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連動する叫び声

Penulis: 空蝉ゆあん
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-11 08:00:00

 65話 連動する叫び声

 激痛に耐えながら叫び声をあげ続ける。喉がジリジリと焼けるような熱さが広がり続けていく。刷り込まれた雑音を浄化しながら、別物を差し替えていく。

「ぐあああああ」

 耐えきれない僕は無意識にもがくと、より痛みが貫いてくる。その姿を見つめながらも、自分の力を注ぎ続けるマザーは、手を抜く様子は全くない。

「耐えなさい、それしか取る方法はないのです」

 僕に聞こえるような声で言葉を吐くが、空間が邪魔して粉々になっていく。形のあった心は雑音に埋もれながら、僕の脳裏に違う言葉が作られていく。

「もう少しだ、もう少しで」

 聞いた覚えのある声の主は、誰だったかを思い出す事が出来ない。過去の記憶に蓋がかかっていて、それ以上踏み込んではいけないと体が警告する。拒否反応を示した僕は、ぐったりと倒れ込んだ。

「私の力では難しいのでしょうか、いえ、きっと」

 世界が新しい彩りを欲していく。その変化についていく事が出来ないマザーは、自分の可能性にかけるしかないと覚悟をした。倒れ込んだ僕を癒すように包み込むと、世界は真っ赤になっていく。

 僕の声は現実世界に連動していく。今まで何の変化もなかった僕は、急に叫び声をあげたかと思うと、力が抜けたように床に倒れていく。その姿を見ているタミキは、何が起こっているのか理解出来ないといった表情で見つめていた。

「庵、何が起こってんだよ」

 一人で僕の様子を見ていたタミキは心の声を漏らしていく。その疑問に答える事が出来ない僕を、抱きしめるとベッドに戻していく。

 何が起こっているのかを理解する為には、椎名と南を呼ぶ必要があると考える。しかし、僕一人を置いて、呼びに行くのはリスクが高い。自分には何も出来ないかもしれない、それでも僕を失うんじゃないかと思ってしまう。

「叫び声が聞こえたけど、何かあった?」

 空気を読んでいるように急に現れた南の声に振り返ると、今、目の前で起きた事を説明し始めた。しかしタミキは気付けない。こんなタイミングよく南が現れた、
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     65話 連動する叫び声  激痛に耐えながら叫び声をあげ続ける。喉がジリジリと焼けるような熱さが広がり続けていく。刷り込まれた雑音を浄化しながら、別物を差し替えていく。「ぐあああああ」 耐えきれない僕は無意識にもがくと、より痛みが貫いてくる。その姿を見つめながらも、自分の力を注ぎ続けるマザーは、手を抜く様子は全くない。「耐えなさい、それしか取る方法はないのです」 僕に聞こえるような声で言葉を吐くが、空間が邪魔して粉々になっていく。形のあった心は雑音に埋もれながら、僕の脳裏に違う言葉が作られていく。「もう少しだ、もう少しで」 聞いた覚えのある声の主は、誰だったかを思い出す事が出来ない。過去の記憶に蓋がかかっていて、それ以上踏み込んではいけないと体が警告する。拒否反応を示した僕は、ぐったりと倒れ込んだ。「私の力では難しいのでしょうか、いえ、きっと」 世界が新しい彩りを欲していく。その変化についていく事が出来ないマザーは、自分の可能性にかけるしかないと覚悟をした。倒れ込んだ僕を癒すように包み込むと、世界は真っ赤になっていく。  僕の声は現実世界に連動していく。今まで何の変化もなかった僕は、急に叫び声をあげたかと思うと、力が抜けたように床に倒れていく。その姿を見ているタミキは、何が起こっているのか理解出来ないといった表情で見つめていた。「庵、何が起こってんだよ」 一人で僕の様子を見ていたタミキは心の声を漏らしていく。その疑問に答える事が出来ない僕を、抱きしめるとベッドに戻していく。 何が起こっているのかを理解する為には、椎名と南を呼ぶ必要があると考える。しかし、僕一人を置いて、呼びに行くのはリスクが高い。自分には何も出来ないかもしれない、それでも僕を失うんじゃないかと思ってしまう。「叫び声が聞こえたけど、何かあった?」 空気を読んでいるように急に現れた南の声に振り返ると、今、目の前で起きた事を説明し始めた。しかしタミキは気付けない。こんなタイミングよく南が現れた、

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