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第291話

Author: 北野 艾
華栄とアーク・インタラクティブは同じビルに入っている。彼がそこに出入りしていれば、用向きなど調べるまでもない。

「無駄なことはやめとけって。ゲーム開発がどれだけ金食い虫か分かってんだろ?華栄みたいな吹けば飛ぶような会社に何ができる。悪いことは言わねえ、俺のとこに戻ってこいよ。『エイジア』のバックアップがある俺の船に乗ったほうが、よっぽど将来性があるぜ。そうすりゃそのポンコツも買い替えてやるよ。見ろ、俺の新車のBMWを」

ようやくエンジンの始動音が響いた。誠は屋根に置かれていた陽介の手を無造作に払いのけると、冷たく言い放った。「興味ないんで」

そのままアクセルを踏み込み、車を発進させる。

取り残された陽介の顔から、急速に笑みが消えていった。「……おい誠、人の好意を無にしやがって。いい度胸だ。見てろよ、後悔させてやるからな」

……

金曜日。江ノ本市に降り立った京介は、その足で詩織に電話をかけ、食事に誘った。

二人はエスニックレストランで落ち合った。

向かい合った京介の顔には、隠しきれない疲労の色が滲んでいた。

無理もない。「衆和銀行」の再建は、火中の栗を拾うようなものだ。
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