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第2話

Author: 年華
この件で、私たちは少し揉めた。

結局、私が折れた。

けれど今、彼が「贅沢で見かけ倒し」と切り捨てたベッドが、別の女と子供のために用意した家にある。

ベッド脇のチェストにはデジタルフォトフレームがあり、写真がスライドショーで流れていた。

……スキー場での一枚。

鮮やかな黄色のウェアを着た悠平が、同じ装備をした環奈を後ろから抱きしめ、二人は頭を寄せ合って雪山をバックに満面の笑みを浮かべていた。

一ヶ月前のことだ。

悠平は私に「会社からスイスのフォーラムに派遣された」と言っていた。一週間、通話をする暇もないほど忙しいと。

私はバカみたいに甲斐甲斐しく尽くし、毎日「体に気をつけて、ちゃんと食べてね」とメッセージを送っていた。

彼の「金融サミット」の正体は、別の女との雪山旅行だったのだ。

「見つかりましたか?」

リビングから環奈の声がした。

私ははっと我に返った。

胸がぎゅっと締め付けられているかのように痛み、息が詰まるほどだった。

「い、いえ……いませんでした」

ドアの枠に掴まり、必死に平静を装った。

「見間違いだったのかもしれません。もう自分で下に帰ったらしいです。お騒がせして、お休みを邪魔してしまって……本当にすみませんでした」

私は逃げるように子供部屋を後にした。もう一秒も見ていられなかった。

「いいんですよ、お気になさらず。そういえば、旦那様は何をされている方なんですか?うちの主人は金融投資をやっていて。もしかしたらお知り合いかもしれませんね」

環奈は邪気のない様子で屈託なく話しかけてきた。

私は、妊娠して少し丸みを帯びた彼女の純粋すぎる顔を見て、言いようのない滑稽に思えた。

「彼、ですか……」

私はゆっくりと言葉を紡いだ。

「彼も、とても『投資』が上手な人ですよ」

そう、あまりにも上手すぎる。

私の金を使って、もう一つの家、もう一人の妻、そしてもうすぐ生まれる子供に投資していたのだから。

私は逃げ出すかのように、あの家から飛び出した。

我が家に戻ると、悠平がソファでくつろぎながらマーケット情報をチェックしていた。

私が戻ってきたのを見て、彼は顔を上げることなく尋ねた。

「ゴミは捨てた?」

「ええ」

私は彼の隣に座った。

テレビの中ではキャスターが最近の株価指数を分析している。

私はいつものように、彼の肩に頭を預けた。

鼻をくすぐるのは、使い慣れたシダーウッドのボディソープの香り。だが今は、その匂いが嫌悪感を覚えた。

「悠平」

小さな声で呼んだ。

「今日、通販でまたあの北欧のベビーベッドを見かけたの。セールをやってるみたい。やっぱり、あれを買おうか?すごく気に入ってるの」

彼はようやくテレビから視線を外し、私の方を向いて、手を伸ばして私の髪を撫でた。口調はいつものように甘やかすような口調だったが、断固とした決意がにじんでいた。

「笙子、わがままを言わないでくれ。約束しただろう、あんな見かけ倒しのものは買わないって。お金はここぞという時に使うものだよ」

私はさらにもう一つ、問いかけた。

「じゃあ、あの『深海のエコー』っていう絵、覚えてる?」
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