LOGIN『マスターの消失を確認しました。固有名、ナイルのテイム状態は解消されました』
世界の声がミリアが死んだことを明確に物語っていた。
もしかして、こうなる事が分かっていたから俺に念話スキルをとったのか?そんな訳ないか。
そこまで考えていたとは思えない。「残念だけど、君のマスターは居なくなった。ということは、ただのモンスターになったわけだ。討伐されないうちに逃げた方がいい」
『ミリアを刺した人に心当たりはないか? 目に傷のある男が居なかったか!?』
「誰か、この子に近づく人か、目に傷のある男を見なかったか?」
怪我を見てくれていた男が周りの人に聞いてくれている。
「あっ! そういえば、この人なんでここをウロウロしてるのかなぁっていうひとは居た気がする? 目に傷があったかも!」
『そいつはどこに行った!?』
「んー。前線に行ったと思うよ?」
そうか。また逃げたんだな。そうかよ。
『蘇生の魔法は!?
「はぁぁぁぁ。痛かったぁぁ」『ありがとうな。おかげで倒せたわ』「ううん! 私も役に立てて嬉しいんだぁ!」 ニコニコとそういうミリアだが、手は赤く腫れ上がりなんだか可哀想な気がするが。本人は至って冷静で手をさする位でなんとも思ってないみたい。 片手を拾い肘の位置に持っていき魔力を巡らせるとくっ付いた。 これが魔力で運用されているモンスターの身体である。 奥に向かうと。 ここの部屋にも宝箱があった。 ここの箱にも罠はなく、中にはナックルが入っていた。 ねぇ。このダンジョンなに? 欲しいものが出てくるなんて。『ミリア。これはあげる』「あー! すごーい! これでもう痛くないね!」 しかもこのナックル、アダマンタイトか? でも色的にオリハルコンかもしれない。『ミリア、それめっちゃ硬いと思うぞ?』「そうなの? ラッキー! さっきのホントに痛かったんだよねぇ。これで痛い目にあわなくてすむね!」 それはそうなんだが、なんだか欲しいものがピンポイントっていうのはなんか凄いな。 これが前前世で聞いたご都合主義とかいうやつか?『そうだな。付けてみたらいいんじゃないか?』「えぇ? なんか呪われたりしてたら嫌だなぁ」『外れなくなったりしてな?』「ちょっ! ちょっとぉー! 脅かさないでよぉ! まったくぅー!」 装着してみるとサイズも丁度いいしいい感じなようだ。「あっ! また階段だ!」 少しゆっくりと慎重に進む。 こんなモンスターが出た後に何が出るんだろうか? ゆっくりと扉を開ける。 見えてきたのは布を被ったナニカ。 あれはなんだ? レイスか?「ボォォォォォ」 おぉ。喋ってるよ。 俺より優秀だなレイス。 レイスの周りには闇の球が浮かび上がり、いつ放たれてもおかしくない。『ミリア、
「おぉー。凄いねぇ。ナイルゥー!」『何とかなってよかったな』 消し炭を残して奥に進むと小さな部屋があった。そこには宝箱が。「あー! 宝箱があるじゃん! やったねぇ! ナイル!」『罠とかないといいけどなぁ。とりあえず、俺が開けるからな。おれなら何があっても大丈夫だしな』 少し様子を見ながら近づいていく。 ツンツンっと宝箱をつつき、ストッパーを開ける。そこまでは何も起きない。『ミリア、離れてろよ?』「離れてるよー!」 部屋の外にいるみたいだから大丈夫だろう。『開けるぞー。ほっ!』 宝箱をパカッと開けると中には魔石が入っていた。綺麗な大きい魔石である。 あれ? これって、S級の魔石かなぁ?「なんかさぁ、おっきぃねぇ!」 ミリアもあまり見た事がないみたいだな。 やっぱり大きいよなぁ。 あれ?「なんか階段があるねぇ?」『だな。下があるみたいだ』 下の階段を降りていく。 再び扉が俺達の行く手を阻む。『次は何かな?』 ゆっくりと扉を開けていく。 出てきたのは赤茶のサソリであった。 えっ!? なに? 素材がわからん。 しかし、尻尾は相変わらず油断出来ないようだ。 尻尾を向けてきたので回避する。『ミリア右!』 一緒に右に飛ぶ。 飛んできた茶色い液体は地面に着くと固くなっていった。 えっ? 粘土。みたいな?「レインからのぉー」 雨をふらせてまた電撃の作戦だ。「ボルトォォォ」 バリッと音がしたが、サソリはビクともしない。何事も無かったかのようにこちらに来る。『次は俺だ!』 こんなに距離が空いてるなら少しの隙を見ても大丈夫だろう。 ドラゴニック流 太刀術 『火竜《かりゅう》の咆哮《
ダンジョンへの階段を下りた先には扉があった。「あれぇ? もしかして、一階層しかないのかな?」『そんな事は滅多にないと思うが、この世界ではダンジョンは初めてだからなぁ』 躊躇いながらも扉を開ける。 すると、正面に二足歩行のサボテンがいた。『おいおい。なんだありゃ?』 サボテンマンと名付けよう。 そいつは身体を震わせたかと思うと花を咲かせ、そしてその花から小さなサボテンマンが生まれてこちらに駆けてきた。『うわっ! 数が多い系か?』 迫り来る小さなサボテンを斬ろうとすると、飛んだり跳ねたりしてピョンピョンと鬱陶しい。 我流 刀術 『大車輪《だいしゃりん》』 何体か小さいサボテンマンを倒したが、残りが針を放ってくる。 数が多い上に放ってくる針の数も多い。 なんとかローブを盾にして針を防ぐ。 あっ。ていうか俺骨だから関係ないじゃん。 そうは思ったが、一応防ぐ。 ミリアに通ったら行けないからな。 そう。俺が盾にならなければ。 こんな魔物がいるなんて調べた時には資料になかったなぁ。もしかして、まだ未発見のダンジョンか? 本来ならギルドに知らせなきゃいけないが、まぁ、攻略しちゃってもいいよな。そう思い、気を引き締めてサボテンマンと対峙する。 やつは、花から小さいサボテンマンを作り出す。あれを作り出す前に潰せばいいだろうか。 またフルフルと震え出した。 第二波が来る。 ドラゴニック流 太刀術 『突竜《とつりゅう》』 引き絞った太刀をサボテンマンの花めがけて突き刺す。 蕾は吹き飛んで何も生まれなかった。 よしっ!とそう思った時に、見た光景に絶望した。その斬った蕾以外に十個ほどの蕾を付けて花を開花させたのだ。 勿論、その花からは小さなサボテンマンが生まれてくる。 どんな体してんだよ!? こりゃ本体を先に倒さないと無理だな。
デクダを仲間にした俺達は早速背中に乗って優雅に旅をしていた。 大きな荷物もあったのだが、背負ったままだとさすがに重くてのれなかったのだ。 そこで、考えたのが蛇の皮を下に敷いて引っ張ろう作戦である。 蛇の皮の上に荷物を乗せて半分は縦に切り裂いてデクダに縛る。もう半分は荷物を縛っている。 ソリのような形でなんとか運ぶことが出来のであった。そう考えるとミリアがどれだけ力持ちか分かるなぁ。 そんなミリアは俺の後ろではしゃいでいる。 なんだか、この高さからの眺めは見たことがないとかでテンションが高い。「ねぇ!? もっと早く走れないのぉー!?」『これ以上早く走ったら振り落とされるし、後ろに引っ張ってる荷物もさすがにやばいと思うぞ?』「そっかぁー。ざんねーん。はははっ! 走れ走れー!」 デクダは気持ち少しスピードを上げたようだ。こちらの気持ちを察してくれているんだろうか。なんてできた子なの。デクダ。 軽快に走っているとドドドドドッとなにやら音が近づいてくる。 後ろを見ると土がめくれ上がってこちらを追いかけてきている。『なんだ? あれ?』「えぇー!? わっ! 何あれ!?」 姿が見えない為に全容が見えないが、こちらを追いかけているのだけは分かる。凄いスピードだが、大丈夫だろうか?ドバァァァァンッ 土から顔を見せたのは目がなく大きく開いた口。その口には鋭い牙が所狭しと並んでいる。あんなのに食われたら骨でも砕かれそうだ。『あれは、ワームか! 逃げないとヤバい!』「斬っちゃえば?」『それが出来れば簡単なんだが、このスピードだと少しでもスピード落としたら喰われる。俺はあの口の中には入りたくない。だから、逃げよう』 少しデクダの腹をトントンッと足で合図したのを察してスピードを上げた。 よーし。 いい子だ。 首をなでなでしながらデクダの背中に必死に張り付く。その俺の背中にはミリアが笑いながら引っ付いている。 力
今日はようやく出発する事にしたのだが、グンガさんに気に入られたミリアは教えを乞うた為に、結局一週間も入り浸ってしまったのであった。「あぁー! 私も強くなれた気がするなぁ!」『いや、実際かなり強くなったんじゃないか?』 俺がそういうのには訳があり、グンガさんと最後に戦った仕合の時の光景を思い出す。 グンガさんが繰り出した突きに対してなんとか躱したミリアが力任せのハイキックを放ったのだ。それをグンガさんがガードしたんだが。 その後、目を見張る光景が。 なんと、グンガさんの体は浮いたかと思うとそのまま数メートル吹き飛んだのだ。その時のグンガさんの顔が凄かった。 獰猛な笑みを浮かべて駆けてくる姿は俺にはトラウマになりそうだった。ミリアもまた好奇に満ちた眼差しで見つめていたのは驚いたものだ。「そぉかなぁ? 私も戦ってみようかなぁ!」『いやいや、俺が守るから大丈夫だ!』 この時の俺は少し意地になっていたのかもしれない。ミリアは俺が守ると誓ったから。「でもさぁ、何個も流派を修めてるなんて凄いよねぇ。グンガさん」『そうだな。ミリアに教えてくれたのってガルン流空手だったよな?』「そうだね。私に合ってるって言ってた」 グンガさんが空手を教えると言い出した時は遠い昔を思い出して懐かしい感じと。なぜ空手を知っているのかという疑問が湧いてきた。 しかし、聞いたところによると世界を旅した中で知った流派らしくガルン流空手とは俺の知っている日本にある空手を異世界風にアレンジしたもののようであった。 見たことがある正拳突きや、回し蹴りなどの基礎的なところは勿論あった。それだけではなく、武器の受け流す形や対処法まで語り継がれているようであった。 ミリアは武器は使えないので、丁度いいという判断になったのかもしれない。「モンスター相手に通用するかなぁ?」『もしかしたらするかもしれない。けど、通用しないかもしれない。だから、危険な目に合わせたくないから俺に守らせてくれないか?』 その言
「その太刀は飾りじゃねぇよな? 斬りあおうぜ?」『どうしたんです?』「ワシも実は太刀を嗜むんじゃよ。一応流派もあってな」『それは興味深いですねぇ』 グンガさんは立ち上がると木刀を二本とって一本を俺に渡してきた。「リーチはちと違うが勘弁してくれ。その大太刀とは斬り合えばこちらの太刀がダメになるだろう」『わかりました。是非』 俺は立ち上がるとグンガさんと一緒に外に出た。家の前で向かい合うと少し距離をとる。「ではのぉ。やるか。来て良いぞ?」 こちらに先に良いぞと言われたのは前世を含めて一体何年ぶりだろうか? 俺は自分がそういう事はあっても、言われることなんぞまず無かったからなぁ。『では、本気で行きます』 我流 刀術 『竜胆《りんどう》』 縮地で肉薄し、胴への横薙ぎの一撃を放つ。 元々隙はなかった。流石は流派のある太刀術を名乗るだけはある。 俺の一撃はフワリと当てられた木刀に受け流された。なんとか体制を崩さないように踏ん張る。 我流 刀術 『暁《あかつき》』 下に向いてしまった体を今度は上に翻して切り上げの一撃を放つ。「むっ!」 咄嗟にバックステップで避けられた。 やはり、動きが只者ではない。 だが、逃がす気は無い。 再び縮地で肉薄すると、木刀を引き絞った。 我流 刀術 『鬼灯《ほうずき》』 渾身の突きを放つ。「ぐっ!」 俺の突きは頬を掠めた。「ハッハッハッ! やるのぉ。これはどうじゃ?」 グンガさんは木刀を自然とダランと垂らす。 なにか来る!「ドラゴニック流 奥義」 凄まじい刀圧だ。「八岐大蛇《やまたのおろち》」 俺は対抗するように。 刀を振るった。 我流 刀術 『金剛纂《やつで》』