로그인翌日の朝、御園さんからつわりがひどいので今日は休ませて欲しいと連絡が入った。最近、具合の悪そうな様子を時々見かけるので、上司のいないこんな日くらい無理しないで欲しいと思う。というか、私が早く一人前にならなくては。
入ってくる連絡を手際よく処理して、タスクをこなしていく。気づけばあっという間に時間が過ぎている。明日には廉が帰ってくるので、なにがしかの話をすることになるだろう。あの日の出来事をどうとらえればいいのか、まだ、ちょっと整理はできていない。
PCの電源を落とし、コートを手に取ってカウンターから出ようと振り返った瞬間、目の前に廉がいた。
「もう、仕事は終わりだな。話がある。こっちへ」
そう言って専務室へと手を引かれて入った。
「専務、おかえりは明日の午前の便ではなかったですか?」
驚いて顔を見つめながら、問いかけると、ソファに腰かけるように促しながら廉がコートを脱いでいる。
「明日の午前中に会う予定だった現地のデベロッパーの担当者が、インフルエンザになったんだ。だから、便を変更して帰ってきた」
ソファに座ると、コートとジャケットを脱いだ廉が隣に腰かける。
「綾香、その、この間のことなんだが‥‥」
「あ、き、気にしないで。ほら、お互い大人だし、たまたま、そういう気分になってしまったっていう‥‥」
顔を真っ赤にして、必死で笑顔を浮かべる。
「よ、よくあることかも知れないし」
廉が眉間に皺を寄せて綾香の手首を掴んだ。
「よくあることのはずないだろ。綾香はだいたい俺のことをどう思ってるんだ」
引き寄せられて顔が近づく。至近距離で見つめ合うと思考がすべて止まってしまいそうで、思わず目を伏せる。
「どうって‥‥素晴らしく有能な上司‥‥だと」
「そういうのじゃなくて。男としてだ」
そんな、答えに困るようにことを聞かないで欲しい。
「じゃ、じゃぁ、廉こそ私のことをどう思ってるのよ。いつまでも子ども扱いしてるけど‥‥」
「女として好きに決まってるだろ」
食い気味に返事が返ってきた。その言葉に綾香の体の奥の方から火がついたように熱くなり、耳まで真っ赤になる。
「う、う、う、嘘でしょ。だって、そんな要素がどこに‥‥」
「ずっと好きだったよ。離れてる間もずっと思ってた」
低いバリトンでゆっくりと囁かれると、この間の夜の囁きを思い出して体の奥がキュッと絞られたようになる。
「い、いつから‥‥?」
上目づかいで聞き返すと、廉の目が泳ぎ、横を向いて目をそらした。
「それは、ちょっと‥‥」
「‥‥適当なこと言ったの?」
目を細めて聞き返す。
「いや、そうじゃない。そうじゃないけど、いつから‥‥はちょっと言えない」
さっきまで火照っていた顔の熱が次第に引いて行く。
「そうよね。ずっとって言うのは嘘。途中で彼女もいっぱいいたでしょ? アメリカでもエ、エリカさんと一緒に暮らしてたわけだし。適当なこと言えば、馬鹿な私は転がされるって思ってるでしょ」
眉間に皺を寄せて、掴まれている腕を外そうと手を引くと、逆にぐっと引き寄せられて胸元に抱きしめられる。
「確かに、過去に綾香以外の女性と関係があったことは否定しない。綾香のことを忘れなきゃいけないと思っていた時もあったから。それも含めて、いつからって言うのは、今はまだ言えない。でも、ずっと、好きなのは本当だ」
顎を掴まれて唇を奪われる。舌が絡み合い、綾香の思考が次第に鈍っていく。唇が離れた時には、思わず唇から甘いため息が零れた。
「そんな目で見てたら、食べられちゃうよって言っただろ?」
いつの間にかソファに押しつけられたような体勢で、とろんと廉の顔を見上げていた。両手は束ねて握り上げられ、少しからかうような表情のまま廉が首筋に唇を落とす。
「んっ」
首筋を舐め上げられて、思わず呻き声が漏れる。じわりと体の奥底から何かが自分を潤し始めている。
「綾香、教えて。綾香は俺のことどう思ってるんだ」
掠れた低く甘い声が、少し焦ったように聞こえる。廉が自分の答えに焦れるなんて、いつも余裕の彼がそんなはずが無いと思いなおす。
「どうって、す、好きじゃなきゃ、こんなこと許さないでしょ‥‥」
もう片方の手が脇の方からセーターの中に潜り込む。熱く大きな手が脇をさする感触に、思わず声を漏らして背中を反らした、
「綾香。俺のモノになってくれる?」
耳元に鼻を押し付けられ、熱い息と一緒にそんなことを言われて、冷静でいられる女がこの世にいるのだろうか。
綾香は、コクコクと首を縦に振って、目をギュッと瞑った。熱い唇が再び深い口づけを奪う。舌を絡ませながら、廉の手は細い体の線をたどってブラを押し上げて胸に触れる。
「あっ、ん」
親指で押しつぶすように胸の頂を愛撫され、唇が離れた瞬間に綾香の口から呻きが漏れる。まるで触れて欲しいというように、廉の手に自分の胸を押し付けるように背中を反らした。
セーターを押し上げられ、あらわになった綾香の胸を廉がうっとりと見つめている。ゆっくりと胸のふくらみを食むように唇が触れ、その先端を舌で転がすように弄ばれる。
「あぁぁ、ん」
痺れるような快感に思わず声を上げてから、自分の唇を噛んで耐えた。ここはオフィスだ。隣には他の役員の部屋がある。廉の唇がもう片方の胸に移り同じように、愛撫を繰り返してる間、綾香は声を漏らさないように目を瞑って唇を噛みしめた。
父の幼稚な逃避行動は、それから1年もしないうちにあっけなく終わった。孝也のところに女の子が生まれたのだ。当初、子どもはもう少し先、と言っていた2人だったが、よく検討すると、孝也が学生であるうちの方が時間に融通が利き、エリカがキャリアを重ねながら、子育てをするのに都合が良いのではないか? となったらしい。両親は、初孫に舞い上がり、離れを改装して、そこに子どものプレイルームを作る暴走ぶりだった。あれだけ廉から2人の関係を明言されるのを嫌がっていたくせに、初孫の綾奈を抱きながら、「綾香、孫は何人いてもお父さん面倒見るから! やっぱり体力のあるうちにリタイアするって大事だな。廉くんに感謝しないとな」とニヤニヤしていた。そして、組織のトップを廉に譲ることを取締役会で提案し、さっさと会社の経営から身を引いてしまった。今期から、廉は、セルリアングループの代表取締役となっている。この決定の少し前に、綾香は会社を辞めた。創業者の娘が次の代表の婚約者で、さらに秘書課で誰かの秘書として働くというのは無理がある、という自分の判断と、もう一つは、自分のやりたいことはなんだろう、を深く考えた結果だった。秘書の仕事はやりがいもあり、自分の性格にも合っていた。しかし、これが自分の一生やりたいことか、と問うと釈然としない何かが残る。そして、情熱を注げるものはなんだろう、と模索してみると、ずっとやり続けて苦にならないのは家事、そのうち特に料理だった。そこで、紫衣さんの料理教室に通うようになり、生きることの根源は食べることだと知り、もう少し深く取り組んでみようと考えたのだ。「家事が好きなら、専務と結婚して専業主婦でも良かったんじゃない?」綾香の部屋で朱莉がコーヒーを飲みながら、焼き立てのアップルパイを食べている。「まぁ、それも忙しい夫を支えるっていう意味では魅力的だと思うよ。でも、今はまだ結婚もしていないし、いろいろ選択肢があるなって思って」結局、綾香は、オンラインで栄養学を学びながら、紫衣さんの教室で料理を教わる傍らアシスタントをすることになった。紫衣さんのサポート的な役割をこなす内に、秘書時代の
ウェディングパーティーが終わり、ホテルの部屋へと引き上げる。廉は、この後も取引先の人たちと上階のバーでお付き合いがあるようだ。部屋に戻り、バスタブに湯を張って、イランイランのオイルを垂らして入る。ふぅ~甘い匂いが心を落ち着かせる。とてもいい結婚式だった。天気にも恵まれたし、何より御園さんと藤堂課長がとても幸せそうで羨ましくなった。目を瞑ってバスタブに沈み込むように浸かる。まだ、プロポーズも何もされていないけれど、廉が自分との将来を考えてくれていることぐらいは、わかっている。だからこそ、父と話をしようとしてくれているのだし。ぼんやりと長風呂をしていると、廉が部屋に戻って来た気配がする。「綾香、俺も入っていい?」バスルームを覗き込んで、もう、半分シャツを脱ぎかけている。少し、顔が赤い。いつもより飲んでいるようだ。湯船から手首を出して、おいでおいでと手招きした。背後から綾香を抱きかかえるようにして廉が入る。浴槽から湯が溢れてバスルームの床が洪水になる。廉と指を絡めて、その胸にもたれた。「いい結婚式だったわ。ここのロケーションは最高ね」「今後の開発で、このホテルとさっきのチャペルの周辺は、なるべく雰囲気を変えないように改装する予定だ。ここは古いけどいい建物だしね」廉が、絡めた指で自分の薬指をさすっている。廉は父の態度をどう思っているだろうか。もしかしたら、ああいう父親と家族になるのはごめんだと思っているのかもしれない。「廉‥‥」「ん?」「私‥‥廉と家族になりたいな‥‥」綾香の指をさすっていた節の大きい指が止まる。そしてぎゅっと指を絡ませて手を握った。「お父さんがどうしてあんな態度を取るのかわからないけど‥‥もし、廉がお父さんのことを嫌だって思うなら、別に高辻の家と付き合いをもたなくてもいい‥‥」廉が首筋に額を擦り付けて笑い始める。「社長が聞いたら、卒倒しそうだな。ふははは」軽く首筋に唇を押し付けて、撫でるように触れる。それだけで心地よさが背筋を伝う。
自分と廉との関係が当たり前のように社内で扱われるようになった頃、廉が、きちんと社長と話をしよう、と相談してくれた。父は、廉のことを高く買っているし、こうして会社を任せようとまでしているのだから、きっと喜ぶに違いない、と正直たかをくくっていた。廉と2人で話がある、と約束して自宅へ戻った日、父は、急な出張でアメリカへ行くことになった、とバタバタと目の前で出かけて行ってしまった。ここ1年ほどは、会社の顔としての海外とのやりとりはほとんど廉がしていたはずなのに。仮に、社長が出向くような案件があったとして、廉に知らされないということがあるだろうか?玄関先で、肩透かしをくらい、そっと隣に立つ廉の表情を見ると、目を細めて何かを思案しているようだった。母は、2人の関係について、もちろん、わかってましたよ!という感じで、大喜びだった。そして、その場で紫衣さんに電話をして、きゃぁきゃぁとはしゃいでいた。「廉、紫衣さんは‥‥お母さんは、私とのことを知っていたの?」「もちろんだよ。ここに来る前にちゃんと話をして来た。社長が認めてくれたら、改めて母も挨拶に来たいと言ってた‥‥んだけどな」日を改めて、自宅が難しいのであれば会社近くの料亭でも、と父との話し合いの場を持とうと幾度か約束を繰り返したが、毎回、直前になって都合が悪くなり、話をすることができない。廉だって忙しい合間をぬって時間を作っているのに、父は勝手なのではないかと綾香は腹を立てはじめていた。そして、それを宥める廉の様子を見て、さすがに何かあるのでは、とも感じた。「綾香、明日、時間があるかな」金曜の夜、韓国にいる廉から電話でそう聞かれた。彼の帰国は明日の夕方頃の予定だ。「どうしたの? 明日は午前中に紫衣さんの教室に行く予定だったけど」「それって横浜の教室だよね。終わった後、会える?」「大丈夫だけど。こっちに戻ってくるの夕方になっちゃうよ?」「俺が横浜の家の方まで行くから、そっちで待ち合わせよう」いつもなら教室終わりに実家に寄るので、実家近くで待ち合わせて、少々、だまし討ちのような形でようやく父
台湾南部の半島の先にあるビーチの側のチャペルの待合室で、綾香は小さな女の子を抱いていた。朝から結婚式の準備の為に周りがバタバタとしていて、落ち着かなかったせいか、さっきまでグズグズと泣き続けていたその子は、今は綾香の腕の中でぐっすり眠っている。「寝た?」廉が後ろから、綾香の腕の中を覗き込む。口に指をつけて、シーっというそぶりをしながら小声で返す。「このまま式の間も寝てくれるといいけど」小さな唇をムグムグと動かして、母親の乳首を探すようなその様子に、思わず笑みがこぼれる。「可愛いな‥‥」覗き込んだ廉がそう呟く。フッとこの状況に色々な妄想が湧いて、幸せな気持ちになった。「綾香、そろそろ席の方へ行けそう?」待合室のドアが開き、朱莉が顔を出す。廉を見つけて、ぺこりと礼をする。「もう、新郎新婦の入場が始まるみたいなの。大丈夫そうなら席に着いて欲しいって会場の人が」「わかったわ。すぐに行くね」そう言って立ち上がろうとすると、廉が体を支えて手伝ってくれた。感謝のつもりで頬に軽く唇をあてる。待合室から出ると、海に向かって作られたオープンコテージ風のチャペルに多くの参列客が着席している。案内された前列の席へと向かう。腕に抱いた子どもを起こさないように注意して席に着いた。静かにオルガンが讃美歌を奏で始めると、コテージの入り口の花で飾られたアーチをくぐって、白いレースのウェディングドレスを纏った御園さんが、父親に手を引かれ、祭壇の方へと静かに歩いてくる。その姿を見つめる藤堂課長(今は台湾支社の支社長だが)の表情には、妻への愛情とこの日の喜びが溢れていた。あれから1年。台湾南部のリゾート開発の責任者として、藤堂課長は支社長として台湾へ赴任した。御園さんの退職は、これを見据えたものだったのだが、日本での出産の後、先日ようやく台湾へ娘とともにやってきたのだ。そして、綾香は、今日、そんな2人の結婚式に参列している。背景に青い海の広がる祭壇で、愛を誓いあう2人の、その幸せそうな表情に胸が熱くなってしまう。
別れた場所から、そう遠くない場所にあるセルリアン系列のホテルのスィートにいると連絡があった。『着物を直してもらえる? 』というメッセージに、すべてが理解できた。もう、まったく‥‥一瞬、孝也に呆れそうになったが、さっきまで自分がどういう状況にあったかを思い出すと、そんなことを言える立場ではないと思い直した。手早く着物を着直して、廉の車でホテルに向かう。「悪い、綾香。その‥‥着物って脱いだら簡単に着れないのな‥‥」恥ずかし気に照れながら部屋から孝也が顔を覗かせる。孝也には廉と一緒にロビーで待っていてもらうように言って、部屋から出て貰った。部屋から放り出された孝也に、廉が『お前はいつまで盛ってんだよ。ホント、懲りないね‥‥』と説教をしていたが、どの口が言ってるんだか、と思って目を合わすと、片方の眉を上げて、黙ってエレベーターへと向かっていった。「ごめんね、綾香‥‥着物って難しいのね」エリカが襦袢の襟元を握って申し訳なさそうに言って項垂れる。 正直、兄の情事の痕跡のある部屋に入るのは、非常に複雑ではあったけれど、シュンとしているエリカに大丈夫だよと伝えてあげたくて、孝也には出て貰ったのだ。「大丈夫。エリカも良かったら今度、母に着付けを教えてもらうといいよ。たぶん、母はすごく喜んで教えてくれるから」襦袢を着つけていると、綺麗なうなじや肩甲骨の辺りに点々と痕が残っていて、さすがに少し恥ずかしくなってしまう。「‥‥綾香は、私が家族になるのは、嫌じゃないの?」エリカのうなじが薄赤く色づいている。「その‥‥私、女性の友達を作るのがあまり上手じゃなくて‥‥なんて言うか、たぶん、可愛げがないから」あぁ、そうか。完璧に見えるエリカは、その容姿でも才能でもきっと妬まれてきたに違いない。実際、綾香もエリカと自分を比べてどうしようもなく妬んでいた。エリカがここまで優秀な経歴を持つには、それ相応の努力を重ねたはずなのだ。そして、その努力と外見の美醜とは全く関係が無い。綾香は、改めて、問題は、自分自身の卑
尻にあたる机の冷たい感触が、体の内の熱さを際立たせる。割り開かれた足の間に廉が体を埋め、内腿の白い肌を優しく撫でさすりながら、その中心へと唇を這わせる。舌でその先の膨れ上がった花芯を突くようにされると、腰の辺りから強い痛みに似た刺激が体を貫いた。「ん‥‥あっ」机に後ろ手をつき、首をのけぞらせて腰を突き出すようにして体を開いた。廉は、舌で花芯を可愛がりながら、隘路に指を挿入してその中の窪みをさぐる。「最初は、1本しか入らなかったのに。綾香、見てごらん俺の指がいくつ入っているかわかる?」くちゅくちゅと中で指が蠢いているのを、ぼんやりとした視線で見つめていたが、廉が膨れ上がった蕾をキュッと吸い上げた刺激で、再び強く目を瞑って体をのけぞらせた。「あぅ‥‥」「すごい、溢れてくるな‥‥」廉が、うっとりとした口調で呟く。零れ落ちた蜜が太ももだけではなく、執務机の下の絨毯にもシミを作っていた。「廉、ん‥‥もう、お願い」指と口で刺激を受け続けて、体中を火照らせながら、指ではないものでその空間を埋めて欲しくて仕方なかった。「何を、お願いしてるの?」廉が意地悪な顔をして、体を火照らせながら、腰を揺らす綾香を見上げる。襞を大きく指で開き、中をなめ上げると、舌を突き入れてあふれ出る蜜をすすり上げる。「あぅぅん‥‥お願い、あっあっ」時折、蕾をなめ上げられるたびに強い快感で腰が跳ね、尻が浮く。廉は、それを両手で押さえるようにしてさらに刺激を与え続けている。「ちゃんと言って、ほら、どうして欲しいの?」ひどい、わかってるくせに‥‥その意地悪に、なぜか興奮が高まりさらに体の奥から蜜があふれてくる。「欲しいの‥‥」綾香は、焦らされている興奮と、おねだりをさせられている羞恥とで体中が燃えているようだった。「何が欲しいのか‥‥ちゃんと言って」口を拭いながら体を起こし、綾香の体を抱きしめて耳元に囁く。「はっ、あぁ‥‥廉が、廉