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第278話

Author: 北野 艾
京介は、手に持ったグラスを軽く掲げてみせた。

詩織もまた、手元のサンザシジュースを小さく揺らし、無言の礼を返す。

「京介兄貴、誰に乾杯してんの?」太一が興味津々で首を伸ばした。

今度はしっかりと詩織の姿を捉えたらしく、途端に表情が渋くなる。

「げ、なんでアイツいんの」

「『ココロ』はリードテックのパートナーだ。ここにいるのが筋ってもんだろ」譲があっさりと答える。

『ココロ』の名が出ると、太一はバツが悪そうに口をつぐんだ。

なにせ、彼はそのプロジェクトで一度手痛い失敗を犯している。

彼の父親がいま病院送りになっているのも、その件と無関係ではないのだから。

「挨拶してくる」京介は短く言い残すと、迷わず詩織の方へと歩き出した。

「あ、俺も俺も」譲も小走りで後に続く。

取り残された太一は、心細げに柊也を振り返った。「柊也は行かねーの?」

「俺が行ってどうする」

「だよね!じゃあ俺ら、志帆ちゃんとこ行こ。まだ挨拶してないし」

「ああ」柊也は暗い瞳を伏せ、短く肯定した。

詩織のもとへ辿り着いた京介は、開口一番、静かに告げた。「久しぶりだな」

確かに、しばらく会ってい
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