مشاركة

【第32話】踏みにじられる平穏

مؤلف: 櫻恭史郎
last update تاريخ النشر: 2026-08-07 18:10:54

 応接間の外から、騒ぎ立てる声が響いてきた。

「どうか、お待ち下さい!」

「貴様、ローゼンタール家当主の前をふさぐとは、どういう了見だ。どかないか! 第一王子に仕える者は、礼儀も知らないのか!」

 セラは応接間から出て、廊下のはしの壁にかくれるようにして、白亜宮の広いエントランスホールをのぞき見た。

 久しぶりに見る姿が、そこにあった。

「これは一体どういう無礼だ。セラを出せ! 我がローゼンタール家の娘がここにいるのは分かっているのだ!」

 声をはりあげて、まわりの侍従や護衛騎士たちを困らせているのは、絢爛豪華な衣裳に身を包んだ男だ。セラの父親であるローゼンタール家当主の姿がそこにあった。その隣には、さらに豪華な衣裳に身を包んだ女もいる。

 お母様……。

استمر في قراءة هذا الكتاب مجانا
امسح الكود لتنزيل التطبيق
الفصل مغلق

أحدث فصل

  • 呪われた能力持ちの令嬢が、身代わりで向かった婚約先は、優しい獣の住まう宮   【第50話】はじめての夜

     セラは、目の前で太陽が弾けたのかと思った。 視界がチカチカと眩い光で明滅し、一瞬、自分の置かれている状況すら分からなくなるほどの衝撃が、全身を駆け抜けていた。 今のは、なに……? ほんの少し前まで、ジェイドの太くて長い指が、自分の内側へ深く差し入れられ、はじめはゆっくりと、慣れてくると激しく出し入れされていた。その滑らかな動きが、セラの内側を擦るたびに、背筋をゾクゾクと未知の快感が駆け上がり、息は激しく荒くなった。 自分でも制御できない熱に突き動かされ、腰が勝手にどうにかしてほしそうに、救いを求めるように動いていた。 なにを、求めているんだろう。 でも、何かが欲しい。 ジェイドの指先が、お腹の裏側のあたりを、とん、とん、と刺激するたび、身体の内側がきゅっと収縮する感覚があった。 苦しい? 気持ちいい? この苦しさから開放してほしい。 ここから出してほしい。 どこから? 自分でも分からない。 どんどん熱の波に追い立てられるようにして余裕がなくなり、何も考えられなくなったセラは、縋りつくようにぎゅっとジェイドの逞しい腕を掴んでいた。 もう、だめ——。 そう思った瞬間、セラの身体は己の意思とは無関係に反り返り、びくりと大きく反応した。内側から脈打つように連続して、痙攣するような感覚。視界が白くチカチカと明滅し、一瞬、すべてが遠のいていく。息もできない。 何度か、甘い余韻を残しながら、びくり、と身体が震える。 内側から熱くなった息を大きく吐き出しながら、セラはぐったりとベッドに身を沈めた。 とろり、あたたかいものが自分の内側からあふれる感覚が

  • 呪われた能力持ちの令嬢が、身代わりで向かった婚約先は、優しい獣の住まう宮   【第49話】甘やかな侵食

     壊したい。 傷つけたい。 呪いがもたらす歪みが、心を支配する。 その濁った熱を押し留めているのは、ジェイドの目の前に横たわる、愛らしい女性の存在だ。「……セラ……」 ベッドの上、乱れたドレスの隙間から覗く白い肌。 ジェイドはその姿に、ごくりと喉を鳴らした。 見上げてくるセラの瞳には恐怖はない。 真っ直ぐな瞳がある。 熱を孕んだ瞳に見える。 己の願望が、そう錯覚させているのだろうか。 何をされても怖くないと、身も心もすべてを委ねてくるような様子に、ジェイドの中の欲望が高ぶる。 傷つけたくない。 いや、傷つけたい。 汚してしまいたい。 泣かせてしまいたい。 いいや、大切にしたい。 破壊衝動と欲望が理性を殺してゆく。ジェイドの内にある熱が、異常なほど高まっていった。 ジェイドは、溢れ出てくる感情を押し殺そうと、セラの柔らかい唇を何度も貪った。噛みついて、吸い上げる。彼女の熱い吐息まで舐め取ろうと、貪欲に求める。 セラが「ん……っ」と小さく甘い声を漏らすたび、ジェイドの背筋をゾクゾクとした快感が駆け抜けた。下腹部にも、強い反応がある。 破れかけたドレスの生地を滑り落とし、彼女の華奢な肩から胸元へと手を進める。 隠されていたやわらかな胸のふくらみが露わになると、ジェイドはその美しい肌に直接触れ、慈しむように撫であげた。「あ……ん…&helli

  • 呪われた能力持ちの令嬢が、身代わりで向かった婚約先は、優しい獣の住まう宮   【第48話】熱に滲む衝動

     呪いの暴走を引き起こしていたガラス質の塊は、焦げ付くような不快な匂いをまき散らしながらドロドロに溶け落ち、ジェイドを苛んでいた恐ろしい苦痛は去ったかのように見えた。 溶け残った黒い残骸は、レオンが慎重に部屋の外へと運び出していった。 万が一にも再び魔力が暴走した際の危険を考慮し、今はジェイドとセラの周囲には誰一人として近づけないよう、厳重に遠ざけられている。 レオンに渡された小さな笛があるから、何事かあれば、呼ぶことが出来るが、いまは、セラとジェイドふたりきりだった。 完全に日が暮れ、夜の深い闇が部屋を包み込んでいた。 いつもなら、すでに魔獣の姿へと変貌している時間。 しかし、どういった影響でか、いまのジェイドは人間の姿を保っていた。 本来ならば喜ばしいことだ。 けれど、セラはその様子をとても喜ぶ気にはなれなかった。 ジェイドの様子が、明らかにおかしい。「……セラ、部屋へ戻れ」 低い声で吐き捨てるように言ったジェイドは、どこかイライラと落ち着かない様子だった。眉間には深い皺が刻まれ、その瞳には依然として怪しい赤の輝きがある。 見るからに、呪いの魔力が、ジェイドの精神に何らかの悪影響を及ぼしている。「いいえ。今夜は側にいます」「駄目だ」「ここにいます」「いいから、出ていくんだ!」 ジェイドが珍しく強い調子で声を荒げた。 だが、その直後、彼はハッと息を呑み、己の粗暴な言動を酷く後悔したように硬直した。苦痛を押し殺すように強く唇を噛み締め、拳

  • 呪われた能力持ちの令嬢が、身代わりで向かった婚約先は、優しい獣の住まう宮   【第47話】三つの仕掛け

     舞踏会の会場を離れ、馬車を飛ばし、セラとジェイドは白亜宮へと戻った。 不穏な瘴気の影響がある会場から離れさえすれば、呪いの魔力の嵐も去り、ジェイドの苦しみも少しは落ち着くだろうとセラは考えていた。 しかし、馬車が白亜宮の門をくぐった瞬間に、ジェイドが再び苦しみはじめる。「っ……、く……っ!」「ジェイド……⁉ しっかり、ジェイド!」 ジェイドの喉から苦しげな声が漏れ出た。 セラが必死で両腕を回し、呪いの魔力を引き受けても、ジェイドの身体は苦しみに苛まれ続けている。ほんのわずかでも、セラが集中力を途切れさせると、彼の身体の一部が、魔獣の肉体へと歪に膨れ上がろうとするようだった。 痛みがあるのか、ジェイドの顔はひどく青ざめ、額には汗が滲み出ていた。 セラに触れるジェイドの手が、小刻みに震えている。 どうして……。 舞踏会の会場を離れたのに……。 セラはジェイドの首筋に顔を埋め、彼の身体から溢れ出す瘴気を必死に吸い上げながら、神経を研ぎ澄ませた。 そして、ハッと息を呑む。 ここにも——白亜宮にも、舞踏会の会場で感じたものと同じ、外側からの妙な気配が満ちていた。 セラは、ジェイドを支えながら、ジェイドの部屋へともどった。 レオンもジェイドをささえて一緒に移動しながら、瘴気にあてられないよう、使用人たちを遠ざけさせる。 そうしながらも、セラは外側の魔力の気配をたどった。 瘴気を自分の中に引き寄せるとき、ふれたかす

  • 呪われた能力持ちの令嬢が、身代わりで向かった婚約先は、優しい獣の住まう宮   【第46話】忍び寄る悪意

     カイル王子とのダンスの最中、セラはふとステップを踏みながら不穏な気配を感じ取った。 なにかしら……。 ステップを踏むたび、かすかな違和感が腕や足の皮膚を掠める。 魔力の感触だ。 しかも、これまでに何度も触れてきたものと似た気配。 セラはダンスを続けながら、第一王子専用の観覧席へと視線を向けた。 ……えっ? カイル王子と踊り始める前には、会場を見下ろすように広く開かれていたはずの豪華なベルベットの幕が、今は重々しく降ろされていた。ジェイドの姿は見えない。 胸騒ぎ。 お股がかゆくなってから黙り込んでしまったカイル王子から意識を切り替えて、セラは己の皮膚を掠めていく微小な魔力に集中した。 広い大広間には、無数の貴族たちが持つ複雑な魔力の流れが渦巻いている。魔力の高い人間であれば、その気配のようなものを自然と周囲に撒き散らしてしまうこともあるのかもしれない。 集中しようとするほど、会場に満ちる過剰な情報を集めてしまう。 目的の気配が霞む。 不意に、右腕の表面にツンと不快な気配が当たった。 セラはその瞬間を逃さず、魔力を吸い寄せるように己の内側へと引き込んだ。 身体に取り込んで、確信する。 これは、あのローゼンタール家の暗く冷たい地下室で触れたものと、完全に同質のものだ。つまり、ジェイドの身体の内側からあふれ出し、彼を苦しめ続けているあの呪い——瘴気そのものだった。 どうして……ここに、あの瘴気が……?

  • 呪われた能力持ちの令嬢が、身代わりで向かった婚約先は、優しい獣の住まう宮   【第45話】純粋な攻撃力

    「これは失礼。あなたの気を悪くするつもりはありませんでした」 真っ直ぐな瞳に射抜かれた衝撃を誤魔化すように、カイルはそう言い、取り繕った。 社交界の駆け引きであれば、ここから互いの腹を探り合い、皮肉や笑みで装飾された言葉の応酬が始まるはずだった。 だが、目の前の女——セラは、ふっと肩を落とし、分かりやすくしゅんとした顔を浮かべた。「いいえ、気を悪くしたりなどしていません……」 まるで小動物が身を縮めるかのような態度。 カイルは、己の表情や感情を隠すという淑女としての基本すらできていないこの不器用な女に、言い知れぬいらつきを覚え始めた。 あまりにも無防備で、あまりにも素直すぎる。「ローゼンタール家のご令嬢という肩書だけで言えば、あなたは兄上の婚約者にふさわしいでしょうね」 カイルは意図的に冷ややかな声で、容赦のない言葉を投げつけた。「ですが……あなたを見ていると、どうも、兄上の婚約者としてふさわしい女性には見えない」 どれほど純粋を装っていようと、誇りを傷つけられれば感情を露わにするか、せめて反論くらいはしてくるだろう。カイルはそう踏んでいた。「……わたしも、そう……思います……」 最後は消え入るような声でそう零したセラの反応に、カイルはほとほといらだった。 言い返しもしないのか……。 嫌そうな顔も、憤る顔も、憎々しげな視線すら寄せてこない。ただ己の無力さや未熟さに耐えるように、俯いているだけ。

فصول أخرى
استكشاف وقراءة روايات جيدة مجانية
الوصول المجاني إلى عدد كبير من الروايات الجيدة على تطبيق GoodNovel. تنزيل الكتب التي تحبها وقراءتها كلما وأينما أردت
اقرأ الكتب مجانا في التطبيق
امسح الكود للقراءة على التطبيق
DMCA.com Protection Status