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第255話

Author: 青ノ序
綾は自ら後部座席に座り、ずっと黙り込んでいた。

幸い道中はそう長くはなく、すぐ目的地に着いた。

なぜカジノ内で食事をするのか、綾は少し聞きたかった。

そんな疑問が浮かんだ途端、ちょうどルカが口を開いた。

「ここはカジノだが、V市のどのレストランを見渡しても、うちほど腕のいい料理人はいない」

綾は他で食べたことはないが、確かにここの料理は格別だった。

ビアンカはルカを恐れているらしく、到着時に挨拶をしてからはずっと健吾の背後に隠れ、ひと言も発さず、ルカの方を見ることさえしなかった。

とはいえルカは体が大きく、豊かな髭を蓄えていて怖そうなので、ビアンカが怖がるのも無理はない。

「ところで綾さん、旦那さんは最近どうだ?」

「げほっ!」

ルカの突然の質問に、綾は料理を喉に詰まらせた。

彼女は無理やり平然を装い、「元気です」と答えた。

守秘義務があるため、まだ離婚のことは内緒にしておくしかなかった。

その返事を聞いたルカは、少し期待外れそうな表情を浮かべた。

「チェッコの夢は、おあずけってことか」

「……」

綾は気まずくなり、うつむいて聞き取れないフリをした。

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