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第2話

Penulis: こころの栄養ドリンク
こうやって改めて数えてみると未読のメッセージがなんと10件以上もあった。しかもまだ続いていた。

【まだおきてる?】

【もう遅いから、はやく休んでね。おやすみ】

数分後、ハートのスタンプに続いて、どきりとするような腹筋の写真が送られてきた。

写真の中の男は、部屋着のズボンをはいて、ベッドに無造作に寝そべっている。その長い脚は、なんだか持て余しているみたいだ。

自然の光のなかで、肌は健康的な小麦色に見える。

腕には血管がくっきりと浮き出ていて、その長い指は、いやでも目がいってしまう場所に置かれていた。

これって、完全に誘ってるじゃん。

そう思いながらも、私は黙々と写真を保存した。

そして顔を赤らめながら思った。意外といい体、してるじゃない。

出かける用意をしていたら、下の階で呼び鈴が鳴った。

そして、ドアを開けた使用人が感嘆の声をあげるのが聞こえてきた。

「美咲様、はやく下りてきてください。すっごく大きなバラの花束が届いてます」

バラの花束ねぇ……

ベタすぎじゃない?

そう思いながらも、私はゆっくりと階段を下りていった。

そして面倒くさそうに花束に近づいて、上に乗っていたカードをちらっと見た。

すると、バラの上にきれいな宝石箱が置かれていることに気がついた。

開けてみると、なんと私のブレスレットだった。

これは、父が生きていたときにくれた、最後のプレゼントなのだ。

父が亡くなったあと、会社の資金が足りなくなって、私は持っていた值打ちのありそうなものを全部オークションに出したんだ。

このブレスレットも、そのなかのひとつだった。

たしか、あのときは海外の方が6000万円近い値段で落札したはず。

拓也の友達が、まさかあの人を捜し出して、私のために買い戻してくれたのかな。

私は鼻をすすって、彼とのチャット画面を開いた。

【ブレスレット、受け取ったよ。買い戻してくれて本当にありがとう。よかったら、お金を振り込みたいんだけど、口座番号を教えてくれるかな?】

一括でこんな大金は払えないけど、十二回の分割ならなんとかなるはずだ。

【お金なんていらない。俺がほしいのは、君だけだよ】

……

断られるだろうなとは思ってたけど、まさかこんなにストレートに言われるなんて。

こうなるとなんて返信しようかと、私はチャット画面の上で指を止めて考えこんだ。

そのとき、電話がかかってきた。

電話は拓也からのもので、今日、友達の誕生日パーティーに付き合うのを忘れないで欲しい、という念押しだった。

「あんまり露出が多い服はだめだからな。胸はさらしでしっかりつぶしてこいよ。そのほうが小さく見えて、いい感じだからさ」

私はとりあえずはいはいっと、適当にうなずいておいた。

でも、電話を切るとすぐにクローゼットへ向かい、胸元が大きく開いたイブニングドレスを選び出した。

そして会場に着くと、拓也は何人かの友人と楽しそうに談笑していた。

でも私のドレス姿を見るなり、彼の顔つきは一瞬で変わった。

それから拓也はあわてて私の腕を引いて、部屋の隅に連れていった。

「なんだよこの格好!なんでこんな服で来たんだ!」

私は拓也を無視して、彼の肩越しに、少し離れた場所へ目をやった。

好奇心や下心が入り混じったたくさんの視線のなか、私はふと、吸い込まれそうなほど深くて暗い瞳と、目が合ってしまった。

井上蓮(いのうえ れん)が、たったひとりで隅の席に座っていた。騒がしい音楽と人ごみの向こうから、まっすぐに私を見つめていたのだ。

なぜだろう。私はその瞬間金縛りにあったみたいに、身動きひとつできなくなった。

先に視線をそらしたのは、蓮のほうだった。

彼はグラスのお酒を一気に飲み干すと、一瞬、笑ったように見えた。でもすぐにまた、いつもの淡々とした表情に戻っていた。

どき、どき、どき。

そんな彼に私の胸はとつぜん高鳴り始めた。

それと同時に、あるとんでもない考えが、ふと頭をよぎった。

あの人って、もしかして彼なんじゃ……

でも、その可能性をすぐに否定した。

私が知るかぎり、蓮はずっとクールで冷めた人だったから。

何に対しても、まるで興味がなさそうな感じで。

私が挨拶しても、いつも軽くうなずくだけ。

本当に、びっくりするくらい口数が少ない人だ。

私のことを好きだなんて、ありえない。むしろ、嫌われているとさえ思っていたくらいだ。

「美咲、だまりこくってどうしたんだよ?なんとか言えって!」拓也が不満そうに私の目の前で手を振った。

私は眉をひそめて、拓也の手を振りほどいた。「このドレス、すごく私に似合ってると思わない?」

そう言いながら、私はわざとぐっと胸を張って見せた。

とたん、拓也は気分が悪くなったような顔になった。

私がさらに一歩近づくと、彼はさっと口もとを押さえて、トイレに駆け込んでしまった。

拓也は、胸の大きな女性を見るとめまいを起こす、という変な体質なのだ。

これほど変わった体質はないだろう。

でも、もっと変わってるのは、胸の大きい子が受け付けないくせに、以前はあんなにしつこく私を口説いてきたことだ。

どうして私が、拓也のその体質を知っているかというと……

それは、少し前に彼とホテルに行ったときの出来事がきっかけだった。

あのころの私は、拓也のことを、本気で受け入れようとしていた。

そしたら彼は、なんと肝心なその場面で、いきなり気を失って倒れてしまったのだ。
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