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第4話

Author: ユタ
「私だけを目の敵にするならまだしも、友達は何も関係ないじゃないですか」

心奈の友人たちが、一斉に喚き散らし始めた。

「隠しカメラで盗撮だなんて、信じらんないわ!気持ち悪い!」

「警察を呼ぼう!刑務所にぶち込んでやるわ!」

智司は心奈のそばに立ち、顔を険しく曇らせていた。

「初……まさかお前が、ここまで性根の腐った女だったとはな。本当にお前には呆れたよ」

私はどうにか自分を落ち着かせ、必死に弁解した。

「隠しカメラなんて、仕掛けていないわ」

心奈はひどく傷ついたような顔をした。

「初さん、どういう意味ですか?

私たちが自分で仕掛けたって言いたいんですか?ひどい……」

彼女の友人の中から一人の女が一歩前に踏み出し、冷ややかな目で私を値踏みするように見つめた。

「この件、穏便に済ませてあげてもいいわよ。

あんたがここで土下座して、心奈に謝罪するなら、これまでのことは全部なかったことにしてあげるわ。

でも、もし断るなら……」

彼女は手に持っていたスマホをチラつかせた。

「昨日のあんたの写真や動画、全部ネットにばらまくわ。

そうなったら、どうせ世間は盗撮なんてする奴は、元々こんな恥知らずな女なんだって思うだけだからね」

その言葉を聞いた瞬間、カカッと血が頭に上った。

智司は冷たい眼差しで私を見つめた。

「自分がやったことに、ちゃんと責任取れ」

その時、私の隣にいた母が突然、床に崩れ落ちるように土下座をした。

「お母さん!」

私は慌てて引き起こそうとしたが、母の膝はまるで地面に釘で打ち付けられたかのように動かなかった。

「お詫びします……謝りますから」

母の声は震えていた。

「うちの娘はまだ若くて、馬鹿なことをしたんです……

お願いです、娘を許してやってください……まだ若いんです、お願い……」

母は体を丸め、冷たい床のタイルに額を強く擦りつけた。

一回、二回、三回……

「お願いします……どうか……」

涙で視界がぼやけた。

「お母さん!立ってよ!私たち、何も悪いことなんてしてない!」

私は泣き叫びながら必死で母を引っ張ったが、母はどうしても立ち上がろうとせず、何度も何度も床に額を打ち付けた。

すでに額は破れ、血が頬を伝って流れ落ちていた。

心奈の友人たちがそれを見てヘラヘラと笑った。

「お母さんが代わりに土下座までしてくれてるのに、あんたはまだ意地を張るの?

お母さんのせっかくの気遣いを無駄にする気?」

智司は、泣き崩れる私たちを冷たい目で見つめ、不意に声を張り上げた。

「もういい!」

その時、母の体が突然ぐったりと崩れ、私の腕の中に倒れ込んだ。

母の目は半開きで、その顔色はゾッとするほど生気を失っていた。

「お母さん!救急車!早く救急車を!」

私は母の体を抱き起し、死に物狂いで外へ向かって走ろうとした。

だが、私たちの前に一人の男が立ちはだかった。

智司だった。

「まずは土下座して謝れ」

彼の声は不気味なほど冷静だった。

「謝ってから行け」

私は信じられないという思いで彼を睨みつけた。

「智司、お母さんが死にそうなのよ!」

「今ここで謝れば、すぐにでもドナーの心臓を病院へ運ばせて、手術の手配をしてやる」

私は彼の目を見つめた。

かつて私を愛していると、一生守り抜くと笑って誓ってくれた、あの優しい瞳はもうそこにはなかった。

今のかれは、恐ろしいほど見知らぬ他人にしか見えない。

私は母をゆっくりと床に寝かせ、向き直ってひざまずいた。

冷たいタイルに額を打ち付けた。

何度叩きつけたのか、もう分からなかった。

ただ額が割れ、流れ出した血が目に入って視界を赤く染めるのを感じた。

「ごめんなさい……ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……」

心奈がついに、勝ち誇ったような大仰な声で言った。

「もういいわ。初さんを許してあげましょう。きっと、わざとやったわけじゃないのよ」

私は立ち上がり、母を抱え上げて外へ走り出た。

背後から心奈の声が聞こえた。

「うちの運転手に送らせるわ、手遅れにならないようにね」

何も考える余裕などなく、私は来た車に飛び乗った。

だが、車はどれだけ走っても目的地に着かなかった。

私はハッとして窓の外の景色を見た。病院へ向かう道じゃない。

「車を止めて!」

運転手は何も答えず、アクセルをさらに強く踏み込んだ。

私は震える手でスマホを掴み、無意識のうちに智司に電話をかけた。

電話が繋がり、私が何かを口にするより早く、向こうからひどく苛立った声が聞こえてきた。

「ドナーの心臓はもう病院へ手配させたって言ってるだろ、これ以上どうしろって言うんだ!?

心奈がひどく落ち込んでいるから、今は慰めているところだ……」

そのまま、一方的に電話を切られた。

私はパニックになりながら、腕の中の母を見た。

母は目を閉じたままで、顔は真っ青で、唇からは完全に血の気が失せていた。

私が何度泣き叫んでも、母が再びその目を開くことはなかった。

その時、凄まじい轟音が響き、車体が猛烈な衝撃を受けた。

私の体は宙に浮き、そして激しくシートに叩きつけられた。

意識が遠のく寸前、ぼやける視界の端で、運転手がドアを開けて逃げていくのが見えた。

私は最後の力を振り絞って顔を向けた。

母の首は力なく倒れ、その胸はもう上下していなかった。

もう、声すら出なかった。

声を出して泣き叫ぶことすらできず、私の涙はただ音もなく、すでに冷たくなった母の手の甲に落ちた。

私はそのまま、力なく目を閉じた。

同じ頃、智司は私との電話を切った後、どうにも胸のざわつきが収まらないのを感じていた。

傍らで心奈が何かを話しかけてきているが、その言葉は彼に一つも届いていなかった。

彼はスマホを取り出し、私に電話をかけた。

応答はなかった。

もう一度かけても、やはり応答はない。

理由もなく心臓が鷲掴みにされたように苦しくなり、足元が崩れ落ちていくような強烈な不安に襲われた。

彼が三度目の電話をかけようとした時、逆に彼のスマホが鳴った。

「もしもし、黒崎智司さんでしょうか?

白石初さんが先ほど交通事故に遭われ、現在極めて危険な状態にあります。

至急、中央病院へお越しください。

それから……同乗されていたもう一名の方は、すでに息を引き取られました……」

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