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第458話

Author: 星柚子
奈穂は完全に正修の腕の中に閉じ込められ、逃げ場などどこにもなかった。

――もっとも、逃げる気などなかったけれど。

避けるつもりも、抗うつもりもない。そのまま、絡み合うような深い口づけに身を委ねる。

どれほどの時間が過ぎたのか分からない。やがて、正修の車は地下駐車場を離れ、ゆっくりと走り出した。

「今夜も蘭彩堂で夕食?」奈穂は何気なく尋ねる。

正修は、何かを思い出したように、意味ありげな笑みを浮かべた。

「いや。今夜の蘭彩堂は……少し都合が悪い」

「え?どうして?」

特に気にしていなかったはずなのに、その笑みが妙に引っかかって、彼女はつい問い返してしまう。

「大したことじゃない」正修は軽く言った。「今夜は別のところで、美味しいものを食べよう」

彼がそれ以上何も言わなかったので、奈穂もそれ以上問いたださなかった。

ただ、手首に輝くクリスタルのブレスレットを見つめる。

――彼と一緒なら、それで十分。

……

その夜、蘭彩堂には烈生の姿があった。

向かいに座るのは若い女性。端正な顔立ちで、所作も優雅だ。

二人は同じテーブルで食事をしている。

到着時に挨拶を交わし
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