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第142話

Auteur: 墨香
紗寧は蒼士の腕の中へもたれ、顔を上げて彼を見つめた。

瞳はきらきらと潤み、水をたたえているようだった。

そのうえ声は綿菓子のように甘く柔らかで、一言ごとに語尾を長く伸ばし、まるで甘えているかのようだった。

「飲みたくなったので......飲みました......」

蒼士は深く眉をひそめた。

テーブルに置かれた、まだ半分以上も残っている酒の瓶へ目を落とす。

――アルコール度数60度。

蒼士の表情は、さらに険しくなった。

「正気か?こんな強い酒を、よくこれだけ飲めたな」

きつく言われた紗寧は、怯えたように首をすくめた。

たちまち目が赤くなり、今にもこぼれ落ちそうな涙が潤んだ瞳の中で揺れている。

「そんなにきつく言わないで......」

蒼士は深く息を吸い、込み上げる怒りを押し込めた。

そして腰をかがめ、紗寧を横抱きにする。

紗寧は反射的に彼の首へ腕を回し、真っ赤に火照った顔を首元へ埋めた。

熱い吐息が鎖骨を撫でるたび、かすかな痺れが走る。

蒼士の体がわずかにこわばり、足も一瞬止まった。

腕の中の紗寧へ目を落とすと、すぐに大股で店の外へ向かった。

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