵の喉は火で焼かれたように熱く、一言も発することができない。

理翔はそれ以上取り合おうともせず、「安静にしていろ」とだけ冷たく吐き捨てて、背を向けて立ち去った。

遠ざかっていくその背中を見送っても、陽葵の心にはもはや、さざ波一つ立たなかった。

大量の海水を飲み込んだ影響で喉の炎症がひどく、入院生活は一週間続いた。

ようやく声が出るようになったその日は、ちょうど離婚の手続きが完了する頃合いでもあった。

陽葵が布団をめくり、ベッドを降りて病室の入り口へ向かおうとしたその時だ。理翔が血相を変えて駆け込んできたかと思うと、彼女の手首を骨が軋むほどの力で掴んだ。

「お前はRhマイナスだったはずだな。来い、時間がない!」その口調には、反論も拒絶も許さないような、異常なまでの切迫感が籠もっていた。

陽葵は苦痛に眉をひそめ、その手を激しく振り払った。「……何の真似よ」

理翔の瞳には、陽葵が見たこともないほどの激しい焦燥が滲んでいた。

「柚乃が妊娠したんだ。学校で倒れて運ばれてきたが、重度の貧血を起こしている。彼女と……お腹の子を救うには、今すぐ輸血が必要だ。柚乃はお前と同じ希少血液型なんだ。救えるのは、お前しかいないんだよ!」

一瞬の沈黙の後、陽葵は喉の奥から絞り出すような冷笑を漏らした。「……私が、どうしてあの女を助けなきゃいけないの?」

「陽葵、二つの命がかかっているんだぞ!」理翔の顔が、怒りと焦りで険しく歪む。

「あの二人が死のうが生きようが、私には関係ないわ」陽葵が背を向けて立ち去ろうとした瞬間、理翔がその腕を乱暴に掴み取った。「拒否権などない。来い!」

彼はなりふり構わず、抵抗する陽葵を処置室へと引きずっていった。そして、彼女の細い腕を看護師の前に突き出すと、冷酷に言い放った。

「必要なだけ抜け。予備も多めにストックしておけ。中にいる患者の血が足りなくなることだけは、絶対に許さん」

「……承知いたしました、先生」

陽葵の目元が、絶望で真っ赤に染まった。「理翔、正気なの?私はまだ退院すらしていない病体なのよ。こんなに抜かれたら……私が死んでしまうわ!」

理翔は一瞬視線を泳がせたが、すぐに彼女を見下ろして言った。「陽葵、柚乃とお腹の子のために血を分け与えると誓うなら、望むものは何でもやる。お前を抱いてやってもいい」

「……最低。反吐が出るわ、離して!」

陽葵は泣きながら必死に抗ったが、理翔が微塵も動じなかった。彼女の顔からみるみる血の気が失せ、膝がガクガクと震え、立っていることさえままならなくなるまで、彼はその手を緩めることはなかった。

ようやく解放された陽葵は、まだ血の滲む腕を痛々しく押さえ、ふらつく足取りで一歩、また一歩と踏み出した。その顔にはもはや表情一つなく、ただ死人のような蒼白さだけが張り付いている。

理翔が眉をひそめ、支えようと手を伸ばしかけたが、陽葵はその手を激しく叩き払い、全力で拒絶した。「……触らないで、消えて!」

理翔の顔が瞬時に氷のように冷え切り、彼はそのまま一度も振り返ることなく去っていった。

陽葵は壁を伝いながら、一歩ずつ、這い出すようにして病院を後にした。そのままタクシーを拾って役所へと向かい、離婚届受理証明書を受け取った。

かつて「家」だと思い込んでいたあの邸宅に戻り、手早く荷物をまとめ、この場所を去る準備を整える。

だが、階段を降りたところで、いつの間にか帰宅していた理翔と鉢合わせした。

陽葵は一瞬立ち止まったが、すぐに視線を逸らして通り過ぎようとした。

理翔の視線が、彼女が引いているスーツケースをなめるように走る。彼は鼻で笑うと、皮肉たっぷりに言い放った。

「……たかが血を抜かれたくらいで、また俺のお母さんのところへ泣き言でも並べに行くつもりか?今回はわざわざ荷物までまとめて、一体何日居座って同情を引く気だ?」

陽葵は何も答えない。

理翔は冷笑を浮かべたまま歩み寄ると、財布から一枚のカードを取り出し、スーツケースの上にパサリと放り投げた。

「中には二億円入っている。好きなものでも買え。今回の件の補償だ」

そして、何かを思い出したように残酷な言葉を付け加えた。

「今後も柚乃とお腹の子に血が必要になったら、協力するたびに報酬を弾んでやる。お前の望み通り、俺と寝ることも許してやろう。ただし、あらかじめ全身を念入りに消毒しておくことを忘れるなよ」

その施しを与えるような物言いに、陽葵の口角がわずかに上がった。「あなた、自分を過大評価しすぎじゃない?私とあなたは、もう何の関係もないわ」

理翔は一瞬呆気に取られたが、すぐに何かを察したように鼻で笑った。「陽葵、気を引くための駆け引きなら、いい加減そのくらいにしておけ。何度も同じ手を使えば、誰も信じなくなるぞ」

彼女は唇を噛み、言葉を紡ごうとした。「理翔、私たち、もう――」

「離婚した」という言葉を口にするより早く、理翔のスマホが鳴り響いた。

画面に表示された「柚乃」の文字を見た瞬間、彼の瞳にはとろけるような慈愛が宿り、すぐさま通話ボタンを押した。

柚乃と二言三言交わすと、彼は焦ったように靴を履き替え、去り際に冷たく言い捨てた。「俺と寝たければ、明日の夜、念入りに消毒を済ませてベッドで待っていろ」

遠ざかっていく彼の背中を見送りながら、陽葵は静かに笑った。「……ええ。理翔、これであなたは自由。そして私も、ようやく自由になれるわ」
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