LOGIN何事もなく街を出て馬車に乗っていた。
この街道の道のりはなんだか凸凹していて乗り心地が悪い。尻が痛くなるわ。あっ、俺尻なかったわ。骨だから。
「凄いガタガタの道ですわね?」
「そうだねぇ。なんかお尻がジンジンするよぉ」
ミリアがお尻を擦りながら口をへの字にしている。ダンテさんが悪い訳でもなし、道が悪いだけだから仕方がないよな。
しばらくの間揺れに耐えながら座っていると、突如として急に車内に衝撃が走り、無常力空間のように身体が浮いた。
ドガンッという音と共に車体が地面に着地した。「みなさま、すみません! 車輪が壊れてしまったようです!」
なんてこった。
車輪を直する術は俺にはないぞ? そう思いながら馬車をおりて車輪を確認する。すると、進行方向の右後ろ側の車輪が割れてしまっていた。
そりゃ、そうだ。こんなガタガタ道通ってたらそうなるわ。
「ホントですわね。割れてますわ。ダンテ、どうするつもりな
ワラワラと森から出てきたモンスター達を前に気合を入れて剣を構える。『【四面楚歌】を発動します』 身体が赤い炎で漲る。 殺られる前にやる。 ストロング流剣術 剛剣術 「カタタ(紫電《しでん》)」 モンスター達の正面に突っ込んで数体を一気に切り裂く。そいつらは仲間がやられたことに気づき、俺を囲もうと集まってきた。 おぉ。上等だ。斬り伏せてやる。 ストロング流剣術 柔剣術 「カタタ(静寂《しじま》)」 感覚の五感、六感で敵を感じ取り攻撃を避けながら斬り裂いていく。 左から来た棍棒を受け流して後ろにいたゴブリンの頭を潰す。そのままグリップで目の前のオークの顔を潰す。 そのままの勢いで横薙ぎに剣を振り、オーガの首を刈り取る。身体を押さえつけに来た周囲の奴らを手を避けるようにしゃがみ、躱す。 ストロング流剣術 剛剣術 「カッカ(六花《りっか》)」 一振りで足を斬り裂き、二振りで胴を斬り、三、四、五、六と周囲にいたモンスターを斬り裂いた。 周囲に一瞬モンスターが居なくなったが、再び囲まれて同時に攻撃してくる。 はぁぁ。めちゃくちゃめんどくせぇ。 ストロング流剣術 剛剣術 「カタタ(時雨《しぐれ》)」 無数に見えるような突きを回りながら放ち、周りの敵全てを負傷させる。 そして、動きが鈍った所を次々とトドメをさしていく。 これで半分。なんでこんなにモンスターが湧いてくるんだ?「ナイル!」 考え事をしていたらゴブリンを一体通してしまったようだ。 まずい! 戻ろうとするが、モンスターが行く手を阻む。 コブリンが近づいて行く。 俺には自分の動きがスローになったように錯覚した。 あぁ。ミリアが……。「クーガ! そいつを斬り伏せろ!」 何者かが乱入した。 頭にツノを生やした者はゴブリンを斬り伏せ、次々にモンスターを斬り倒
何事もなく街を出て馬車に乗っていた。 この街道の道のりはなんだか凸凹していて乗り心地が悪い。尻が痛くなるわ。あっ、俺尻なかったわ。骨だから。「凄いガタガタの道ですわね?」「そうだねぇ。なんかお尻がジンジンするよぉ」 ミリアがお尻を擦りながら口をへの字にしている。ダンテさんが悪い訳でもなし、道が悪いだけだから仕方がないよな。 しばらくの間揺れに耐えながら座っていると、突如として急に車内に衝撃が走り、無常力空間のように身体が浮いた。 ドガンッという音と共に車体が地面に着地した。「みなさま、すみません! 車輪が壊れてしまったようです!」 なんてこった。 車輪を直する術は俺にはないぞ? そう思いながら馬車をおりて車輪を確認する。 すると、進行方向の右後ろ側の車輪が割れてしまっていた。 そりゃ、そうだ。こんなガタガタ道通ってたらそうなるわ。「ホントですわね。割れてますわ。ダンテ、どうするつもりなのかしら?」 鋭い目付きでダンテさんに問いかけるリンスさん。だけど、これは別にダンテさんのせいではないし仕方ないのでは? 俺はそう思っていたんだが、リンスさんの考えは違うようで。 よく聞くとガタガタの道の場合は凄ーくゆっくり走るか、もしくは街道を外れて走るのが通常の対応らしい。でも、ダンテさんがそれを知らない訳では無いだろうし。「も、申し訳ありません! 実は、視察の期間の終わりが迫ってましてそれで焦っておりました……。こんな事になってしまい、申し訳ありません!」 そういう事なのか。 視察の期間が決まってたんだ。でも、そもそもワイバーンに襲われて護衛も居なくなったし予定が遅れてしまったんだよな。「はぁ。ダンテ、私がお父様にはちゃんと理由を話すと言ったではありませんこと?」「はっ! ですが、これで遅れてはその後の予定にもズレが出るわけでして」「全く! だから、お父様にはギチギチに予定を立てないように言ったのですわ! こうなったのは、お父様の責任でもありますわ! 帰った
無事に男達を追い払った後には、ご飯を食べに来ていた。 リンスさんの言っていたパスタがあったかと言うと、探したんだけど、なかったのだ。残念がったのはミリア。 シュンとしていたが、今は嬉々として肉を頬張っている。結局のところ肉が食べれる店に行き着いたというわけである。 リンスさん達御一行はミリアの横で上品に肉を切り分けて食べている。ミリアはというと、少し下品だがフォークで刺して直食いしている。 所謂、山賊食いというやつだ。某アニメでは海賊が肉をがっついて食べていたりするものだから、山賊なのか海賊なのかは不明だが。まあ、がっついている。 ミリアのビジュアルでそれをやるとなんか逆に愛おしく感じるというか、なんというか。これは病気だろうか。恋の病か?「ん? ナイル食べる?」 いや、食えないから。 すまん。見てると食いづらいよな?「そんな事ないけど、ジィっと見てたからてっきり食べたいのかと」 そうじゃないんだ。気にせず食べてくれ。 愛らしいなと思ってジィっと見てしまったなんて言えないよな。いや、言っても良いのかもしれないけど、なんか恐いよな。 どこぞの恋する乙女になった様な気分だ。言って嫌われるのも恐いし、変な感じにギクシャクしちゃうのも嫌だ。だから言わない。「うん。なかなか美味しいお肉ですわね。このお肉は何の肉なのかしらね?」 リンスがそう疑問を口にする。 言っちゃ悪いけど、それは聞かない方がいいと思うぞ。確かに美味そうだけど、きっと貴族様が食べるような肉ではないぞ?「お嬢様。この味は庶民では有名なホーンラビットの肉ではないかと推察します」 そのダンテさんの答えに手をプルプル震わせて目を見開いている。唇も心做しかパクパクしているように見えた。「モ、モンスターを食べてますの?」「庶民の生活はそんなものです。知らずに食べれば美味しいと感じますよね? 美味しいなら、それでいいんでは無いでしょうか?」「……たしかに……そうかもしれないですわね」 リンスさんは
「あーっ! 楽しかったぁ!」「そうですわね。なんだか久しぶりですわ。こんなに楽しく買い物したの」「そう? リンスちゃんが楽しくてよかった!」 俺達は少し離れて後ろから追いかけている。 それが裏目に出るとはこの時は思っていなかった。「ねぇ、お腹空かない?」「空きましたわね! ミリアは何がお好きですの?」「わたしぃ? 私はねぇ、肉!」「な、なんか野性的ですわねぇ。わたくしは魚介系のパスタが食べたいですわぁ」 この街にパスタなんてあんのか? 王都だけじゃないか?「えぇー? パスタってなにぃ?」「パスタを知らないですの? あのーネジネジしてあって、プリプリして柔らかいんですが、歯ごたえがあるんですわ」 あー。そっちね。短い方のやつか。「知らなぁーい! それも食べてみたいなぁ。ねぇ、それの肉のやつないのかなぁ?」「あるんじゃありません?」「そうなの? それならそれがいいなぁ」 街を見て歩くがそんなにオシャレな店があるとは思えない。一体何処にあるというのだろうか。「まぁ、この街にあるかは分かりませんのよ?」 ブッ! あぶねぇ。顎が飛んでいくところだった。 やっぱり、そうだよねぇ? そうだと思った。「そうなんだぁ。探そう探そう!」 ブラブラと歩きながら店を探していると夕食時とあって人が多く行き交っている。手を組んで歩いている男女。子供と手を繋いでいる家族。飲んで歩いている男達。 いいなぁ。俺も酒が飲めたら楽しいだろうになぁ。前前世では歌舞伎町でよく朝まで飲んだものだ。 今の俺は飲めない。 なぜなら……。 言うまでもないか。「お姉さん達ー? 今からどこ行くのぉー?」 気付けば、ミリア達の前に冒険者風の男達が三人立ち塞がっていた。「わたくし達はこれからディナーに行くのですわ! 邪魔しないでくださいません!?」
「では、今度こそ服屋に行きますわよ!?」「そうだね! たのしみー! でもさ、リンスちゃん、試着はやめた方が良いかもね」「そ、そうですわね。仕方がありませんわ」 前回のことがあるからな。 少しは注意してくれよ?「我々もついていきますからな?」「わかってますわ!」 ダンテさんも馬車を引っ張りながらついていく。しっかりと見張るつもりなんだろう。俺も今回は目を離さない。 どの街にも貴族用の店があるんだろうか? この街にも少しお高そうな服がショーウィンドウに飾られているのだ。「わぁ! これ可愛い!」 ふんわりした感じの服で肩にヒラヒラとしたフリルが付いている。 へぇ。ミリアもこういう服が好きなのかぁ。 普段のミリアの服は黒い布を被って皮鎧を付けているような形だ。服と言えるものはあまり来ていない気がする。「素敵ですわね。ミリアにプレゼントしますわよ?」「えぇー? そんなぁー。悪いよー」 アイツ……悪いと思ってないな。 あわよくば買ってもらう気してるぞ?「悪くないですわ。私のことを救ってくれたんですもの、服なんて安いものですわ。ねぇ、ダンテ?」「はっ! 左様でございます。お嬢様の命は何よりもかけがえのないもの。それを救って頂いたのですから、金額は関係ございません」 流石は執事である。貴族がどれほど金を持っているかは俺には計り知れぬところではあるが。言う事が違うな。命は買えるものでは無い。その通りだな。命は1つしかない。 俺は二回転生しているけども。「な、なら、欲しいです!」「いいですわよ。他にも何か欲しいのがないか中に入って見ますわよ!?」「は、はいぃ」 侍女も伴って三人で入っていく。 俺は……なんだか娘達を連れてきたお父さんになった様な気持ちになるな。これは。 それは、ダンテも同じようで端っこで二人で手を組んでたっているというスタイルで。一緒に買い物をすればいいの
その後は順調で、何事もなく野営できたのであった。その後は特に何も無かったからあえて語る必要はないだろう。 ミリアとゆっくり馬車で話せて幸せな時間だったけどな。「街が見えましたよ!」 次の街では油断しないようにしないとな。「次は皆で行動致しましょう!」 リンスさんがそう宣言する。 ダンテさんとベリーさんは苦笑いである。 ようやく反省したかと言った感じ。 もしかして、リンスさんは常習犯だったんだろうか。言う事を聞くことの方が少ない。みたいな。「いやー。ミリア様とナイル様には感謝しかありませんな。リンスお嬢様が人の言う事を聞く、反省するのなんか滅多にありませんからな。有難う御座います」 こっそりとダンテさんに礼を言われた。やっぱり普段はお転婆なお嬢様らしい。俺達と合流してからはそんなお転婆さはあまり発揮していなかったが。この前のような事があったから、さすがに懲りたんだろう。「まずは、食料の調達です。お嬢様、何か気になるのがあれば購入されてみてはいかかですか?その方が食事のバリエーションも増えますし」「それはいいわね! 行きますわよ!」 リンスさん、割とチョロい。 ダンテさんは流石に何年もリンスさんの身の回りの世話をしてるだけある。性格をよく熟知している。 それなら、この前のような事も予期出来たんでは無いかと思ったりもするけどな。あれは俺がいたから大丈夫って思ってくれたのかな?「これなんかどうでしょうか? 甘くて美味しいですぞ?」 ダンテさんが手に取ったのはオレンジ色したマンゴーのような果物である。「それは、食べたことがあるわね。食べるわ。えーっと、それはなんですの?」 黒い板状の物を見てそう質問する。「それはノリさ。海藻を乾燥させたものだよ」 ダンテさんに聞いたつもりだろうが、親切に店の人が教えてくれた。 海藻か。いいな。 おれ、骨だから食えないんだった。 はぁ。肉体が欲しい。「ノリ……