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第4話

Auteur: キョウフチ
墨景は陰鬱な表情を浮かべ、全身から怒気を放っていた。

「白容瑶……お前は誰と浮気してこの子を産んだんだ?正直に言わないと、このがきを殺してやるぞ」

父は怯え、慌ててなだめに入った。

「墨景、落ち着け。きっと何かの誤解だ。容瑶はあれほどお前を想ってるのに、裏切るはずがないだろう」

白容瑶はすぐさま父の言葉に縋りつき、子供を抱いて墨景の前へ差し出し、優しい声で言った。

「ほら見て、私たちの子よ。あなたにそっくりでしょう?この瞳なんて、瓜二つだわ」

墨景は冷ややかに赤狼を受け取った。

だが母の腕の中で静かに眠っていた赤狼は、父の顔を見た途端、突如として張り裂けんばかりに泣き叫んだ。

その悲痛な泣き声に、前世、炎の中で苦しんでいた天澤を思い出した。私の胸は窒息するほど痛み、眉間に深い皺が刻まれた。

時野は私の異変に気づき、そっと耳を塞いでくれた。彼は私が泣き声を嫌っているのだと勘違いしたのだろう。

「がきめ!」

墨景は罵声をあげ、赤狼を高々と持ち上げると、そのまま地面へ叩きつけようとした。

その瞬間、私と時野は同時に手を伸ばし、落下してくる赤狼を受け止めた。結局、時野の腕の中に収まった。

どれほど憎くても、この小さな赤狼は無実だ。

その場に居合わせた者たちは、皆恐怖に息を呑んだ。

とりわけ白容瑶は顔色を失い、震えながら呟いた。

「墨景……あなた、なんて酷い……」

墨景の目に、もはや愛情の影はなかった。

「白容瑶、我ら狼族は伴侶への忠誠と一途さを尊ぶ一族だ。だが、お前は堂々と俺を裏切った。俺に酷いと言う資格があるか?」

もし墨景に取り柄があるとすれば、それは徹底した一途さだろう。

前世、私が半年経っても妊娠しなかった時、彼は他の狼族と子をもうけようとは考えず、ただひたすら、その不満を私への昼夜に渡る苦痛で発散していた。

今世でその代償を受けるのが白容瑶だ。果たして彼女は耐えられるのか。

白容瑶と墨景の口論は収まる気配もなく、白容瑶は頑として不倫を否定し、墨景は子供を認めない。

見かねた父が私に助けを求めてきた。

「白若、どう思う?」

どう思うも何も、この子は私の子供ではない。私はただ成り行きを見に来ただけで、この件に首を突っ込む気はなかった。

時野が口を開いた。

「昔から、鳳凰族は親族を特定する秘術を持ってると聞きます。狼
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