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第1183話

作者: 小粒キャンディ
柊馬の電話は繋がらず、一花は湊にも電話をかけたが、やはり繋がらなかった。

彼女は冷静さを失い、上着を羽織って外に出ようとしたが、慌てて駆けつけた浩之に無理やり引き止められた。

「夜明け前だぞ、どこへ行く気だ?」

「彼に会いに行くの!」

一花の目は真っ赤に染まり、声は激しく震えていた。

これまでの間、浩之が彼女の興奮した姿を見たのは初めてだった。

子供のために、彼女はいつも自分を抑えてきた。だが、実は、彼女が我を失うほどメンタル崩壊するこの状況は、とっくに前から出て来るべきものだった。

「彼はもうあの薬を廃棄した。それだけで彼の気持ちは分かるだろう。彼はただ君を守りたかったんだ。今、君がどんなに辛くても、体と子供が最優先だ。衝動的になるな」

浩之の言葉を聞いて、一花の胸はさらに激しく上下した。彼女は必死に呼吸を整えようとしたが、やはり堪えきれず、涙が溢れ落ちた。

胸の中に潜めた大きな悲しみは飲み込めず、ますます息が苦しくなる。彼女はきつく結んだ唇をわなわなと震わせ、突然、浩之の胸に顔を埋めた。

一花の押し殺した泣き声は次第に大きくなっていった。浩之は苦しそうに彼女の肩
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コメント (1)
goodnovel comment avatar
kimiko kok
最近読んでて辛すぎます…ハッピーエンドになってほしい……
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    柊馬の電話は繋がらず、一花は湊にも電話をかけたが、やはり繋がらなかった。彼女は冷静さを失い、上着を羽織って外に出ようとしたが、慌てて駆けつけた浩之に無理やり引き止められた。「夜明け前だぞ、どこへ行く気だ?」「彼に会いに行くの!」一花の目は真っ赤に染まり、声は激しく震えていた。これまでの間、浩之が彼女の興奮した姿を見たのは初めてだった。子供のために、彼女はいつも自分を抑えてきた。だが、実は、彼女が我を失うほどメンタル崩壊するこの状況は、とっくに前から出て来るべきものだった。「彼はもうあの薬を廃棄した。それだけで彼の気持ちは分かるだろう。彼はただ君を守りたかったんだ。今、君がどんなに辛くても、体と子供が最優先だ。衝動的になるな」浩之の言葉を聞いて、一花の胸はさらに激しく上下した。彼女は必死に呼吸を整えようとしたが、やはり堪えきれず、涙が溢れ落ちた。胸の中に潜めた大きな悲しみは飲み込めず、ますます息が苦しくなる。彼女はきつく結んだ唇をわなわなと震わせ、突然、浩之の胸に顔を埋めた。一花の押し殺した泣き声は次第に大きくなっていった。浩之は苦しそうに彼女の肩を叩いたが、慰めの言葉は続けられなかった。散々泣いたことで、一花も力を失い、ようやく浩之の説得に応じて、少しだけ眠ることができた。だが、彼女の眠りは浅く、わずか二時間で夢から飛び起きた。浩之は彼女の寝室の外で一晩中、目を閉じずに待っていた。彼女が目を覚ましたのを見て、すぐに温かいお茶を一杯入れて、体調を尋ねた。一花は首を横に振り、五時半だと確認して、浩之に尋ねた。「何か連絡はあったの?」「まだ早い、もう少し休んでからにしよう……」「彼からはまだ返事がないの?」一花が浩之を見ると、彼は息を飲み、何か言いたげに口を開きかけて止めた。柊馬が彼女の電話に出ないのなら、他人の電話に出るはずもない。一花の表情が一変し、再び立ち上がろうとした。浩之は低い声で言った。「一花、彼はもう行ってしまったんだ」「……」一花は足を止めた。浩之の声は苦しげだった。彼はため息をつき、低く続けた。「今、君が一番大事にすべきは子供だ。彼のことは、もう詮索しないでくれ」「行ってしまった?行ってしまったって、どういうこと?」一花はぎこちなく、ゆっく

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    【西園寺グループがそんなことをするなんて、ありえないでしょ。彼らは国内でも有数の良心のある企業って自負してたじゃない?以前は伊集院グループと一緒に公益プロジェクトもやってたんだ!】【公益なんて、悪事を隠すための手段に過ぎないことも多いんだよ。それに、利益がなければ動かないのが企業ってもんだ。西園寺グループだって所詮は企業だ。儲けなきゃならん!】【でも、西園寺社長がそんな人だとは思えないな。俺は彼女に好印象がある。バリバリの女社長で、会うたびにポジティブなオーラを感じてた】【人は見た目によらずってことよ、噂では彼女が自らその薬を導入したらしいぞ。西園寺グループが秘密裏に製造してて、もう完成してるって話だ!】西園寺グループが秘密に禁じられた薬を作っているニュースが報じられると、ネット上のコメントの態度は真っ二つに割れ、大騒ぎになった。西園寺グループは南関市で長く信頼を集めてきたため、一花がそんなことをするはずがないと信じる人も多かった。だが、ニュースが出て間もなく、ある匿名の人物が一花が海外である医療機関の院長に会った写真を数枚投稿した。その投稿によれば、その院長こそ、かつてM国の機密薬物開発に参加した中心メンバーだという。さらに、以前一花が茉白と二階堂家との関係を断ち切り、茉白の母親の特許技術を継承したのも、その薬の製作が主な目的だったと暴露された。国内で未許可の薬物を、西園寺は申請も承認も受けずに作っている。すなわち違法製薬だ。もし暴露内容が事実なら、一花個人が大きなトラブルに巻き込まれるだけでなく、西園寺グループも大きな打撃を受けることになる。これほどの大事件なら、国中で議論されるのも当然だった。だが、騒動がここまで大きくなっても、午前中ずっと一花からの反応はなかった。最初は西園寺グループを擁護していた声も、完全に消えてしまった。何しろ事が重大だ。一花がまだ姿を見せないということは、もしかするとすでに調査を受けているのかもしれない。噂はさらに広がり、西園寺グループの本社は封鎖され、調査団がすでに乗り込んでいると言う者もいた。また、一花は妊婦だから、体調を崩して病院に運ばれたという者もいた。ネット上の悲観的な声は増すばかりだった。どうやら兆を超える遺産もそう簡単に継げるものではないらしい。一花の栄光も長

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