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第3章

Author: むすめ
「悠香、また拗ねてるのか?」

しばらくして、彼はため息をついた。

「いいさ、子供のことは母さんにちゃんと説明する。君が子供を望まないなら、そうしよう」

以前なら、彼は本当に私を尊重しているのだと思っていただろう。

でも今なら分かる。彼の優しさや譲歩は、私を嫌悪し見下している偽装に過ぎないのだと。

彼の目には、私は永遠に彼に依存して生きる寄生虫に過ぎないのだろう。

……

翌日、私は車で会社へ向かった。

すると、いつの間にか私のオフィスの壁が眩しいピンク色に塗り替えられていた。

机の上には数えきれないほどの人形が並べられていた中、清美の嬉しそうな声が響いた。

「悠香さん、ここの装飾が古臭いと思ったから、改装してもらったの。

どう?惟人さんがすごく可愛いって言ってたよ!」

私は眉をひそめて彼女を見た。

「惟人があなたに改造しろって言ったの?」

清美は私の腕を抱きしめ、笑みに隠しきれない挑発を浮かべた。

「うん、特別にね。私がどんな風に改造しても構わないって。惟人さんが構わないなら、悠香さんもそうでしょ」

まただ。

私の意見を聞かず、勝手に私に代わって決断する。

私が不愉快でも、黙って我慢するだけだと思っている。

私は深く息を吸い、何か言おうとした瞬間、清美が突然手を離し、涙が溢れ出た。

「ごめんなさい、悠香さん。すぐに元に戻すから、私を嫌いにならないで……」

「何を元に戻すんだ?」

惟人が私の背後から現れ、不機嫌な表情で清美を自分の後ろに引き寄せた。

「清美は俺が採用したんだ。若いから可愛いものが好きなのは当然だろ?

大げさに騒ぐなよ」

かつて私もこのオフィスを接客基準に合わせて改装しようと思ったことがある。

しかし惟人は私の頭を撫でながら言った。

「そんな表面的なことはやめよう。

会社で君だけ特別扱いされるのはダメだ」と。

それなのに今、清美がオフィスをこんな風に改造するのを許している。

清美は惟人の袖を引っ張り、小声で言った。

「いいよ、惟人さん。今回は私が悠香さんと事前に相談しなかったせいでもあるから」

すると、惟人は仕方なさそうに言った。

「でも今回は確かに彼女のやりすぎだ。

悠香、清美に謝ってくれ」

私はふと惟人の目を見た。

「謝る?私が?」

惟人の笑みにわずかな苛立ちが混じる。

「まさか俺が君に謝れとでも?」

私は口を開いたが、出せたのは荒唐無稽な笑い声だけだった。

「オフィスはもう要らない。林さんに譲るわ。

お幸せに」

彼の返事を待たず、私は彼らを抜けて出て行った。

会社を出ると、一本の電話がかかってきた。

「浅野さん、前回お話しした件、ご検討はいかがでしたか?」

私は少し呆然とした。半月前に提携会社の責任者が直接私を訪ね、彼らの会社で顧問をしてほしいと頼んだことを思い出した。

しかし当時は惟人の会社に集中したくて、適当に流していた。

でも今回、私は大股で会社を出ながら答えた。

「ええ、いいですよ。

ただし個人名義で、会社とは無関係で進めてちょうだい。手続きは通常通りで結構です」

相手はしばらく沈黙した後、「承知いたしました、岡田様」と答えた。

……

その夜、惟人は帰宅しなかった。

スマホであの二人が一緒に買い物をしているインスタを見た。

清美がスマホを掲げ、後ろに立つ惟人は腕の一部だけが見え、たくさんの買い物袋を手にしていた。

その中に、私がずっと欲しかったあのバッグが一つあった。
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