로그인「うん、わかった。俺は自分で下におりるから、二人は手伝ってくれなくていいよ」この時の隼翔の心は曇り空から完全に晴天に変わっていた。立ち直りが早い。彼は自分で椅子を支えにして立ち上がり、一歩進んで車椅子に座った。理仁は言った。「もちろん俺は手助けしたりしないからな、自分で歩け」口ではそのように言ってはいるものの、彼はやはり車椅子を押して向きを変えてやった。そうしたほうが隼翔が自分で車椅子を動かしやすいからだ。三人は一緒に部屋を出て、エレベーターのほうへ向かった。「隼翔はエレベーターでおりてきな。俺と唯花は階段で行くから」隼翔は頷いた。「好きにしていいぞ、俺は暫くはエレベーターにお世話になりそうだ」前のように自由に歩けるようになったら、家のこのエレベーターには休暇をやろう。隼翔がエレベーターに入っていくと、理仁は唯花の手を繋いで、階段のほうへ歩いていった。「隼翔のやつ、義姉さんのことで頭がいっぱいで、余計なことを考えてしまったんだな」「そうね、早く歩けるようになるといいな。お姉ちゃんも実際はもう彼のことを受け入れているのよ。だから今はお姉ちゃんじゃなくて、彼の問題ね。諦めずにリハビリして回復したら、お姉ちゃんと一緒になろうって思えるはず」「来年、きっと来年にはな。遅くても来年の末には二人は結婚できるかもね。その時は親戚になるのか、なんだか照れくさいな。どう話せばいいんだ」唯花は笑った。「姫華には丁寧な言葉を使っていたじゃない?じゃ、東さんにもタメ口をやめて敬語で話したら?」理仁は言った。「いや、それとこれとはわけが違う。彼女にタメ口なんてしてみろ、君の前で俺の悪口を言い出したらどうする?別に隼翔にならこのまま変わらずでいいだろう。彼女は君の従姉だからな、怒らせて俺たちの仲が悪くなると困る。だから、わけが違うんだよ」唯花は、理仁が自分のために姫華と話す時には礼儀正しい言葉遣いをし、姫華が驚いていたのを思い出して、笑った。「まあ、あなたと東さんはそもそも親友同士だしね、親戚関係になったってそれは変わらないでしょ」隼翔は昔から細かいことなど気にしない豪快な人間だ。今感情的になってしまうのは、交通事故で不自由な生活を余儀なくされているからであって、体が回復すれば、きっとまた昔の豪快な東隼
美乃里が陽を連れて出ていってから、隼翔は唯花に尋ねた。「お姉さんは本当に出かける時に、唯花さんに俺の様子を見に行くように頼んだのか?彼女はどんな様子だった?俺があまりにも敏感に反応して、不機嫌になるものだから、お姉さんになにか悪い影響を与えなかっただろうか?君は俺のことを、理不尽にごねてるって思わなかったか?もうすぐ三十七になる大の大人だっていうのに、まるで子供みたいだって」彼はどんどん自分を責める言葉を吐き出していった。彼は今回ばかりは本当に自分が子供みたいだと思ってしまった。「あの、お姉ちゃんは本当に東さんのことを心配していましたよ。ただ、時間的に厳しくてあなたに会いに来る時間がなかったんです。お姉ちゃんは、私と理仁に絶対、あなたのところに行って、気持ちを落ち着かせてほしいって言ったんです。陽ちゃんが一番はっきりと正直に言っていましたよ。彼の言葉、信じられませんか?東さんが怒っても、今弱気になっていても、言いたいことがあるんです。確かに今回は、ちょっとごねてるところがあるって思いました。だって、自分の部屋に一日閉じこもって食事も拒否するんですもん。そのせいでお姉ちゃんは出かける時もあなたのことを心配していたし、おば様だってあれほど心配されていたでしょう?東さん自身だって気分が悪かったと思います。あなたの気分が悪いと、周りで心配している人たちだって、同じように気持ちが落ち込みますよ」隼翔は黙った。理仁も隼翔に言った。「隼翔、俺たちは、お前を励ます言葉や、元気を出してもらいたいと何度も言葉をかけてきたじゃないか。それも口が酸っぱくなるほどな。ちょっと前まで、元通りの生活に戻っていただろ。義姉さんがお前のことを邪魔だとか嫌っているようなら、相手になんかしてくれないぞ。実際の話、義姉さんはどんどん魅力的な女性になっていってる。彼女がその気なら、多くの男が寄ってきて、彼女と結婚したいと思うはずだぞ。彼女は他の男と親密な付き合いをしたことがあるか?彼女ははっきりとお前と付き合うとは言っていないだろうが、最近の二人の様子からして、もうすでに恋人同士みたいになってるじゃないか。こうやって彼女が努力しているのも、全部、お前との差を縮めるためなんだ。お前は勝手に彼女の足を引っ張っていると思ってるみたいだが、彼女はそうじゃなく、お前が車
隼翔は陽にも言った。「陽君はお外で遊んでおいで、おじちゃんは理仁と少しお話したいことがあるからね」陽は物分かりよく頷いた。美乃里は涙を拭き、理仁と唯花に言った。「理仁君、唯花さん、お恥ずかしいところをお見せしちゃって」唯花はどう返事をすればいいかわからなかった。それで理仁がこう言った。「おば様、俺たちから隼翔にはしっかり言っておきますから、心配しなくていいですよ。明後日には通常通り、仕事に行かせますんで」明日は日曜日で休みだ。美乃里は頷いた。「理仁君、またお世話になるわね」「そんな、俺と隼翔は兄弟みたいなものですから。親友の問題は俺のことでもあるんです」美乃里はまたお礼の言葉を口にした。息子には、理仁や悟のような親友がいてよかったと彼女は思った。隼翔がこのようになってしまい、二人が心配しいろいろと助けてくれたことで、隼翔はゆっくりと自信を取り戻すことができた。「じゃ、陽ちゃん、行きましょうか。何をして遊びたいかな?一緒になんでも遊ぶわよ」美乃里は陽の小さな手を引き、外へ連れ出して歩きながら尋ねた。「えっと、おうちにタコはある?今日は風がつよいから、タコをして遊びたい」美乃里は笑って答えた。「探してみましょうね。きっとあるはずよ。お兄さんやお姉さんたちが小さい頃にもよく遊んでいたから、あの子たちのおもちゃ部屋にあるでしょうね。見つかると思うわ。一緒にそのお部屋で探してみようか?」「うん!でも、おにいちゃんやおねえちゃんは怒らない?遊んでいいかきいてないのに」美乃里は一瞬驚いて、すぐに笑顔で言った。「だったらちょっと聞いてきてもらいましょうか。いいよって言われたら、一緒にタコを探して遊びましょう」彼女は陽の教育はしっかりされていると思った。どうりでこの子は隼翔から好かれるはずだ。隼翔は唯月と知り合った頃、彼女はまだ離婚もしていなかったし、別に彼は彼女に気があるわけではなかった。彼はただ単純に陽のことをとても気に入っていただけだ。そしてだんだん顔を合わせ、交流する時間が長くなっていくと、彼は唯月のことがだんだん好きになっていった。唯月の変化を美乃里も自分の目で見てきた。だから彼女も唯月がとても努力してきたことは知っていた。唯月は力をつけたいだけでなく、妹の頼りになる存在
「お姉ちゃんも東さんのこと、とても心配して、安心できないみたいで、出かける前に、何度も私と理仁にあなたのことを見ていてほしいと頼まれたんです。あなたの気持ちはよくわかりますが、いつも悪いほうに考えると悪影響が出ると思います。自分への自信を失ってしまうと、また頑張ろうっていう気になれないでしょう?あなたがお姉ちゃんを助けたい気持ち、私も十分理解しています。だからこそ、今はリハビリを頑張って早く良くならないと。良くなったらお姉ちゃんと同じ方向を向いて、これからの人生に立ち向かっていけるでしょう?それとも、やっぱりお姉ちゃんと一緒に肩を並べて生きていこうって気持ち、なくしてしまいましたか?お姉ちゃんはずっと東さんのことを待ってますよ!」隼翔は理仁と唯花の二人を長い間見つめていてから口を開いた。「理仁、唯花さん、もう俺に忠告してくれなくても大丈夫だ。どうすればいいのか、もうわかった。ただ少し気持ちが落ち込んでいただけさ、だからあんなふうに……自分のため、それに君のお姉さんとの未来のためにも、諦めずに努力する。いつか必ず、以前と同じように立って歩けるようになってみせる。君のお姉さんの頼りになって、彼女を守ると約束したからな。一緒に肩を並べて、これからの人生、困難にも立ち向かっていくって。すまない、二人を心配させてしまって」隼翔は自分を責めるように言った。「あの事故から、俺ってやつはいろんなことに敏感に反応するようになってしまった。どうしても周りは俺と同じような目に遭っていないんだから、本当に俺の苦痛も無力感も理解することはできないとネガティブに考えてしまうんだ。長期に渡るリハビリも、諦めずに続けてきたが、やっぱりまだ両足には思うように力が入らない。こうやって粘り強く続けたって、以前みたく、普通の人と同じように歩けるようにならないんじゃないかって思ってしまう」「おじちゃん、ぜったいに良くなるよ!」そう言うと、陽は隼翔の片方の腕に抱きついて、見上げて言った。「おじちゃんが良くなったら、高い高いしてくれるでしょ」隼翔は彼を抱き上げて、自分の膝の上に座らせると、愛おしそうな声で言った。「よし、おじちゃんが良くなったら、陽君を高い高いして、くるくる回ってあげようね」「じゃ、おじちゃん、早く良くなってね。じゃないとぼく、大き
「適当に言って、適当に過ごすつもりか?別に今日初めて君に会ったわけじゃないんだから、君のことならよく知っているよ。いつだって、暴飲暴食はダメだよ。前、俺たちが夫婦になる前、知り合いじゃなかった頃は、君がどうしたって俺はもちろん構わないよ。だけど、今は結婚して俺の奥さんなんだ。俺たちは白髪になってもずっと一緒にいようって言ったろ?健康でいてもらうためにも、俺は口を出すよ」唯花は心の中で不満をもらした。理仁に管理してもらったら、百歳まで生きられて、病気にもならないみたいに言うじゃないか。まあ、食べる物が健康に影響するのは確かなことだ。やっぱり、暴飲暴食はしないように気をつけたほうがいい。彼女は心の中でそう言うだけで、実際に口に出すことはなかった。そして、おとなしく夫の説教を聞いておいた。隼翔は食べ終わると、お椀とお箸を置いた。陽は隼翔にティッシュを渡してあげた。隼翔は陽の頭を撫でてやった。彼は陽に対して心から愛情を感じている。「陽君、君のお母さんは……出張する前に、おじさんのことを何か言ってたかな?」陽は頷いた。「えっとね、おばちゃんと一緒におじちゃんのことしっかり見ててって。自分でかってにわるく考えちゃだめだって。それからおかあさんはおじちゃんが歩けないからって嫌ったことはないし、足をひっぱる?とも思ってないって」唯月はこれを理仁と唯花に言ったのだが、陽はその場に居合わせていたから聞いていたのだ。それで今、それを隼翔に言って聞かせた。「陽君はお母さんのお見送りに空港に行ったの?」陽はその瞬間、口をへの字に曲げて言った。「来なくていいって言われたよ。おばちゃんもね。おかあさんは車に乗って、何人かのおじちゃんと一緒に行っちゃった」陽は赤ちゃんの頃から叔母である唯花と一緒にいるが、母親が遠出するのに自分を連れて行かなかったので、やはり悲しく思っていた。陽は母親から、用事で行くのだから、彼を連れて行くのは不便だと言われた。それで叔母と一緒に家にいるようにと言い聞かせられた。それに冬休みになったら、彼を連れて北に旅行に連れていってくれると約束していた。雪を見て、雪合戦をしたり、雪だるまを作ろうと言った。それに、桐生家の瀧に会いに連れて行ってくれるとも約束してくれた。そうやって母親から諭されて、彼
陽は隼翔が立ち上がる時に体を支えたいと思ったが、彼はまだ小さくて力が足りない。車椅子を押すのは問題ないが、大人の体を支えながら歩くのは難しい。陽は唯花と理仁たちも手を貸していないので、何も言わずに隼翔が椅子に移って座るまで見届けた。そして彼は突然拍手をしながら、隼翔を褒めた。「おじちゃん、すっごいや!自分で歩けるんだ、ほんとうにすごい!」幼稚園でも先生が誰かすごいことをしたら、このように褒めて、悪いことをしたら叱られている。そして今、おじさんがすごいことをしたのだから、もちろん褒めなくては。三人の大人たちは、小さな陽の言動に思わず笑ってしまった。「隼翔、まだ熱いから冷めないうちに食べるんだぞ。食事が終わったら話でもしよう」理仁が言った。「そうだよ、おじちゃん、早く食べて。おじちゃんのおかあさんに約束したんだからね。おじちゃんをほめてドアを開けさせて、ちゃんとご飯を食べるようにほめてって。食べてくれないと、ぼくがしんようをうしなっちゃうよ」陽は隼翔の傍まで来ると、隣に座った。隼翔は心がほんわりと温かくなり、ふいに陽の小さな体を抱きしめて、彼の頬に何度もキスをした。「普段からおじちゃんが陽君をとても可愛がっていた甲斐があったな。おじちゃん、すぐに食べるよ」今日隼翔は自分の部屋に引きこもって、ずっとドアを開けず、飲み食いしていなかったので、みんながとても心配していた。隼翔はお椀を手に持って食べ始めた。隼翔は陽にも食べるかどうか尋ねた。陽は自分の小さなお腹をさすって、隼翔に言った。 「おじちゃん、ほら、ぼくのお腹見て見て、おばちゃんのおうちでたくさん食べてきたから、お腹いっぱいなんだ。もう食べられないよ、おじちゃんが食べてね」隼翔は陽の小さなお腹を見つめた。確かに、小さなお腹が丸くふくれている。そして笑って言った。「陽君も苦しくなるまで食べ過ぎたら駄目だぞ」「うん、わかってるよ。理仁おじちゃんが食べすぎないように、ぼくとおばちゃんをしっかり見張ってるんだよ。おばちゃんがね、理仁おじちゃんがいると思いっきり食べられないって。おじちゃんがお仕事に戻ったら、あかりおばちゃんのところでたくさんまんぷくになるまで美味しい物を食べようって」そこで唯花が口を挟んだ。「……陽ちゃん、おばちゃん、一体







