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第90話

Author: 手足あせだく
彼女は一つ深呼吸をすると、固定カメラが一番よく撮れるアングルへ移動した。そして、わざとらしく疲労困憊の表情を作り、あえてカメラに向かって独り言のように呟き始めた。

「……本当は、この作品を通して皆さんに、アートの新しい形や多様な角度をお見せしたかったんです。でも、現実は厳しいですね。チームのみんなは伝統的な表現には慣れているけれど、こうした現代アートの概念を理解するには……少し、時間がかかるみたいで」

彼女はそこで言葉を区切り、ひどく落ち込んだように深くため息を吐いた。「でも、私はリーダーですから。私が背負ってでも、この作品だけは絶対に完成させてみせます……」表面上は悲劇のリーダーを演じつつも、千佳の心に朝のような焦りはすでになかった。

実は先ほど、彼女は隣のチームの沙耶からこっそりと「完成品」のホログラム投影装置を渡されていたのだ。「あなたの才能を買ってるのよ。こんなところで終わってほしくないから」

沙耶はそう言って、最新式の機材を押し付けてきた。もしこの寄せ集めチームが最終的にまともな作品を提出できなかったとしても、あの装置を使って自分一人の作品としてプレゼンできれば、審査
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