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糸 06

Author: 市瀬雪
last update Last Updated: 2025-09-27 06:00:41

 外に漏れてしまうのではないかというくらい、鼓動がうるさい。呼吸の仕方を忘れるくらい胸が締め付けられる。それでも平静を装って言葉を紡いだ。

「それで、お前なんて答えた?」

 問いを重ねると、ますます胸が痛くなった。

 河原はストレートだし、普通に考えれば断っているはず。

 だが、相手はあの見城だ。結果は分からない。

「……分からない、って答えた」

 返された答えに、ぴくりと目線が揺れた。

「分からないから、待って欲しいって……」

「分からない?」

 被せるように言う俺に、河原は再び口を噤んだ。

 俺は別に河原を責めたいわけじゃない。追い詰めたいわけでもない。けれども、結果としてそうなっているのは明らかで、そんな自分の態度に自嘲めいた笑みが浮かぶ。それでも言わずにはいられなかった。

「分からないってなんだよ……待って欲しいって、そんなの、……」

 いつの間にか、身体ごと揺れそうなほどに鼓動がうるさくなっていた。全身から血の気が引く感覚がして、唇までもが震えそうになる。

「そんなの、考えるまでもねぇだろ……? ――お前はこっち側の人間じゃねぇんだから……っ」

 絞り出した声が、堪えきれない焦燥にわずかに揺れた。

 口にしてしまった内容に、遅れて我に返るもあとも祭りだ。いや、そんなふうに思うのも今更のことかもしれない。現に窺うように顔を上げても、河原の様子に大きな変化は見られなかった。

「……そう、なんだけど……」

 怯むでもなく、気圧されたふうもなく、河原はただ淡々とした口調で言葉を継いだ。

 俺はそんな河原の後ろ姿を見詰めながら、吐き捨てるように呼気だけで笑った。

「やっぱ、あいつは特別なんだな」

 改めて思い知らされる。全くその指向がなくても、やっぱりあいつには惹かれるのか。

 元々そうなる可能性は考えていたくせに、認めたくないばかりにこんなにも無様な姿をさらす羽目になっている。

 ……格好悪ぃな。

 込み上げる自嘲に、口端が歪む。

「うん……で

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