LOGIN「その太刀は飾りじゃねぇよな? 斬りあおうぜ?」
『どうしたんです?』
「ワシも実は太刀を嗜むんじゃよ。一応流派もあってな」
『それは興味深いですねぇ』
グンガさんは立ち上がると木刀を二本とって一本を俺に渡してきた。
「リーチはちと違うが勘弁してくれ。その大太刀とは斬り合えばこちらの太刀がダメになるだろう」
『わかりました。是非』
俺は立ち上がるとグンガさんと一緒に外に出た。家の前で向かい合うと少し距離をとる。
「ではのぉ。やるか。来て良いぞ?」
こちらに先に良いぞと言われたのは前世を含めて一体何年ぶりだろうか?
俺は自分がそういう事はあっても、言われることなんぞまず無かったからなぁ。『では、本気で行きます』
我流 刀術
『竜胆《りんどう》』縮地で肉薄し、胴への横薙ぎの一撃を放つ。
元々隙はなかった。流石は流派のある太刀術を名乗るだけはある。俺の一撃
今日はようやく出発する事にしたのだが、グンガさんに気に入られたミリアは教えを乞うた為に、結局一週間も入り浸ってしまったのであった。「あぁー! 私も強くなれた気がするなぁ!」『いや、実際かなり強くなったんじゃないか?』 俺がそういうのには訳があり、グンガさんと最後に戦った仕合の時の光景を思い出す。 グンガさんが繰り出した突きに対してなんとか躱したミリアが力任せのハイキックを放ったのだ。それをグンガさんがガードしたんだが。 その後、目を見張る光景が。 なんと、グンガさんの体は浮いたかと思うとそのまま数メートル吹き飛んだのだ。その時のグンガさんの顔が凄かった。 獰猛な笑みを浮かべて駆けてくる姿は俺にはトラウマになりそうだった。ミリアもまた好奇に満ちた眼差しで見つめていたのは驚いたものだ。「そぉかなぁ? 私も戦ってみようかなぁ!」『いやいや、俺が守るから大丈夫だ!』 この時の俺は少し意地になっていたのかもしれない。ミリアは俺が守ると誓ったから。「でもさぁ、何個も流派を修めてるなんて凄いよねぇ。グンガさん」『そうだな。ミリアに教えてくれたのってガルン流空手だったよな?』「そうだね。私に合ってるって言ってた」 グンガさんが空手を教えると言い出した時は遠い昔を思い出して懐かしい感じと。なぜ空手を知っているのかという疑問が湧いてきた。 しかし、聞いたところによると世界を旅した中で知った流派らしくガルン流空手とは俺の知っている日本にある空手を異世界風にアレンジしたもののようであった。 見たことがある正拳突きや、回し蹴りなどの基礎的なところは勿論あった。それだけではなく、武器の受け流す形や対処法まで語り継がれているようであった。 ミリアは武器は使えないので、丁度いいという判断になったのかもしれない。「モンスター相手に通用するかなぁ?」『もしかしたらするかもしれない。けど、通用しないかもしれない。だから、危険な目に合わせたくないから俺に守らせてくれないか?』 その言
「その太刀は飾りじゃねぇよな? 斬りあおうぜ?」『どうしたんです?』「ワシも実は太刀を嗜むんじゃよ。一応流派もあってな」『それは興味深いですねぇ』 グンガさんは立ち上がると木刀を二本とって一本を俺に渡してきた。「リーチはちと違うが勘弁してくれ。その大太刀とは斬り合えばこちらの太刀がダメになるだろう」『わかりました。是非』 俺は立ち上がるとグンガさんと一緒に外に出た。家の前で向かい合うと少し距離をとる。「ではのぉ。やるか。来て良いぞ?」 こちらに先に良いぞと言われたのは前世を含めて一体何年ぶりだろうか? 俺は自分がそういう事はあっても、言われることなんぞまず無かったからなぁ。『では、本気で行きます』 我流 刀術 『竜胆《りんどう》』 縮地で肉薄し、胴への横薙ぎの一撃を放つ。 元々隙はなかった。流石は流派のある太刀術を名乗るだけはある。 俺の一撃はフワリと当てられた木刀に受け流された。なんとか体制を崩さないように踏ん張る。 我流 刀術 『暁《あかつき》』 下に向いてしまった体を今度は上に翻して切り上げの一撃を放つ。「むっ!」 咄嗟にバックステップで避けられた。 やはり、動きが只者ではない。 だが、逃がす気は無い。 再び縮地で肉薄すると、木刀を引き絞った。 我流 刀術 『鬼灯《ほうずき》』 渾身の突きを放つ。「ぐっ!」 俺の突きは頬を掠めた。「ハッハッハッ! やるのぉ。これはどうじゃ?」 グンガさんは木刀を自然とダランと垂らす。 なにか来る!「ドラゴニック流 奥義」 凄まじい刀圧だ。「八岐大蛇《やまたのおろち》」 俺は対抗するように。 刀を振るった。 我流 刀術 『金剛纂《やつで》』
未開拓地帯に入ってそろそろ三日程経った。 相変わらず視界には茶色ばかりだ。 この日はもう日が落ちようとしていた。 雑談をしながら進んでいると突如ミリアが走り出した。「あっ! 湖がある!」『あっ! 待てミリア!』 静止を振り切って駆けていく。 何が起きた? 湖なんてないぞ? そういえばさっきから甘い匂いが漂ってるなとは思っていた。まさかそれのせいか? サボテンのような体で頭に花を咲かせたモンスターが岩影からミリアを狙っていた。 あれは、サボテンフラワーだな。 花から出す匂いで幻覚を見せて獲物をおびき寄せる。『ミリア!』 我流 刀術 『竜胆《りんどう》』 縮地で一気に距離を詰め、サボテンの襲い来る手に薙ぎ払いを放つ。ギギギギィィィンッッ 棘だらけの腕と交錯して激しい音が出る。 サボテンフラワーがよろめいた。 我流 刀術 『今だ! 鬼灯《ほうずき》ぃぃぃ!』 引き絞った太刀を懇親の力で打ち出す。 サボテンのトゲトゲを躱して太刀が本体に突き刺さり貫通した。 紫の血を流しながら倒れ伏す。「あれぇ? 湖はぁ?」『湖なんてなかったんだよ。こいつの花の匂いで幻覚を見せられてたってわけだ。気をつけろよ?』「えぇーー!」 そう言いながらミリアが見た先には湖が広がっていた。それは、俺にも見える。少しの樹木も湖の周りに群生している。「あれぇ? あれも幻覚かなぁ?」『いや、俺にも見えてるから違うんだろうな』「ねぇ! 水があるよ! 行こう!」 異世界の青い月が照らす湖は幻想的な光を放っていて、前の世界とは違うんだなと感じるものだった。 ちなみに前世の時の月は紫だった。 そんな湖に膝を着いて水を掬って口に運ぶミリア。ゴクゴクと喉に水を流し込み、口から溢れ出た水が顎を伝い首筋に流れていく。
ゴッツさんとクーガさんとミリア復活祝いをした次の日。 北の未開拓地帯へと向かっていた。 街を出たあとは段々と森がなくなっていく。 なぜ北が未開拓地帯になっているのかという理由がここにある。 目の前に広がるのは茶色。 どこを見ても茶。ようは荒野地帯のように土が固まったような茶色い岩がゴロゴロあり、水がないのだ。 ここから先に行く冒険者は水魔法が必須なんだと言う。水がないから仕方がない。それで、ミリアはスキル構成をどうしていたのかというと。 俺が剣に魔力を込めると炎が吹き出すのを知った後なので、何かあったら消せるようにと水魔法をとっていたんだそうだ。 本当にラッキーだった。ちゃんと調べてからスキルをとればよかったと。最初は後悔したものだが、結果オーライ。 そして、水と相性のいい雷属性をとったんだとか。ミリアもなかなか考えているんだなと感心したものだ。「ねー、ナイル? 結構保存食買ったんだけどさ、こんなに食べるかな?」 ミリアの背中には頭を超すくらいの大きな布袋を背負っている。 少しでも役に立ちたいというミリアの願いでホントに荷物持ちをしている。その為に筋肉増強、身体強化等の体のパワーを出力するためのスキル構成になっている。 だからと言ってはなんだが、魔法の方は初級魔法位までしか使えない。 一応、初級、中級、上級、特級まであるんだが、まぁ知っていても良いだろうが。あまりミリアには関係の無いことだろう。『水はないし、食料もないって話だろ? 俺は食べなくてもいいけど、ミリアは必要だろ?』「食べないとかはありえない!」『じゃあ、いるんじゃないか?』 俺は暑くもないのでローブを着ているが、ミリアは暑いようであまり汗をかくほうでは無いのだが、額に汗を滲ませている。 北の未開拓地帯というのは、それなりに癖のある魔物が生息しているのだ。調べたところによると、前前世の日本にいた時に聞いたことのあるようなムカデやサソリ、サボテン?みないなのとかがいるらしい。 あと厄介だと言ってい
「そうかぁーー。良かったぜ。役に立って!」 こう言って胸をなで下ろしているのはゴッツさんだ。 いざ、旅立とうとした時にばったり会ったのであった。 会おうとしていたのに昨日のアーノルド家での出来事と、今日のギルドでの出来事で忘れてたなんて、そんなことは言えない。 時を少し遡ろう。『はい! では、行きましょう! お姫様!』「あっ! そのローブはナイルか!? あれ!? ミリアも居るじゃないか!」 さっきの事があるので、ちょっと外へと促して一緒に外でお茶をしながら話をすることにした。 俺はコーヒー。ゴッツさんとクーガさんはエール。ミリアはハチミツミルクを頼んだ。すぐに飲み物が来たために話を再開する。『実は、ゴッツさんの言っていた通りレベル100になって進化の条件を満たした時にミリアを生き返らせることが出来ました。本当に有難う御座いました』「有難う御座います!」 俺とミリアは深々と頭を下げた。 ゴッツさんには本当に感謝している。 何か返せるものでもあればいいのだが。『ホントに貴重な情報を有難う御座います。なにかお礼が出来ればいいんですが』 ゴッツさんは目を瞑り少し考えた後に目を見開いてこちらを見つめた。「情報で返してくれればいい。実の所、伝承であって実際に生き返らせた人の話は聞いたことがないんだ。詳しく教えてくれないか?」『それでいいなら、まず────』 そこからは詳しくレベルアップの状況、進化の選択肢に最初は生き返らせる項目がなかったこと。 世界の声にお願いしたら削除されていたと言われたこと。そして、髪の毛を持っていたことにより生き返らせることが出来たということ。 全て詳しく話した。 そして、レベルが1になりミリアもレベルはそのままだからスキルポイントはあったが、スキルが全部解除になっているということ。 頷きながら、たまに目を見張ったり顔を顰めたりしていたが、話が終わると深く息を吐いた。「かなり伝承とは違かったみたいだな。
アーノルド家の晩餐会を終えたあとは泊まらせてもらったんだ。昨日の一件で妙にミリアと親密になった。それが何よりも嬉しい。 今日はギルドカードの更新に冒険者ギルドに行こうと思う。 冒険者ギルドに行くと声をかけられた。「あれ!? ミリアさん!? なんで!?」 近づいてきたのはアーサーさんだった。 ローブを着ているため身体でミリアを隠す。『アーサーさん、まず落ち着いて』 そう言って身体で制すると質問攻めにあった。 やれ、なぜ生き返ったか? あれは身代わりか? 骨も嘘をついていたのか? みんな適当な野次馬精神で聞いている。俺が生き返らせたと言ったら信じてくれるのか? おそらく半分は本気だが、半分は嘘だと思って聞くだろう。 そうしたら、もう話す意味は無いんだ。伝承みたいに、こういう事があったって後世に残せたら、それはいいかもしれないけど。「すみませーん! 私、ナイルのおかげで、生き返りましたー! お騒がせしてごめんなさーい! 詳しい話はちょっと奇跡のような事なのであまり言いふらさない方がいいかと思ってまーす! もし聞きたい方は個別に話します! できればそうっとしておいて欲しいでーす!」 ミリアはそう周りに言って落ち着かせた。 すると不満気な表情を浮かべながらも、野次馬はバラけて行った。 ただ、アーサーさんは目をしかめながらこちらを見ている。『アーサーさん、これはテイマー特有かもしれないですが。モンスターがレベル100になったとき、マスターが死んでいた場合生き返らせることが出来るようです。俺の場合もたまたまかもしれませんが、ミリアを生き返らせることができました』「じゃあ、本当にミリアさんは生き返ったと言うんだね?」『そうです。信じるかどうかはお任せします』「そうなんだね。にわかには信じ難いが、ふむ。ナイルさんとミリアさんが嘘をつくメリットもないしな。僕は信じるよ」 ナイルに向かってそういうと少し体をずらしてミリアの前で直立に立ったかと思ったら頭を下げていた。