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第283話

Author: 手足あせだく
コール音は数回と鳴らず、すぐに繋がった。

スピーカーから、低く焦燥感の滲む声が飛び込んでくる。

「実花、実花なのか……っ!」

ようやく自分から連絡をくれたことに、歓喜を隠しきれない様子だった。

「どうしたんだ、僕に会いたくなったのか?」

そんな戯言を実花は容赦なく切り捨て、本題を切り出した。

「前言っていた、私の本当の両親の話よ。知っていることを教えて」

電話の向こうで、和真が困ったように息を吐き出す気配がした。

「実花、今どこにいるんだ。迎えに行くよ。まずは顔を見て話そう」

一向に核心を話そうとしない元夫の态度に、実花は探るように踏み込んだ。

「私には……本当の兄がいるの?」

――その問いを投げかけた瞬間。通話の向こう側が、ぴたりと沈黙に包まれた。

和真は、否定しなかったのだ。

その重すぎる沈黙に、実花と湊の心臓は再び凍りつくように跳ね上がった。

「和真、私、もう全部知っているのよ。これ以上隠すつもり?」

実花はさらに畳みかけたが、和真はその揺さぶりには乗ってこなかった。

「実花、僕を試そうとしないでくれ。本当のことが知りたいなら、僕に会いに来てほしい
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