Mag-log in"ガタンゴトン、ガタンゴトン"と今日も今日とて電車にその身を揺られながら学校へ向かう。この時間は通勤通学による満員電車となっているため、身動きがなかなかとれない。そのため、いつもの様に、雛形 璃亜は痴漢にあっているのであった。"気持ちが悪い"。今日はいつにも増してねちっこいやつであった。
「あと学校まで二駅...。早く着け。早く...。」
そう思い我慢している時だった。急に触っていた感触が無くなり何事かと思い顔を上げると、痴漢の手を掴んで捻り上げている人物がいた。
「おい、おっさん。痴漢してやがったな?次の駅で一緒に降りてもらうからな。」
「な!なんだお前!わ、私が痴漢をしていたという証拠はどこにある?!」
「...この子の青ざめた顔見れば一発だし、オレ、最初から見てたんだけど?」
そう言うと駅にたどり着いたようで、痴漢と、痴漢を取り押さえた学生、そして璃亜の3人は学校の一駅前で降りることになった。そして、駅員に事情を話し、痴漢を引き渡すと簡単な調書を取られて解放される。助けてくれた学生は璃亜の調書が終わるまでずっと一緒にいてくれた。
「あ、あの。助けていただきありがとうございました。」
「気にしないで。男が痴漢されるなんて言いにくいしね。そう言えば雛形が調書受けてる間に学校に連絡しておいたからゆっくり学校へ行こう。」
「ありが...、え?僕の名前...」
「あれ?同じクラスの雛形だろ?雛形 璃亜。オレ、蔵之 楼だよ。...まぁ、接点ないし分からないのも無理はないかもだけど...自分で言うのもなんだけど、オレ、目立つ方なんだけどな?」
璃亜は驚いた。楼の事は知ってはいたが、まさかカースト上位の楼が自分の事を知っているなんて。そして、その楼に気がつかなかった自分が恥ずかしい。どうも、自分は人の顔を覚えるのが苦手だ。特の"陽キャ"と言われる類の人間に対して苦手意識があるため顔を見て話すことが出来ない。そのためキラキラした人間の顔は覚えていない。
「ご、ごめん...キラキラした人種は苦手で...。」
「フハッ!なんだよそれ。オレは雛形のことずっと見てたから分かったけどな。」
「?え、なんか言った?」
楼はボソッと言ったため璃亜は聞き取れなかった。「それにしても!」と楼は話しを変えるかの様に話しかけてきた。
「今回の中間、雛形1位だったよな。オレもめっちゃ自信あったのに抜かされてショックだったんだけどー?」
「く、蔵之君だって2位だったじゃないか。十分凄いよ。...僕は勉強しか取り柄がないから...。」
「なーに言ってんの。こんな可愛い顔しといて。」
「ふぁっ?!」
まさかイケメンとして人気を馳せている楼から"可愛い"と言う言葉が出てきたことに驚いた。
「なんでこんなに可愛い顔してるにこんな瓶底メガネかけてんの?コンタクトにしないの?」
「そ、それは...」
「それは?」
「...笑わないでよ?」
璃亜はそう言うと楼に耳打ちした。すると、楼は"ブハッ"と吹き出した。
「笑わないでって言った!」
「ごめんごめん!でも...フフ。理由が可愛すぎて。」
「だって怖いんだもん!目に異物入れるんだよ?!」
不思議と縁遠いと思っていた楼との会話は楽しく、楼自身も気さくで話しやすい人物であった。こんなに話しやすい人だったら食わず嫌いのようなまねをしないでおけばよかったな、と思った。
「おっと。もう大丈夫そうか?」
「え?」
「落ち着くの待ってたんだよ。うん。もう学校に向かっても大丈夫そうだな。」
...これだからモテる男は違う。こんな気遣いまでできるなんて。璃亜はぐぬぬとしていると、楼が璃亜の手を取り、学校へと向かって走り出したのだった。
「これからは、オレが守ってやるよ!」
「え?!何?!聞こえない!!」
「ハハッ。なんでもなーい!」
タクシーが着いた先は、大きな一軒家であった。こんなところに楼は住んでいたのか。...一体父親になる友成は何者なのであろうか。璃亜が呆けていると楼が「そんなところで突っ立てないでおいで。」と呼んできた。「今度から璃亜も此処に住むんだからね?」「...友成さんて何者なの?こんな豪邸...。」「一応人気作家、かな?璃亜も学校で読んでたよ?"倉人 実里"。」「え、えぇ?!僕大ファンなんだけど!!今日も本屋で新作買ったんだよ?!"黒い海へ"!!」璃亜はテンションが爆上げになり、大興奮していた。そんな大作家さんがこれから自分の父親になるなんて...。あれ?でもどうやって母である瑠々花と知り合ったのか?不思議に思っていると、楼から家の中に入るように促され、玄関をくぐった。「ね、ねぇ。楼君はうちの母と友成さんがどこで知り合ったか知ってるの?」「ん?たしか...、カフェで原稿をやっていた時に接客してくれた瑠々花さんに一目惚れしたとかなんとか...。」たしかに、瑠々花の化粧が急に気合が入ったものになったのには気がついていた。そういう事だったってわけか。そうしていると、楼からリビングのソファーに座るように誘われた。そのままソファーに座ると、楼は満足し、キッチンへと姿を消し、お湯を沸かし始めた。璃亜はなんだか急に緊張してきてカチンコチンになってしまった。そんな様子を見て、楼はクスリと笑うと璃亜の隣に腰を下ろした。「...もしかして緊張してる?」「!ろ、楼君近い...!」そしてどんどんと近寄って来ると、体勢は楼が璃亜を押し倒す形になっていた。楼はネクタイを緩めると、顔を璃亜へと近づけた。キスをする寸前でやかんのピーっというお湯が沸いた音がした。楼は残念そうに起き上がると再びキッチンへと向かった。璃亜は頭がパンクしそうであった。どうして、楼が自分なんかにキスをしようとした?!もしかして揶揄われてる?!そんな風に考えていると、楼が紅茶をいれて戻ってきた。「温かい紅茶でも飲んで、ゆっくりしよう?あ、お風呂沸かしてくる。入るでしょ?」「う、うん。そうしようかな。」璃亜は楼の淹れた紅茶に口をつける。フルーティーな香りが鼻孔ををくすぐる。風味もとても好みだ。「楼君、この紅茶凄く美味しいよ。」「ホント?良かった。オレのお気に入りなんだ。こう見えて紅茶にはうるさいからね(笑
そして、いよいよやって来た食事会。タクシーに乗ってやって来たのは、ここら辺では有名な高級レストラン。璃亜は「金持ちだとは思ってたけれど、ここまでとは...。僕、場違いじゃない?」と思うのだった。レストランの中に入ると、一人の男性が母に近寄ってきた。「瑠々花、待っていたよ。...璃亜君、だね?初めまして。私は君のお母さんとお付き合いしている"蔵之 友成"です。今回はお母さんとの再婚を許してもらいたくこの場を設けさせてもらったよ。」「...初めまして。雛形 璃亜です。この服ありがとうございました。」「いやいや、気にしないで。...うん、よく似合っているよ。」...ん?今"蔵之"って言ったか?いやいや。そんなまさか、ね。「席で私の息子も待っているよ。きっと璃亜君、ビックリするだろうなぁ。」「え?それって...」「雛形!」「え、えぇ?!蔵之君?!」"そんなまさか"はドンピシャで当たっていた。瑠々花の再婚相手は楼の父親だったらしい。まさか、楼と義理の兄弟になる事になるとは...。もしかして、ここ最近の楼の行動の理由は...。「あ、別に雛形と兄弟になるから仲良くし始めたわけじゃないからね?もともと仲良くしたかったんだけどタイミングが合わなくって...。そんなときに父さんから再婚話を聞いて。」「そ、そうだったんだ。」「もう!二人とも固いわよ?兄弟になるんだからお互い名前で呼ばないと!」瑠々花からの無茶ぶりに璃亜と楼は顔を見合わせると、二人は顔を真っ赤にして固まった。「...まるでお前たちの見合いのようじゃないか。」「ホントね。見てるこっちが恥ずかしくなってくるわ。」「さぁ、お食事にしますよ。」と瑠々花から言われ全員が席に着く。そして楽しいお食事会...となったのは二人の親だけで、璃亜と楼は少し緊張していた。ほどなくして、食事が終わると、瑠々花と友成は「高級ホテルのスウィートルームに泊まるの♡」と言って、璃亜と楼の二人を置いて去って行った。「...なんか嵐みたいな時間だったな。」「だね。僕らこれからどうすればいいんだろう?」「...もし、雛形が嫌じゃなければオレんち来る?」「え?いいの?」璃亜にとっては思ってもみない申し出で、このまま一人寂しく帰るよりはいいかな?と思い、楼からの申し出を快諾した。友達の家...に行くなんていつぶりであろう
「___!愛している!たとえ神が許さないとしても!!」「私も...!私も愛しております!この身を全て捧げてもいいほどに...!!」あれ?此処はどこだ?川?それにこの二人は一体...?でもこの光景何処かで見た覚えがある...。こんなに胸が締め付けられるなんて。これは夢?...それとも...。"ピピピ、ピピピ"というアラームの音で璃亜は目を覚ました。顔は涙に濡れて目の前が見えない。夢の内容は覚えていない。しかし、こんなにも苦しい思いをするのは何故だろう。璃亜は涙を乱暴に拭うとベッドから降り自室を後にする。そして、洗面台で顔を洗い鏡を見ると見事に目が腫れていた。あぁ、今日は母さんの再婚相手と会う日なのに...。と思ったが、まぁ、メガネをすれば問題ないだろう。そう思いながら歯磨きをする。そして、リビングへと行くと母が朝ご飯の支度をしていた。「あら、おはよう。璃亜ちゃん...、てあら!どうしたの?!そんな目を腫らして!」「おはよう、母さん。ちょっと夢見が悪かっただけ。心配しないで?」「ご飯食べたら少し冷やしておきなさいね?」そんなこんなで朝ご飯を食べると、璃亜は母から受け取った保冷剤で瞼を冷やす。「璃亜ちゃん、今日の顔合わせだけど、向こうの息子さんが部活あるからお夕飯を食べながらと言う事になったけどいいかしら?」「分かった。そう言えば名前聞いてなかったけど何さん?」「ふふっ。それは会ってからのお楽しみ♡」なんなんだ一体。まぁ、それならそれでいっか。そういうことなら、今は母の言う通りにしておこう。瞼のヒリヒリ感が抜けた頃、璃亜は自室へと戻り先週一週間分の復習を始めた。その時、スマホの着信音が鳴った。確認すると、楼からのLINEで、開いてみると、「おはよう!これから部活!雛形は今日何する予定?」とのメッセージが。「おはよう。今日は夜まで特に予定ないから勉強して過ごす予定。気が向いたら本屋に行くかも。」「流石雛形(笑)休みの日も勉強か。」「いつものルーティーンだからやらないと気が済まないんだ。」「気が向いたら本屋にって言ってたけどどんな本読むの?」「今は歴史ものにハマってる。蔵之君、本読んだりするの?「オレはマンガばっかり(笑)」そんなたわいもない会話だけれどとても楽しく感じた。"もっと蔵之君の事が知りたい。"そう思うようになってきていた。
ご馳走を母と二人でたいらげ、風呂に入って自室へとやって来ると、璃亜はベッドにダイブした。朝、痴漢にあったと思ったら、校内カースト上位の楼に助けられ、何故かひどく懐かれた。そして、学校から帰って来ると、母が再婚すると言うビッグニュース。なんだかジェットコースターの様な一日であった。...そう言えばLINEよこすように言われてたな。璃亜はベッドから起き上がると、机の上に置いたカバンからペンケースを取り出し、中からIDの書かれた紙を手にすると再びベッドへと戻る。「えーと...?ID検索っと。...あった。」検索した際出てきたのは、可愛らしいポメラニアンのアイコンで"ROU"との表示が。璃亜は思わず、「可愛いとかギャップ(笑)」と吹き出してしまった。そのまま友達追加しトーク画面を開くと、「雛形です。今日はありがとう。」と送信した。すると秒で既読がつき、そのまま通話がかかってきた。「っも、もしもし?」「もしもし、雛形?LINEくれてありがとう。すごい嬉しかった。今は何してたの?」「えっと...もう少ししたら勉強しようかと思ってたところ。」「ハハッ。雛形は真面目だな。流石学年一位。オレも見習わないと。」緊張はしていたが、楼の柔和な態度に安心をしきっていた。「蔵之君は明日も部活?」「そ。夏の大会に向けてね。こう見えて全国常連なんだよ?」「それは知ってるよ。学校で表彰されてたじゃん?でも凄いなぁ。文武両道って蔵之君の事言うんだなぁ。」「そうかもね(笑)」否定をしない楼に璃亜は思わず吹き出した。そんな璃亜に楼は、「あれ?オレ何か変な事言った?」と笑いながら言った。「蔵之君、イケメンで人気者なのに面白い事も言うんだね(笑)」「イケメンかなぁ?雛形にそう言われるのは嬉しいかも。」「...蔵之君って人たらしって言われない?」思わず、思っていることが口からポロリと出た。取り繕うとしたが、時すでに遅し。バッチリ楼の耳に届いてしまった。「人たらしだなんて酷いなぁ(笑)オレこう見えても硬派だよ?」「ホントかなぁ?キラキラの陽キャだからなぁ...。どうして陰キャの僕に構うのか分からないし。」「陽キャとか陰キャとか関係ないよ?オレは雛形だから仲良くしたいだけ。」...よくもまぁ、恥ずかしげもなくこんなセリフを言えたものである。モテる人間はやっぱり違うなぁ。そん
あれから何とか午後の授業をこなし、璃亜は図書委員の仕事に向かおうとした。その時、楼が声をかけて来たのだった。「雛形、これから図書委員?」「あ、う、うん。蔵之君は部活?確か弓道部だったっけ?」「!知っててくれたんだ。...嬉しい。」「そ、それで何かあった?」そう問いかける璃亜に楼は耳打ちをした。「電車、まだ怖いでしょ?オレ一緒に乗るから。帰り玄関で待ってて。」「!」璃亜は囁かれた耳をバッと抑え顔をリンゴの様に真っ赤にした。そんな璃亜の様子を微笑ましそうに楼は見やると、「また後でね。」と声をかけ去って行った。「ぼ、僕どうしちゃったのかな...?」自分の気持ちに整理がつかないでいると、同じ当番の生徒が呼びに来た。そして放課後の業務を終わらせると時刻は18時。蔵之君、部活終わったかな...?と考えながら玄関へと行くと、そこにはスマホを弄っている楼の姿があった。なので、急いで靴を履き替えると、楼の元へと行き「蔵之君!」と声をかけた。すると、楼はスマホから顔を上げ、嬉しそうな顔を璃亜へと向けた。「図書委員お疲れ様。忙しかった?「蔵之君も部活お疲れ様。今日なんて暇だよ。中間終わったばっかりで試験勉強する人もそんなにいなかったし。」そんな会話をしながら駅へと向かう。駅には仕事帰りのサラリーマンがわんさかと溢れかえっていた璃亜は思わず立ちすくんでいると、楼が手を握りながら「大丈夫。」と言ってくれたので、その言葉を信じるように電車へと乗った。「それにしても、明日休みでよかったなね。電車乗る必要がないし。あ、もしあれなら月曜からも付き添うけど...」「い、いやいや!流石に悪いって!それに毎日されてるわけじゃないし!」「でも...」断っていると、楼の頭の上に犬耳が見え、項垂れているように見えた。...なんだか罪悪感が芽生えてくる...。「だ、だって蔵之君朝練とかもあるでしょ?僕に無理に付き合うことないって!」「...じゃあせめて、朝と夜。LINE頂戴?それで元気になるから。...元気になるとはどういう事だろう?と思っていると璃亜の家の最寄り駅に着いた。「それじゃあ、ぼくはここで。...送ってくれてありがと。」「!どういたしまして!あ、でもLINEは頂戴ね!」...まるで重い彼女の様だな...。そう思いながらも、楼と仲良くなれたのが嬉しくてルンル
その日の学校は散々であった。遅刻の理由が痴漢によるものだという事がクラス中に知れ渡ってしまったからだ。「雛形ぁ、お前痴漢にあったとか嘘だろ?楼まで巻き込んで何考えてんだぁ?」「ホントだとしても、雛形君に痴漢するとか男も見る目なぁい(笑)」カースト上位にいるクラスメイトはどうもこう弱いものに絡むのが好きだな。こういうのは無視するに限る。しばらく好き放題言わせていると楼が璃亜の元へとやって来た。「お前らさぁ。オレ、ちゃんとこの目で見てたんだけど?なんで雛形が嘘言ってるとか言うわけ?」「く、蔵之君...」「いや、でもさ。佐伯ちゃんみたいに可愛い子だったら、痴漢にあったとかわかるよ?でも、雛形じゃあ、ねぇ?」「...雛形は十分可愛いけど?ほら。」「ちょっ!!」楼はそう言うと璃亜のメガネを奪い取った。そこに現れたのは、お人形さんの様に愛らしい顔。その顔が晒されると、教室中はシーンと静まり返った。可愛いと言われた佐伯ですら、口をポカーンと開けて只々、璃亜を見つめていた。お人形さんの様とは言っても、完全な女顔というわけではなく、少しばかり男らしさが目に見える。「な?可愛いだろ?」「ちょっと!蔵之君!メガネ返して!!」「ヤダよー(笑)せっかく可愛いんだもん。見てもらいなって。」璃亜は顔を隠すものが無くなってしまい、急いで両手で顔を覆う。恥ずかしさのあまり、顔に熱が集まり羞恥心に襲われる。そして、女子達が璃亜の元へとわらわらと集まってきた。「えぇ!雛形君、可愛い系のイケメンじゃん!なんでメガネなんかするの?コンタクトにしよーよ!」「そ、それは...」「コンタクト入れるのが怖いんだよな?」「「可愛いー!!」」璃亜は内心「勘弁して!」と叫びながら、事が収まるのを待つ。すると、急に楼が璃亜に抱き着いてきた。「これ、オレのだから。取ったらダ・メ♡」「くくく、蔵之君?!」「ほら、昼休み終わるよ?皆席戻ったら?」楼がそう言うと女子達がちりじりになって去っていった。最初に璃亜にいちゃもんをつけていた男子、森野は顔を赤くしながら璃亜に手を伸ばそうとしたが、楼によって阻まれる。「なんだよ?雛形に触ろうとして。...絶対触らせないけどな?」「な、なんだよ。別にそんなんじゃねーし!」「そ?ならいいんだけど。」森野は楼に捕まれた手を振り解くと駆け足で自分
こうして会うのはもう何度目であろうか。最初は堅苦しかったジュリアスも徐々に態度が軟化してきていた。「ロメオ様!この間貸してくださった小説、とても面白かったです!最後にまさかのどんでん返しが...ロメオ様?」「いや。ふふ。最初に会った時は警戒心むき出しの猫の様だったのに今ではすっかり懐いてくれて...。」「私は猫なんかではありません。」思わずジュリアスはプイっとそっぽを向いた。しかし、ロメオはジュリアスの手を握り視線を合わせてジュリアスの瞳を独占した。「...今度、アレクスとエルダリシアが戦争すると聞いた。友好的な関係を築けていたと思っていたんだがな...。」「...もう、こうして
これは昔々の悲しいおとぎ話である。友好な関係を築いていたアレクスとエルダリシアは、今日も今日とて平和な二国は王族同士の交流も盛んであった。ある日、アレクスとエルダリシアは友好パーティーを開催していた。会場はエルダリシア城。アレクスの第一王子であるロメオは大人達の仮面をかぶりあったパーティーに嫌気がさし、中庭へとやって来た。するとそこには先約している見慣れない人物が噴水の縁に腰を掛けていた。「お前は誰だ?そこで何をしている?」そう声をかけると、下を向いていた顔がロメオの方へと向いた。その顔は初めて見る顔で、まるで人形の様な美しい顔をしていてロメオはごくりと喉を鳴らした。「あぁ。アレクスの