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第105話

Author: タマタツ
景の瞳が大きく揺れた。

「止めてくれ!」

運転手が急ブレーキを踏む。

景はすぐにドアを開けて車を降りたが、その車はすでに遠ざかっていた。

あれは祐一郎の専用車だ。

絃葉はもう帰ってしまったのか。

まさか......何かあったのか?

表情を曇らせたまま、彼は足早に庭へと向かった。

リビングでは、静代が聞き慣れた歌を口ずさみながら花に水をやっていた。

「母さん、絃葉が来ていたのか?」

景は単刀直入に尋ねる。

「ええ。少し座って、すぐ帰ってしまったわ」

静代はじょうろを置き、優しい眼差しで息子を見る。

「お昼も食べていきなさいって引き止めたんだけど、いいって断られたの」

景の表情がわずかに強張る。

彼が口を開く前に、静代はため息をつき、諭すように言った。

「景の気持ちは分かっているわ。でも、あの子は......まだ心の整理がついていないみたいね」

その言葉に、景の胸にほろ苦さが静かに広がった。

あれほどの出来事が海城であったというのに、彼女はまだ凪杜の本当の姿を見抜けていないのだろうか。

それとも......

感情を押し殺し、淡々と答える。

「分かっ
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