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第604話

作者: 歓乃
漢方医の診察方法として四診――望・聞・問・切というものがある。紗枝は望診だけを用い、康平の過去の経緯を尋ねることもなく、ただ康平の様子をじっと観察している。

少しずつ自分のところへ物を持ってきてもらったり、何かを渡してもらったりした。康平はそのたびに柑奈や凛へ視線を向け、許可を得てから動き、もし探している物が見つからなくても、焦ってその場をぐるぐる回ったりはしない。ただ少し困ったように立ち尽くし、辺りを見回す。

この子は、本当はとても賢い。

ただ、霧の中にいるように、進む方向を見失っているだけ。

康平に必要なのは、道を示してくれる人と、教えてくれる人。

昨夜、康平が薬草のドキュメンタリーを熱心に見ていたと凛が話すと、紗枝は目を光らせた。そして策を呼び寄せ、耳元で何かを伝える。

策は康平を、鍼灸院の調剤場へ連れていった。「ここでは、何をしていてもいいよ」

何もせず、ただ薬を量り、包んでいく人たちの作業を見つめていた康平。それも、かなり長い間だったが、とても面白いものを見ているようだった。

当初、策は話しかけずに見守っていたが、しばらくして彼自身も薬を調合し始める。薬草を秤
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