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【第12話】再生の芽吹き

Auteur: 櫻恭史郎
last update Date de publication: 2026-07-18 18:10:54
 黒曜宮の朝を支配していた冷たい霧は、今や見る影もなかった。

 セラが手を触れてまわった庭園には、朝露を浴びて、無数の白い小さな花々が波のように優しく揺れている。花びらについた露が、きらきらと光るのが美しい。

 テラスに立ったセラ・ローゼンタールは、その光景を夢見るように見つめていた。すこし前まで、黒く沈み、冷え切っていた庭園は、瑞々しい緑の絨毯で覆われている。

 実家のローゼンタール家では、他者の魔力を奪うだけの「不吉な化け物」と蔑まれ、光の届かない地下室に閉じ込められていた。誰の役にも立たず、ただ存在することすら罪だと教え込まれてきた。

 けれど今、その忌むべきはずの能力が、美しい花を咲かせている。

「セラ様、温かいハーブティーでございますよ」

 振り返ると、侍従長のバーニーが、美しい茶器をテーブルの上に並べている。

「ありがとうございます、バーニー」

「本当に、今日はお出かけになられるのですか? 心配でございます」

「ジェイドも一緒ですし、大丈夫ですよ」

「ジェイドぼっちゃまは、セラ様とふたりで乗馬がしたいだけでございますよ。ああ、わたくしめは心配でございます。セラ様は、こんなに
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