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第4章

Author: むすめ
義母が皮肉っぽく言った。「男が夜遅くまで帰らないのは、妻の無能のせいだ」と。

義母の冷たい態度を見るのも嫌で、思い切って家を出た。

それからホテルを見つけて、半月も連泊した。

義母と惟人のLINEは全てブロックした。

そして、インスタで惟人をブロックした後、私は自分の業務宣伝を掲載した。

すぐに、数社の社長から相談の申し込みが届いた。

一つ一つ返信していると、気がつくと夜中の12時になっていた。

ベッドで少し横になった後、また起き上がって弁護士の友人に離婚協議書を送ってもらった。

クライアントは3日後の晩餐会で会う約束をしており、その席には惟人も出席する予定だ。

ちょうどその日に離婚協議書を渡すつもりでいた。

晩餐会まであと2日となった時、昔からのクライアントが私に言った。

「最近、浅野社長の周りに若いアシスタントがいるみたいじゃないか。なかなか手強いらしい。気をつけてね」

私はくすっと笑ったが、すぐにそのことを忘れてしまった。

晩餐会まであと1日となった頃、内装業者が私に電話をかけてきた。

「悠香さん、浅野社長がオフィスを元の状態に戻したいと言っていますが、見ていただけませんか?」

私は断った。

「もう私に関係ないわ。他の方にお願いしてちょうだい」

そして晩餐会当日、私は7時10分にホテルに到着した。

ここ数日で立て続けに仕事を請け負い、年末までスケジュールが埋まっていた。

中に入ると、客のほとんどが私のクライアントだった。

私は微笑みながら一人一人に挨拶し、簡単な打ち合わせをした。

すると突然、腕を強く掴まれ、怒りを帯びた声が耳元で響いた。

「悠香、探したよ」

彼は一字一句を噛みしめるように言い、まるで私を生きたまま飲み込みたいかのようだった。

それに比べ、私はむしろ過剰なほど平静で、彼らに挨拶する余裕さえあった。

「あら、浅野さん、林さん」

その呼び名に、惟人の表情はさらに曇った。

清美が慌てて言った。

「悠香さん、惟人さんはあなたを見つけられなくて、それで急遽私を同伴者にしたんだ。誤解しないで……」

彼女は手を振りながら、目にはまだ少しの悔しさが残っていた。

「私を見つけられなかった?見つける必要なんてないじゃない。浅野さんにはとっくに相手が決まっていたのでは?」

私の反問に、惟人は眉をひそめて言った。

「こんなに経っても、まだ騒ぎ足りないのか?

君は俺の妻だ。同伴は当たり前だろう?」

私は首を振り、うつむいて離婚協議書をめくった。

今からもう妻じゃないって、彼に言いたかった。

けどちょうどその時、数人のクライアントがグラスを掲げて近づいてきた。

「岡田さん、ご無沙汰ですな!」

私は無意識に仕事モードに入り、相手に応えた。

無視された惟人は怒りに燃え、我慢できずに私の肩を掴んだ。

彼は鋭い声で言い放つ。

「悠香、もういい加減その『仕事できます』的な演技はやめてくれないか?

みんな俺の面子を立ててるから、君に少し敬意を示しているだけだ。少しは自覚を持ったほうがいいんじゃない?

で?今夜、一人でここに来て何をしようとした?上流の男の一人や二人、誑かしに来たのか?」

その言葉に、私の周りの数人のクライアントが眉をひそめた。

「君、言葉を謹んだほうがいいんじゃないか?」

クライアントたちが私を擁護すると、惟人の顔に一瞬の疑念が浮かんだ。

間を置いて、彼は突然眉をひそめ、私の肩を強く押さえつけた。

「悠香、どおりで俺にそんな口を利けるわけだ!言ってみろ!どの男だ?

お前は俺の妻だ!クソ女が!」

キレそうなクライアントたちを背に、私は無表情で彼の手を振り払った。

そして惟人の陰鬱な視線の中、離婚協議書を取り出した。

彼の驚愕に変わった顔を見て、私は軽く笑った。

「どこの男なんかじゃないわ。私自身が上流なの」
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