LOGIN話を変えよう。南野はふと思いついたことを口にしてみた。
「そういえば、キーシャさんは魔法学を勉強してるんですよね?」 「はい、教会学校で魔法について学んでいます」 「じゃあ、俺にも魔法、教えてくれませんか?」 少しでも魔法が使えれば足手まといを脱却できるとの考えだった。果たして異世界人の自分に魔法が使えるのかどうかはわからないが、ダメ元だ。 キーシャは難しそうにうなると、 「そうですね……魔法を使うには、まずは適性が必要になるんです。からだじゅうの魔力を形にするちからですね。信仰心はあんまり関係ないですけど、教会で加護を受けなければいけません。あとは精神修養に、魔力を具現化する構成力の訓練です。これは一週間でできるひともいれば数年かかるひともいます。だから、今すぐに使うことはできません」 「そうですか……」 考えが甘かったらしい。一朝一夕で魔法が使えるなんて虫のいい話はないのだ。魔法を使うにも努力や修練は必要らしい。 少し落ち込んだ様子の南野をフォローするように、キーシャが付け加える。 「あっ、でも! もしかしたら異世界のひとにしかない特別なちからとかあるのかも!」 慰めるようにかけられた言葉には、ひとつ思い当たることがあった。 『サバラの泉』で感じた、アイテムのちからを最大限以上に引き出すちから。 あれが勘違いでなければ、自分にだってできることはあるのかもしれない。 しかしあくまでも勘違いの可能性が高いので、キーシャには黙っておいた。 そのあとふたりはなんてことない世間話などをしながら休み、メルランスを待った。 彼女が帰ってきたのは日が沈んでからだった。帰ってくるなり水を飲みながら、分析の報告をする。つくづくタフな女の子だ。 「あの主人が言った通りの戦力っぽいね。くっさそうな野郎どもが30人くらい。みんな武装してるけど、魔力の気配はない。この辺の地形なら奇襲は簡単だよ。あの掘立小屋もボロ屋だし、山賊どもが寝静まって、見張りのやつが数人出てきたらそっから片付けよう」 疲れを感じさせない調子でてきぱきと言うメルランスに、休んでいたふたりはうなずき返した。 それから携帯食で夕食を済ませ、言葉少なに体力を温存していると、やがて夜がやってきた。三日月が昇り、辺りは暗闇のしじまに沈む。 「……出てきた」 掘立小屋から出てきて焚火を起こし、酒を飲みながら見張りをする三人の男を前に、メルランスは野性の肉食動物のように舌なめずりをした。 「行くよ、準備はいい?」 「はい、ばっちりです!」 「俺はこころの準備だけ」 南野たちは掛け声に応じて、メルランスを先頭に茂みから出ていき、木々を伝って掘立小屋を迂回する。影に乗じて忍び寄れば、酒に酔っているらしい男たちは気付きもしない。 「じゃあ……作戦開始!」 一声吠えるとメルランスは飛び出していった。 ひとりの男の背後から首筋を狙って飛び蹴りを放つ。男は酒の入ったカップを落として卒倒した。 「なんだ!?」 慌てふためく他の二人が仲間を呼びに行く前に、メルランスがもうひとりを当身で黙らせる。そうしている間に最後のひとりが剣を抜いた。 「キーシャ! 魔法!」 「えっ? えっ?」 「早く!」 メルランスにせかされたキーシャが大急ぎで印を切り、呪文を詠唱する。 「『第百七十七楽章の音色よ! 創生神ファルマントの加護のもと、怒れるサラマンドラの怒声のごとき旋律を解き放て!』」 両手を前にかざすと、その間に巨大な火球が生まれた。バスケットボールくらいある。 ……大きすぎないか……? その火球は最後の男の脇をすり抜け、掘立小屋を直撃した。地面が揺れるほどの轟音を上げながら小屋の半分ほどを爆裂四散させ、消し炭にする。 「…………」 「…………」 「…………」 あまりの威力に、メルランスと南野はおろか山賊すら冷や汗をかいて沈黙した。 「……あの、奇襲でしたよね……?」 南野が問いかけると、キーシャは泣きそうな顔でうつむいた。 「私、威力の調節が下手で……しかも狙った場所に当たることの方がが稀で……」 ……なるほど、『落ちこぼれ』の理由はこれか。得心が行ったところで状況が好転することはないが。 「おい、どうした!?」 「なんだそいつら!?」 「アジトが丸焦げだぞ!!」 眠っていた山賊たちがわらわらと起き出してくる。寝起きとはいえ状況は火を見るよりも明らかで、すぐに山賊たちは手に手に武器を持ち出してきた。その数30人弱。 「どーすんの!? 奇襲のつもりが正面突破になっちゃったじゃない!」 「ひぃぃぃぃん!! ごめんなさいごめんなさい!!」 目に涙をためながら謝るキーシャだったが、こうなってしまった以上は仕方がない。なんとかしてこの団体さんを片付けなければ。 とはいえ、南野になんとかできるわけがなく、徐々に騒ぎを聞き付けて集まってくる山賊たちを前に、『お願いですからどうにかしてください』という視線をメルランスに送ることしかできないのだった。現れた左目は、右と変わらないなんの変哲もない碧色のきれいな瞳だった。特に魔神が封印されているだとか、ものもらいだとか、そういう気配は感じられない。「なんだ、どうにもなってないじゃないですか。よかった」 ほっとする南野をしり目に、エルフの青年は、あ、だとか、う、だとか言葉にならない声を発してなにかを取り繕うとしている。「いや、これは……これは! その……そうだ! 魔力のない人間には普通に見えるかもしれないが、ここにはたしかに魔神が……!」「……なんも見えないけど?」「見えませんねー」 追いついてきたメルランスとキーシャが続けざまに言う。魔力のある彼女らが言うからには、本当になにもないらしい。「ぐ……! そうじゃなくて……! あの、違うよ? 魔力があっても同じ魔神のちからを宿していないと見えなくて……! ほら、魔神のちから同士は引かれあうから……! べ、別にそんなんじゃないから!?」 顔を真っ赤にして、ころころ言うことが変わる。そうかと思えば、はっとして右腕の包帯をほどき始めた。その下には、複雑な紋様のあざがあった。「ほら! これ! ふ、ふっふっふ! 魔神イーグニットのちからに魅了された人間にはこの呪いの紋様が刻まれて……!」「あ、これ剥がれる」「シールですねー、おしゃれさんですねー」「や、やめろぉぉぉぉぉぉ!!」 ぺりぺりと剥がれる紋様は、どうやらタトゥーシールらしかった。刺青ですらないらしい。「こ、これは……」 ごくり、唾を飲む南野。この現象に心当たりがあったからだ。 その気配を感じ取って、エルフの青年は目に見えて慌てだした。「ち、違うから! 俺は魔神イーグニットが欲するままに強者との戦いに明け暮れる修羅の道を行くもので……!」 間違いない、これは……「…………中二病だ…………」「ちゅうにびょう? なにかの病気なんですか?」 尋ねてくるキーシャに、南野はわかりやすく説明した。「俺の世界の……まあ、思春期にかかる病気といえば病気ですね。やたらダークな設定を自分につけてみたり、一匹狼を気取ってみたり、技に名前を付けたり……症状は様々ですが、要はカッコつけ病です」『……あー……』 メルランスとキーシャはそろって心底残念そうな声を上げた。「な、なんだよ!! いいだろ別に!! 実際俺が強いのはさっき見ただろ! これだからな
メルランスは早速砂まみれになっているキーシャの襟首をひっつかんで拘束した。リードを引かれる犬のような有り様だ。「そう深くにはもぐらないはずだから、体の一部が露出してるはず。よく目を凝らしてそれを見つけて……」 言いかけて、メルランスが口をつぐんだ。何事かと問いかけようとすると、し、と人差し指をくちびるに当てる。「……どこかで剣戟の音がする……」 言われて耳を澄ませてみると、たしかにどこからか、きん、きん、と金属質のもの同士がぶつかり合う音が聞こえてきた。近い。 誰かが戦っているのだ。「助けないと!」 気が付いたら、南野は音のする方へ駆け出していた。釣られてメルランス、キーシャも走り出す。「ちょっと、大蠍はどうすんの!?」「だって、だれかが戦ってるんですよ!? 助けないと! それに、うまくすれば謝礼がもらえるかもしれませんよ!」「そんな不純な動機でいいんですかー!?」 謝礼云々はどうでもいいとして、とにかく誰かが剣を振るっているのだ。近くにいる以上、加勢するのが筋だと南野は考えた。 とはいえ、南野にはなんのちからもない。結局はメルランスたちのちからをかりることになるのだが。 砂丘をひとつ越えたところで、砂塵の向こうで躍動する人影が見えた。その人影が対峙している相手は、3メートルほどの大蠍だ。「ビンゴ! 獲物まで見つかるなんてラッキーじゃん!」 ぱちん!と指を鳴らすメルランスに、砂嵐の向こうへ目をこらした南野が告げる。「戦ってるのはひとりですね!」「よーし、謝礼として『大蠍の尾』もらっちゃおう! 労せずして目的完遂!」「メルランスさん、加勢をお願いします!」「任せて!」 走りながら会話をしているうちに、砂塵に紛れてよく見えなかった人影がはっきりと見えてきた。 白い詰襟のような服を着て、赤いマントをたなびかせた男だ。整った顔をしており、耳が長い。怪我をしているのか、片目は眼帯でふさがっており、左腕にも包帯を巻いている。「……あれ、エルフですね……」 後ろの方でぜいぜい息を切らせているキーシャがつぶやいた。 エルフ。ファンタジーでよく耳にする種族だ。森に住み、強大な魔法を操り、美しい容姿をしているという。 エルフの青年は両手に一本ずつ構えた細剣で大蠍の攻撃を防いでいる。ざっ、と砂を蹴り、鋭い眼光で大蠍を睨みつけていた。
「『大蠍の尾』?」 朝食のBLTサンドを食べ終わり、指に残ったソースを舐めながらメルランスが怪訝そうな顔をした。「ええ、次の獲物です」 南野はモップを片手に、ページを開いた『レアアイテム図鑑』をカウンターの上に置く。「なになに……『3メートルを超える巨大な蠍の尾。その尾には象をも一撃で昏倒させる毒が宿っており、しばしば暗殺のための毒薬として使用される』……なるほどね」「私も知ってます、強力な魔法薬の材料としても使われます」 隣で市場で買ってきたらしいリンゴをかじりながら、キーシャが便乗する。 うーん、とうなるメルランスの顔の険しさを見て取り、南野は不思議そうな顔をした。「なにか問題でもあるんですか?」 すると、メルランスは結い上げた金の髪を掻きながら、「多分、この毒がないとレアアイテムとは認められないんだろうね……この毒、大蠍が死ぬと活性を失うんだ。ってことは、生きた大蠍を仕留めてすぐに尾を切り離さないといけないってこと」 そう言って、メルランスはエールのジョッキをぐっと傾けた。 それを聞いた南野の顔色が青ざめる。「さ、3メートルの大蠍を、ですか……?」「そ。まあ、ある程度経験を積んだ冒険者ならそんなに難しい獲物じゃないけど」「じゃあ、私が魔法でお手伝いします!」「ダメ。あんたの場合は必要な尾まで爆砕させちゃうでしょ」「ううう……!」 図星を突かれたキーシャは悔しそうにリンゴをがじがじと噛みしめている。「熟練の冒険者……だったら、メルランスさんがいれば大丈夫じゃないですか」 南野が言うと、メルランスはジョッキを干してから深いため息をついた。「……あたし、虫って苦手なの」「……へ?」 いきなり出てきた意外な言葉に、思わず間の抜けた声がこぼれてくる。 メルランスは言い訳をするようにまくし立てた。「だってなんなの!? あのうじゃうじゃした脚とか、妙につやつやした外骨格とか、なに考えてるかわかんない複眼とか! そりゃあ、ダンジョンとかで遭遇したらきちんと倒すけど、あんまり積極的に戦いたい相手じゃないの!」 メルランスにも苦手なものがあるのか……となんとなく感慨深く感じた南野。 とはいえ、相手はまだ年端もいかない女の子だ。虫くらい苦手な気持ちもわかる。今までずっと頼り切りだったが、彼女だって得手不得手くらいあるのだ。「
メイドに取り次いでもらって、南野たちは早々に以前と同じ屋敷の応接間へと通された。あるじは首を長くしていた様子で、「おお、待っていたよ。この街で一番まずいものはできたかね?」「ええ、ここに」 身を乗り出すあるじに、南野は皿に乗ったキーシャ作のカレー(?)を差し出した。「ああ、ついに、ついに……!」 感涙しそうなあるじは、スプーンを片手にカレー(?)を口にする。もごもごとかみ砕いて、そして。「…………がふbふぁgfdん」 味帝王と同じく、奇声を上げてばたりとソファの上に倒れ込んでしまった。「旦那様!? 旦那様ー!!」 メイドたちが慌てふためき、屋敷は一気に騒がしくなる。 もしかしたらとんでもないことをしでかしてしまったのかもしれない……と南野が罪悪感を覚えているうちにも、あるじは寝室へと運び込まれていった。 小一時間ほどしてから、あるじはようやく目を覚ました。目を覚ました瞬間にすごい勢いで水差しから水をがぶがぶと飲み、ふう、と一息つく。「…………すばらしくまずかった…………」「そ、それはなによりで」 まだ放心した状態のあるじがつぶやくと、南野はぎこちない笑みを浮かべた。 あるじは、うむうむと満足げにうなずきながら、「あれほどまでにまずいものがこの世にあるとは……いやはや、期待以上だった。南野君、よくやってくれたね」 『よくもやってくれたな』と言われてもよさそうな場面なのに、なぜかお礼を言われた。世の中にはいろいろなひとがいるものだ。「それでは、例の『オーロラスパイス』は……」「ああ、約束通り、あれは君たちに譲ろう。私にはもう必要のないものだ。これからは美味も不美味も味わっていこうと思う」「ありがとうございます!」 一礼する南野の元に、メイドが小瓶を持ってきた。褐色の粉が入ったスパイスポットだ。それを大事そうに抱えると、南野はもう一度だけあるじに一礼する。 屋敷をあとにした三人は、『レアアイテム図鑑』を使ってもとの酒場に戻ってきた。 時刻はもう夕暮れになっていて、酒場は冒険者たちでにぎわい始めている。「ああー、どうなることかと思った。よくあんな策思いついたね」 ほっとしているメルランスに向かって、南野は至極真面目な顔で返答する。「いえ、以前会社のレクリエーション活動で提案して即却下された案でして……」「れく……?…
『まず最初は! ロメイユさんの作ったカレーからいただきましょう!』 景気の悪い顔をしたさすらいのコックのロメイユさんは、一歩前に出て審査員席に皿を配った。銀のふたを開けると、そこには……「ほう、これは……」「い、一応カレーの形はしていますわね」 色も形もカレーの体裁は保っている。審査員たちは一安心したようにほっと溜息を漏らした。『それでは、実食たーいむ!!』 司会の掛け声でスプーンを口に運ぶ審査員たち。口にした瞬間、眉根をひそめる。「これは……野菜くず?」「下水で煮込んだのか?」「この舌に絡みつくような甘さは……?」「くさい、とにかくくさい」 散々な言われようだった。ロメイユさんは『またか……』とばかりにがっくりと肩を落としている。 そんな中、味帝王だけがぱくぱくとカレーを食べている。会場中の驚嘆の視線が集まった。『さ、さすがは味帝王! ちょっとやそっとのまずさではびくともしません!』 カレーを完食した味帝王は、ふう、と息をついてまた腕を組んで瞑目した。やはり大物の貫禄だ。『ロメイユさん、くさい野菜くずという名のカレーを作りました! 一応はカレーです! これでは味帝王のこころはつかめません!』 ロメイユさんはコック帽を握りしめて涙ながらに退場していった。『続いては主婦のミレッタさん! 今度はどんなカレーが飛び出してくるのかー!?』 審査員たちの隣に並んだミレッタさんは、笑顔で皿を供していく。もうここまで届くほどのむせかえるような悪臭が胸やけを誘った。「みなさん、私の特製カレー、召し上がってくださいな」 にっこり微笑んで銀のふたを開けると、そこには……『こっ、これはぁぁぁぁ!?』 司会が吃驚の声を上げる。 ……それはもはや、カレーではなかった。 紫色の液体から緑色の泡がこぽこぽと立ち上り、皿からは触手のようなものがはみ出ている。ライスはなにで染まっているのか真っ赤になっており、時折どこからか『ぎぎいいいいい』と悲鳴じみた声が聞こえてくるような気がした。「うっ……!」「なんてこと……!」 これからこれを食べる審査員たちは今すぐにでも逃げ出したい気分だろう。しかし、引き受けた以上、そして群衆たちがそれを期待している以上、逃げるわけにはいかない。 すえたようなすっぱい悪臭に鼻を覆いながらも、審査員たちは果敢にスプーン
交渉が成立して部屋を出ると、屋敷内はばたばたとあわただしく動いていた。 外に出ると、もうすでに『本日14時、まずいもんコンテスト開催!!』とのビラがあちこちに張られている。「よっぽどまずいものに飢えてたんですね……」「あたしにはちょっとわかんないな。オカネモチの考えることって」 例によって、メルランスはオカネモチ相手には手厳しい。呆れたようなため息をついてやれやれと肩をすくめる。 対してキーシャは怪訝そうにして、「けど、おいしいものならともかく、まずいもので誇らしげに大会に出場するひとっているんですかね?」「誇らしげかどうかはわかりませんが、あのあるじのことです、それなりの賞金を懸けるでしょう」 南野の回答に、キーシャは、ぽんと手を打った。「なるほど、それに釣られて選手が集まるんですね!」「そうだ、キーシャ、あんたも出てみれば?」「ええ!? 私ですか!?」 いきなり水を向けられて、キーシャは裏返った声を上げた。「この際だから賞金もいただいちゃおう。大丈夫、あんたならできるって! 前の『スライムゼリー』の出来栄え、なかなかのものだったじゃん。ね?」 視線で発言を求められ、南野は深々とうなずいた。「……あれは、思い出したくないくらいの素晴らしい……いや、なんというか、素晴らしい出来栄えでしたね……」 暗に『信じられないくらいの激マズだった』という感想を述べられ、キーシャが涙目になる。「うう、これでも魔法薬学の成績はいい方なのに……!」「薬学と料理は違いますよ」「けどけど! これって優勝しちゃったら、私の料理はまずい!ってことになるんでしょ!? それって乙女的にすっごくフクザツなんですけど……」「細かいことは気にしない! まずい料理を作れるって一種の特技じゃん! ってことで、早速エントリーしに行こう!」「うううううう……!」 メルランスは会場となる公園へと、不服そうな顔をするキーシャを引きずっていった。 ……そして迎えた午後二時。 会場にはそれなりの観客が集まっていた。ほとんどが物珍しさの野次馬だろう。『さーあ、やってまいりました、『まずいものコンテスト』! この街で一番まずい料理を作れるのは誰だ!? 栄えある優勝者には金貨10枚が贈られます! みんなー! まずいものが食いたいか!?』『…………』 やたらテンション