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第212話

Penulis: 星柚子
その瞬間、ほかの音はすべて消えてしまったかのようだ。

奈穂の耳に届いたのは、正修の口から放たれた――「愛してる」その四文字だけ。

彼女は呆然と正修を見つめた。

彼の眼差しは真剣で、熱を帯びていて、言葉にしきれないほどの愛情があふれている。冗談めいた気配など、微塵もない。

奈穂は、目の奥がじんわりと熱くなり、胸の奥も同じように熱を帯びていくのを感じた。

正直に言えば、さっきの彼女の言葉は、あの映画のシーンを見て、つい口にしただけだった。

まさか正修が、こんなにも真剣に、突然この四文字を口にするなんて思ってもいなかった。

奈穂は手を伸ばし、そっと彼の頬に触れた。

「……私も、愛してる」

その言葉を聞いた瞬間、正修の胸の内には、荒れ狂う波が一気に押し寄せた。彼は彼女を見つめ、目尻がわずかに赤く染まる。

「愛してる」――この四文字を、彼はこれまで何度も、何度も心の中で彼女に告げてきた。

そして今、ようやく正式に、彼女に伝えることができたのだ。

奈穂は突然、顔を彼の胸に埋め、小さな声で言った。「……なんか、ちょっと照れくさいかも……」

もちろん、先の告白は胸の奥から自然
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